TJ・アイゼンハート、ワールドツアーへの登竜門。【ツアー・オブ・ユタ2017 コースプレビュー】

この男をご存知だろうか。
テイラー・”TJ”・アイゼンハート、23歳のアメリカ人だ。

まだ、さしたる実績は残していない。
どちらかといえば、無名選手ではあるが、一部の界隈では熱狂的に支持を集めている。

きっかけは、昨年のジャパンカップだった。
トレーニー契約を結んでいたBMCレーシングの一員として来日。

あまりにもファンキーすぎる振る舞いで、日本のファンの心を鷲掴みにした。

※詳細はこちらの記事をご覧いただきたい。

ジャパンカップで最もファンを増やした男、アイゼンハートとは何者か?

アイゼンハート自身も、日本をとても気に入ったようで、自ら「JAPAN」をモチーフにしたサイクルジャージをデザインするなど、再来日を熱望している。

だが、今シーズンからアメリカのコンチネンタルチームであるホロウェスコ・シタデルで走っているため、日本のレースに出場することができない。
再び日本の地にやってくるためには、アイゼンハート自身が更なるステップアップをしていく必要がある。

そんなアイゼンハートの動向を、筆者は常々チェックしていた。

ホロウェスコではエース級の活躍を見せている

4月に行われた2クラスのステージレースであるツアー・オブ・ジラでは、第2ステージの26kmの個人TTで2位に入るなど、力を見せ総合3位だった。
ちなみに総合優勝したのは、ラリー・サイクリングのエヴァン・ハフマンだ。
コンチネンタルチーム所属ながらツアー・オブ・カリフォルニアで2勝をあげた、あの選手だ。
決してレベルが低い大会ではないことが伝わるだろうか。

さらに、5月にはレッドランズ・バイシクル・クラシックというアメリカ国内のJプロツアーのような位置づけのステージレースに参戦し、
山頂フィニッシュとなった第2ステージでは、2位以下に大差をつける独走勝利をあげた。
そのリードを守り抜き、見事に総合優勝を果たし、イエローの”サンシャインジャージ”を獲得した。

太陽の輝きのような笑顔を見せるアイゼンハートの首には、ターコイズブルーの巨大なネックレスがぶら下がっていた。
SEVやファイテンのように、運動パフォーマンスの向上に寄与する性質は全くなく、純粋なファッションだという。

ビブショーツの上からカジュアルシャツを羽織ってトレーニングするなど、ファッションを追及する姿勢には一切のブレがない。

6月のアメリカ国内選手権は、スプリンターやパンチャー向きのコースレイアウトだったため、アイゼンハートはアシストに徹していた。
上り区間ではアイゼンハートが先頭で牽引し、ライバルたちの動きを封じる。
チームメイトを4位に送り込み、自身は37位で完走した。

元々クライマーと見られていたが、今シーズンはTTでの活躍が目立っている。
上りにも強く、TT能力も高い。
つまり、ステージレーサーとしての適性が大いにあるということだ。

エースナンバーを背負って出場するツアー・オブ・ユタのコースを紹介

ツアー・オブ・ユタは、全7ステージで行われるHCクラスのレースだ。
これまでの出場レースとは段違いにレベルが高くなっており、BMCレーシングも出場する。

だが、昨年大会でアイゼンハートは総合7位に入った。
今季からチームスカイに加入したタオ・ゲオゲガンハートよりも上位の成績である。

アイゼンハートはホロウェスコのリーダーとして、エースナンバーを背負って出場するのだ。
そんなツアー・オブ・ユタのコースを紹介していく。

第1ステージ:ローガン〜ローガン(213km)

いきなり標高2400m地点まで、2度もヒルクライムを上る、なかなかのパンチ力を持ったステージだ。
151km地点に至る上りは、登坂距離10km・平均勾配6%程度となっている。
山頂を越えると、フィニッシュまで60kmのダウンヒルだ。

なお主催者は、本ステージは集団スプリントになると予想しているが、獲得標高は2000mほどある。

第2ステージ:ブリガム・シティ〜スノーベイシン・リゾート(152km)

