FDJ出場メンバーレビュー!【ジロ・デ・イタリア2017】

初出場となるティボー・ピノをエースに起用したFDJ。

チームの持てる全てをジロに注いで、総合優勝を狙っていく。

ジロ・デ・イタリア2017、FDJ出場選手

ティボー・ピノ(フランス)
セバスチャン・ライヒェンバッハ(スイス)
トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン)
ルディ・モラール(フランス)
ウィリアム・ボネ(フランス)
スティーブ・モラビート(スイス)
マチュー・ラダニュー(フランス)
ジェレミー・ロワ(フランス)
ベノワ・ヴォグルナール(フランス)

ジロ初出場のピノが総合優勝を狙う

2014年ツール・ド・フランス総合3位という栄光から一転、ここ数年はグランツールで思ったような成績を残すことが出来ていない。
フランスのワールドチームに所属して、フランス人選手として良くも悪くも注目を浴びすぎていた。
それらは、重圧となりティボー・ピノを押しつぶしたのかもしれない。

今年は激戦のツールでは総合を狙わず、ジロで総合を狙うという新たな指針を打ち出した。

すると、重圧から解放されたかのように、今シーズンは好成績を連発する。

ブエルタ・ア・アンダルシアではステージ1勝&総合3位、ティレーノ~アドリアティコ総合3位、ツアー・オブ・ジ・アルプスではステージ1勝&総合2位。
ストラーデ・ビアンケでは9位と、よく山を登れている上にタフな走りも出来ている。

それだけではなく、ピノはスプリント力・TT力にも磨きがかかっているように見える。

少人数のスプリント勝負に非常に強く、ティレーノ第5ステージではペーター・サガンに次ぐ2位、ツアー・オブ・ジ・アルプス第5ステージではスプリントを制してステージ優勝をあげた。

現フランスTTチャンピオンであり、ブエルタ・ア・アンダルシア第4ステージでは、アレハンドロ・バルベルデ、アルベルト・コンタドールらに次ぐステージ4位。
ティレーノ第7ステージでは、ゲラント・トーマス、トム・ドゥムランらに次ぐステージ17位だった。
ナイロ・キンタナを大きく上回るTT力を持っていると見てよいだろう。

プロサイクリストとしての総合力が高まり、キャリアの中でもいまが一番最高の状態ではないだろうか。
総合優勝の可能性は十分ある。

山岳アシストの戦力も充実

FDJと言えば、アルノー・デマールを筆頭とするスプリンターチームという印象が強い。

ジロ・デ・イタリアには、今季から加入したイタリア人スプリンターであるダヴィデ・チモライが出場するかと思われた。
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでステージ優勝をしている活きの良い選手だ。

だが、今大会にはスプリンターを一人も連れてきていない。

ピノの総合優勝にチーム力の全てを注いだかのような、実力あるクライマーをこれでもかと投入してきた。

その筆頭はセバスチャン・ライヒェンバッハである。

昨年のツールでは、ピノのリタイア後にエースとして孤軍奮闘し、総合14位に入った。
今年もブエルタ・ア・アンダルシア総合7位、ティレーノ~アドリアティコ総合17位と結果を残しながら、エースのピノのアシストとして良い走りを見せている。

ライヒェンバッハのように、エース山岳アシストと呼べるような選手は貴重だ
他のチームでは、チームスカイのミケル・ランダ、チーム・サンウェブのウィルコ・ケルデルマンくらいしか見当たらない。

ライヒェンバッハの存在は、FDJの大きな武器になるだろう。

他にはルディ・モラール、ベノワ・ヴォグルナール、スティーブ・モラビートもクライマーだ。

モラールは今年からFDJに加入した27歳の選手で、今シーズンはフレーシュ・ワロンヌ8位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ17位とクライマーズクラシックで好成績を残している。

ヴォグルナールは35歳、モラビートは34歳でグランツールへの出場経験も豊富だ。
経験値の高さでピノをサポートする。

ライヒェンバッハだけでなく、山岳アシストの総合力の高さが際立っている。

平坦アシストにもはチーム随一のTTスペシャリストを起用

新加入のトビアス・ルドヴィグソンが心強い存在だ。
身長194cmの巨躯が見せる強烈な牽引力は、集団コントロールには持って来いである。

さらにウィリアム・ボネ、マチュー・ラダニュー、ジェレミー・ロワと言った平坦に強いベテラン選手たちも出場する。
これらの選手はみな、毎年ツールのレギュラーメンバーと言える選手たちだ。

ツールのレギュラー組のほとんどを今年のジロに起用しているのだ。

ここからFDJのジロへの本気度を強く感じる。

FDJまとめ

◆チーム力

・エースの登坂力:★★★★☆
・エースのTT力:★★★★☆
・山岳アシスト力:★★★★☆
・平坦アシスト力:★★★★☆

◆ストロングポイント

・エースのピノのクライム・スプリント・TTの総合力の高さ
・エース山岳アシストであるライヒェンバッハの存在
・山岳アシストの充実ぶり
・経験豊富なベテラン揃いなこと

◆ウィークポイント

・キンタナの登坂力のようにずば抜けた要素が見当たらないこと
・例年はツールに向けて調整している選手たちが、こぞってジロに出場すること(調整失敗へのリスク)
・ピノがジロ初出場であること

FDJは、総合力の高さが感じられるメンバー構成となっている。

ピノのサポート体制は万全だと言えよう。
エースのピノも初めての試みであるジロに向けて、調整はうまく行っているように見える。

それでも、3週間の長丁場を、普段走っているツールとは異なる気候条件のもとで、コンディションを維持できるかどうかはやってみないと分からない。
特にピノは突然体調を崩してリタイアする、ということも珍しくはない。

そういったトラブルが無ければ、表彰台は有力だと言えよう。
山での調子次第では、総合優勝も見えてくるだろう。

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