「今日のサイバナ」は、6月3日開幕のクリテリウム・デュ・ドーフィネに参戦する有力選手のコメント(意訳)と、ベルギー期待の若手選手を紹介したいと思います。
ダン・マーティン「例年より仕上げを遅らせる」
『UAE Team Emirates for the Critérium du Dauphiné』より
クリテリウム・デュ・ドーフィネに出場するUAEチームエミレーツのエース、ダニエル・マーティン(アイルランド)のコメントを紹介します。
「ドーフィネは毎年ツールの前の良いテストになります。しかし、今年のツールはいつもより1週間遅く開幕することを踏まえると、私は例年よりコンディションを仕上げるのを少し遅らせようと思っています。
今シーズンここまで順調に来ており、体調も良いですが、今度のレースは今までのレースとは全く異なります。自分のリズムで走り、自由に争い、そしてツールに向けて自分のコンディションを自分の考えと正確に合わせていくことが最も大事なことになります。
もちろんドーフィネは”ミニ”ツール・ド・フランスだから重要です。個人TTやチームTTだけでなく、例えば今年のツール第11ステージ(※全長108kmのショート山岳ステージとフィニッシュ地点が同じで走行距離も110kmと似せてきたドーフィネ第6ステージがある)のように、トレーニングで再現しにくいレースを経験できることも重要なのです。」
UAEチームエミレーツ移籍1年目のマーティンは、今シーズンはツール・ド・ロマンディ総合10位がステージレースで最も良い結果となっており、得意のアルデンヌクラシックでも不発に終わっていて、あまり良い結果が残せていません。
仮にドーフィネでの走りがいまいちだったとしても、例年より1週間遅くコンディションを仕上げるための準備期間だと考えれば慌てることはないのかもしれません。
ダニエル・マーティン(アイルランド)
スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー)
ヴァレリオ・コンティ(イタリア)
マヌエーレ・モーリ(イタリア)
エドワルド・ラヴァージ(イタリア)
ローリー・サザーランド(オーストラリア)
シモーネ・ペティッリ(イタリア)
アラフィリップ「自分には少し厳しすぎるコース」
『Quick-Step Floors Cycling Team to Critérium du Dauphiné』より
クイックステップフロアーズのジュリアン・アラフィリップ(フランス)のコメントを紹介します。
「ドーフィネを走ることができて、とても幸せです。私にとってフランスを走るレースはいつも特別ですし、ツールに近いコースを走れるので、7月に向けた調整レースとして最適です。
春のクラシックの後は、休息をとってから、高地トレーニングをしていました。そして今は、レースを再開することを熱望しています。
コースは非常に厳しくて、レース後半にはとても多くの上りが詰め込まれていて、私には少し厳しすぎるかもしれません。一日一日、自分の脚がどういう状態か見ながら、自分のベストを尽くし、チームに貢献したいです。」
今シーズンのアラフィリップは4勝をあげており、アルデンヌクラシックのフレーシュ・ワロンヌでは念願の初優勝を飾っています。また2年前のドーフィネでは、総合6位に入り新人賞を獲得しました。
チームにはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)という総合ライダーがいるため、アラフィリップはステージ優勝狙いもしくはユンゲルスのアシストを務める可能性が高いです。しかし、期待以上の山岳への適性を示すことができれば、ツールではユンゲルスとともに総合を狙う可能性もあるのではないかと思われます。
クイックステップフロアーズ クリテリウム・デュ・ドーフィネ出場メンバー
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)
ファビオ・ヤコブセン(オランダ)
ローレンス・デプルス(ベルギー)
ピーター・セリー(ベルギー)
ニキ・テルプストラ(オランダ)
ジェームス・ノックス(イギリス)
バルデ「ドーフィネは調整レース以上の意味を持つ」
『CRITÉRIUM DU DAUPHINÉ (3-10 JUIN)』より
フランス期待の星、アージェードゥゼール ラモンディアールのロマン・バルデ(フランス)のコメントを紹介します。
「休息期間を終えて、シエラネバダで恒例の高地トレーニングキャンプを5月27日までしていました。高地キャンプは毎年のように、とてつもないハードワークであり、チームメイトやチームスタッフと過ごす良い時間になりました。そして、私たちは質の高いトレーニングを行いました。シエラネバダでのトレーニングは、身体を鍛えるだけでなく、高いモチベーションを持ってドーフィネに臨むために重要な時間なのです。
ドーフィネは素晴らしいレースですし、自分にとってはツールに向けた調整レース以上の意味を持っています。特にライバルチームとライバル選手たちの評価をする場としてふさわしいです。今年は、チームタイムトライアルのような重要なステージに加えて、非常に厳しくナーバスになるであろう最終日など、非常に精選されたルートになっています。私はレースを走りたくてウズウズしています。」
バルデがスペインのシエラネバダで行ったトレーニングキャンプは5月9日から27日までで、チームメイトのアクセル・ドモン(フランス)、ピエール・ラトゥール(フランス)、アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス)と共に、計1,450km・獲得標高32,000mに達するハードなものでした。
今シーズンはステージレースではティレーノ~アドリアティコとイツリア・バスクカントリーでそれぞれ総合13位がベストリザルトですが、ストラーデ・ビアンケ2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ3位とワンデーレースで好成績を残しているように、調子は良いはずなので、トレーニングキャンプを通じて鍛え直した登坂力には大いに期待してもいいのではないでしょうか。
最優先目標はツール・ド・フランスでしょうが、高いモチベーションを持ってドーフィネの総合優勝も狙ってくることでしょう。
アージェードゥゼール クリテリウム・デュ・ドーフィネ出場メンバー
ロマン・バルデ(フランス)
アレクシー・グジャール(フランス)
オリバー・ナーセン(ベルギー)
アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス)
トニー・ガロパン(フランス)
ピエール・ラトゥール(フランス)
アクセル・ドモン(フランス)
ベルギー期待の若手にクイックステップが触手?
Remco Evenepoel(※カタカナ表記が見当たらないので、以下レムコ・イヴェネプールとする)は、18歳のベルギー人ライダーです。
今シーズンはジュニアのレースやネイションズカップで破竹の勢いで勝ちまくっています。
日本代表チームも参戦した5月19〜20日に行われたTrophée Centre Morbihan第1ステージでは、50km近く独走して2位以下に3分26秒もの大差をつけて勝利しました。
『小野寺慶12位。前代未聞の大逃げでベルギー選手が優勝/ジュニアネイションズカップ TROFEE CENTRE MORBIHAN2018 第1ステージ』より
というように高い独走力を発揮して、今季既にジュニアクラスのレースやネイションズカップで計9勝を飾っています。
来シーズンはアメリカのコンチネンタルチームにして、エディ・メルクスの息子のアクセルがGMを務めるハーゲンズベルマン・アクシオンへの移籍が決まっています。
そのベルギーの逸材に、早くもクイックステップフロアーズGMのパトリック・ルフェーブルがイヴェネプールと接触しているとのことです。
『Quick-Step Floors en Remco Evenepoel komen tot gentlemen’s agreement』より
もちろん、まだ契約を締結しているわけではないですが、今年クイックステップに加入したホナタン・ナルバエス(エクアドル)と同様に、ハーゲンズベルマン・アクシオンで経験を積んでからクイックステップに加入する流れを踏襲するとのこと。
ちなみに、レムコ・イヴェネプールの父親パトリックも元プロロード選手です。クイックステップの一員となるのは、早くても2年後くらいかと思われますが、「Remco Evenepoel(レムコ・イヴェネプール)」の名前は覚えておいて損はないでしょう。