サッカー日本代表が度々対戦したり、F1グランプリの開催地としてお馴染みのバーレーン。
正式にはバーレーン王国。シンガポールよりちょっと広く、日本の郡山市と同等の面積を持つ、小さな国家である。人口は約120万人
2001年に首長制から王制へと移行したが、国民の大多数を占めるシーア派と、少数ながら特権階級を形成しているスンナ派の両者の溝は小さくない。
主力産業はもちろん石油関連事業であるが、このままいくと遠くない未来に石油が枯渇すると言われていて、石油だけに頼らない金融、貿易、観光などの新規事業を積極的に取り入れているところだそうだ。
バーレーン・メリダのオーナーは、バーレーン王国のプリンスだ。
潤沢な資金を持つオーナーが、チームづくりをするとなれば、チーム存続の懸念は大幅に少なくなるだろう。
困るとしたら、ティンコフのオーナーであるオレグ・ティンコフ氏のように、UCIの体制に嫌気をさしてしまわないかどうかである。
この新チーム、まだワールドツアーへの参加が決まったわけではないが、ビッグネームを次々に獲得している。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ
ホアキン・ロドリゲス
ニッコロ・ボニファツィオ
ソニー・コルブレッリ
エンリコ・ガスパロット
ハインリッヒ・ハウッスラー
ラムナス・ナヴァルダスカス
コンスタンティン・シウトソウ
ジョバンニ・ヴィスコンティ
などなど、ワンデーレースのエースクラスの選手をゴロゴロ獲得している。
ここに新城幸也が2年契約で加わることが決まった。
バーレーン・メリダを率いる監督には、現在ランプレ・メリダを牽きているブレント・コープラントが就任するからだ。
ユキヤの信頼する監督・スタッフが揃っているうえ、他のチームのオファーより好条件で移籍できるようだ。
さて、このバーレーン・メリダは前述の通り、お金には困ってないそうだ。
ただ、現時点での獲得選手を見ていると、総合を狙うには心もとないスプリンターやパンチャータイプの選手ばかりが揃っている。
ユキヤもその一人である。ニーバリでグランツール優勝を狙うには、あと4〜5枚はクライマーが欲しいところ。
かと言って、ボニファツィオ、コルブレッリ、ハウッスラー、ボーレなどスプリンターが揃っているところを見るとスプリンターチームをつくろうとしているのではないかとも見える。
そうなると、ユキヤにとって、いや我々日本人にとっては朗報である。
スプリンターチームとしてグランツールに出場したとなると、スプリント勝負が狙えないステージでは、ユキヤのようなパンチャーには自由に動いていいというオーダーが出やすい。
ユキヤの最大の武器は逃げに乗る力とスプリント力である。2010年のジロ・デ・イタリアで見せた逃げに乗ってスプリント勝負に持ち込む展開が、最もグランツールで勝利をあげやすい状況だと言えよう。
我々日本人は、ユキヤのグランツール勝利を心から待ち望んでいる。グランツールでのステージ優勝なんて、かつては夢のまた夢のように聞こえたが、新城幸也と別府史之という、二人の日本人の活躍が目覚ましく、次はステージ優勝しかないという期待感に満ちあふれているからだ。
バーレーン・メリダの今後の戦力補強の情報にも、アンテナを張っていきたいと思う。
ニーバリがジロやツールの舞台で躍動する姿も見たいが、ユキヤが勝ちやすくなるメンバー構成になって欲しいなと、思ってしまう気持ちはどうしても抑えられない。
フミはアルベルト・コンタドールをアシストするのに対して、ニーバリやホアキンをアシストするユキヤという構図も十分胸が熱くなる展開なので、どちらにせよ日本のサイクルロードレースファンは歓喜するだろう。
Rendez-Vous sur le vélo…