注目は、115km地点に登場するノース・オグデン・ディヴァイドの上りだ。
登坂距離5km・平均勾配10%の区間が登場し、破壊力は抜群だ。

そして、フィニッシュはスノーベイシンの山頂だ。
登坂距離10km・平均勾配6%の上りとなっていて、クライマーたちによる戦いが起きることだろう。

第3ステージ(個人TT):ビッグ・コットンウッド・キャニオン(9km)

登坂距離9km・平均勾配5.5%の個人TTステージとなっている。
スタート地点の標高が2250mあり、フィニッシュ地点は2650mに達する。

第4ステージ:サウスジョーダン・シティ〜サウスジョーダン・シティ(203km)

山岳ポイントは設定されていないものの、丘陵地帯を走行しフィニッシュ地点までアップダウンが続く。
とはいえ、総合争いではなくスプリンターたちによる集団スプリントになるだろう。

第5ステージ:レイトン〜バウンティフル(185km)

レイトンを出発し、ヒル空軍基地を経由しながら、バウンティフル周回コースを2周するレイアウトとなっている。
周回コースには、2つの山岳ポイントが設定されており、登坂距離5km・平均勾配6%程度だ。
上りを耐えた選手たちによるスプリントバトルに持ち込まれることだろう。

第6ステージ:ハーバー・バレー〜スノーバード・リゾート(99km)

今大会のクイーンステージだ。
99kmと距離は短いが、1000m近い標高を獲得する上りが2ヶ所設定されている。

特に最後のスノーバードの上りは、総合争いに決定的な影響をもたらすことだろう。
登坂距離は10km近くあり、10%前後の勾配が続く厳しい上りだからだ。

第7ステージ:ソルトレイクシティ〜ソルトレイクシティ(118km)

最終ステージは、冬季五輪でおなじみのソルトレイクシティの周回コースを11周する。
勾配はキツいわけではないが、上りと下りしか存在しない。
総合争いが僅差ならば、ボーナスタイムを巡る中間スプリントの戦いにも注目だ。

総合優勝も狙えるアイゼンハート向きのコースレイアウト

何を隠そう、ユタ州はアイゼンハートの生まれ故郷なのである。
ユタ湖北部のほとりにあるアメリカンフォークがふるさとだ。
第4ステージでは、ユタ湖北部の近郊を通過し、ツアー・オブ・ユタの中心となるソルトレイクシティは、アメリカンフォークから50kmほどの場所だ。

つまり、ツアー・オブ・ユタで走るコースは全て、アイゼンハートの勝手知ったる土地なのだ。
上りの傾斜、下りのイメージ、路面の状況。
アイゼンハートは把握しているに違いない。
実際に、アイゼンハートのStravaを見ていると、トレーニングコースとして活用していることがわかる。

さらに、上りが得意で、TT力の高いアイゼンハートにとって山岳TTの存在は非常に大きい。
道幅も広く、一定のペースで上りが続くユタの地形もアイゼンハートの脚質にピッタリだ。

推しメンだからといって、軽々しく総合優勝を狙えるなんて言うつもりはない。
アイゼンハートは紛うことなき、ツアー・オブ・ユタの総合優勝候補の最右翼なのだ。

ちなみに、昨年大会で総合優勝を果たしたラクラン・モートンは、ワールドチームのディメンションデータへの移籍を果たし、今年のツアー・オブ・カリフォルニアでは新人賞を獲得した。

アイゼンハートも、ツアー・オブ・ユタで総合優勝を果たし、来シーズンからのワールドチーム移籍をぜひとも勝ち取ってほしい。
再びワールドツアーの舞台でファンキーな振る舞いを世界に見せようではないか。

そして、いつの日か本当に日本のファンの前で、レースする日が来ることを心より待ち望んでいる。

Rendez-Vous sur le vélo…

ツアー・オブ・ユタ放送予定

ダゾーンにて、全ステージLIVE中継予定となっている。

日本時間8月1日午前3時から第1ステージが放送される。
毎日午前3時とか午前5時に中継が始まる、かなりエクストリームな時間帯の放送となるが、ぜひともチェックしていただきたい。

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