サイバナ

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コラム ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2017

地上最強の男、アレハンドロ・バルベルデが、キンタナをマイヨ・ジョーヌに導くのか?

2017/07/13

いまサイクルロードレース界で、最も強い選手は誰だろうか?

真っ先に思い浮かぶのはペーター・サガンだ。
今シーズンは、クールネ〜ブリュッセル〜クールネで優勝、ティレーノ〜アドリアティコでステージ2勝の計3勝をあげている。
しかし、今シーズンの最も大きな目標の一つであったミラノ〜サンレモでは勝ちを逃した。
順調と言えば順調だが、サガンの100%はこんなものではないだろう。

そのサガンを上回る走りを見せていると言えるのが、ミカル・クヴィアトコウスキーだ。
ステージレースであるボルタ・アオ・アルガルベで総合2位、サガンが途中リタイアしたストラーデ・ビアンケで優勝、そして何よりもサガンを直接対決で下して初のモニュメント勝利を飾ったミラノ〜サンレモ。
好調という一言では表しきれない強さを発揮している。

オムループ・ヘット・ニュースブラッド、E3・ハレルベーケで勝利したフレフ・ヴァンアーヴェルマートも強い。

けれども、ここまで色んなレースを見てきて、どうしても頭から離れないのがアレハンドロ・バルベルデだ。
最強ライダーは誰か?との問いには、バルベルデと答えたい。

もちろんサガンたちはどちらかと言えばクラシックスペシャリストに分類されるレーサーであり、バルベルデはクライマーに準ずることは百も承知だ。

脚質の違う選手の比較はナンセンスだ!
その指摘は全くをもって正しい。

たとえそうであっても、わたしはバルベルデこそ最強であると、どうしても主張したくなってしまう。

今季のバルベルデは無敵だ。
ブエルタ・ア・ムルシアでは70km独走逃げ切り勝利という、いくら下位カテゴリーとはいえワンデーレースでは考えられない勝ち方を見せた。
ブエルタ・ア・アンダルシアでは第1ステージで得意のバンチスプリントを制してステージ1勝、そして総合優勝も果たした。
ボルタ・ア・カタルーニャでは第2ステージのTTTで1分のペナルティを受けたにもかかわらず、第3・5ステージで勝利をあげ、自力でリーダージャージを取り戻している。

独走力、スプリント力、登坂力、全ての分野で一流のパフォーマンスを発揮しているバルベルデは、今年の4月で37歳となる大ベテランである。
老いるどころか、バルベルデ史上最高といえるシーズンをここまで送っている。

4月のアルデンヌクラシックでは、押しも押されぬ優勝の最有力候補だろう。
4連覇がかかるフレーシュ・ワロンヌや、自身4度目の優勝のかかるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが今シーズン最大の個人目標だろう。
数々のレースを制してきたバルベルデにとって、いまや自身の勝利だけでなくチームの勝利も願っている。

モビスターにとって最大のチーム目標は、ナイロ・キンタナによるツール・ド・フランス総合優勝だ。
ゆえにツールではキンタナがエース、後の選手はアシストという公算になる。
そのアシストには、もちろんバルベルデが含まれているのだ。

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モビスターは、若手クライマーの成長が著しい

バルベルデだけではない。
ボルタ・ア・カタルーニャに出場している選手の中には、キンタナのアシストとしてチームスカイやトレック・セガフレードなど強力クライマー陣に対抗し得る若手クライマーがいる。

1人はルーベン・フェルナンデスだ。

昨年のブエルタではリーダージャージを着用した経験もある強力なクライマーだ。

カタルーニャ第5ステージでは、超級山岳ル・ポルトで最終牽引を見せ、集団をズタズタに破壊していった。
リーダージャージを着るティージェイ・ヴァンガーデレンは千切れてしまい、総合優勝を狙うゲラント・トーマス、コンタドールの貴重なアシストであるヤルリンソン・パンタノもほとんど力を失うほどの牽引を見せていた。

もう1人はマルク・ソレルだ。

パリ〜ニース第8ステージでは、コンタドールとダビド・デラクルスと共に逃げ、登坂力の高さだけでなく、そつなくダウンヒルをこなす総合力の高さを見せていた。
カタルーニャ第5ステージでは、最終盤でフルームとコンタドールとアダム・イェーツに対抗するために、バルベルデを全開でアシストした上に、アダム・イェーツより先にフィニッシュするタフネスぶりを発揮していた。

2人に共通することは、若手登竜門レースであるツール・ド・ラヴニールで総合優勝していることだ。
フェルナンデスは2013年、ソレルは2015年に勝っている。

ツール・ド・ラヴニールの歴代総合優勝者リストは、今をときめく大スターの系譜と言っても差し支えない。

2007年、バウケ・モレマ
2008年、ヤン・バークランツ
2009年、ロメン・シカール
2010年、ナイロ・キンタナ
2011年、エステバン・チャベス
2012年、ワレン・バルギル
2013年、ルーベン・フェルナンデス
2014年、ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ
2015年、マルク・ソレル
2016年、ダビド・ゴデュ

ゴデュはFDJのネオプロとしてカタルーニャを走っており、第5ステージではトップから58秒遅れの7位に入る好走を見せている。
ラヴニールの総合優勝者は、ほとんどがチームのエースとしてグランツールで総合上位を期待されるような選手ばかりなのである。

モビスターアシスト陣は鉄壁

さらに、ダニエル・モレーノとゴルカ・イサギーレも控えている。

モレーノは2015年まで所属していたカチューシャでは、ホアキン・ロドリゲスの忠実なアシストとして活躍していた。
昨年はツールとブエルタに出場し、キンタナにとって極めて重要な山岳アシストを務め上げていた。

ゴルカ・イサギーレは、パリ〜ニース総合4位と急成長ぶりを見せている。

今年のツールには、バルベルデ、ルーベン・フェルナンデス、マルク・ソレル、ダニエル・モレーノ、ゴルカ・イサギーレが同時に出場する可能性がある。
これほどの強力クライマーの選手層は決してチームスカイに引けを取らない。
むしろ、局所的には激坂に強いモビスターのクライマー陣の方が有利と言えるだろう。

クライマーだけでなく、平坦スペシャリストには山も登れるTTスペシャリストのホナタン・カストロビエホ、横風職人のダニエーレ・ベンナーティ、石畳好きなイマノル・エルヴィーティなど、バランスの良い布陣が組めそうである。

ライバルのチームスカイとトレック・セガフレードはどうだろうか。

スカイは、ゲラント・トーマスがフェルナンデスの牽引で大ダメージを負い、ミケル・ニエベとミケル・ランダは決定的な仕事をする機会はまだ見せていない。
トーマスは、ジロに向けて負荷を落としている可能性も否めないし、そもそもツールには出場しないが。

頼みの綱と言えるワウト・ポエルスは膝の怪我の影響のためか、1ヶ月以上レースから離れておりコンディションは未知数だ。
新加入のケニー・エリソンドに全てを託すのは、あまりにも無謀だろう。

一方でトレック・セガフレードは、パリ〜ニースでは強力無比なパンタノ砲の威力を見せつけてはいたが、ジロでエースを務め、ツールでコンタドールをアシストするバウケ・モレマの調子がいまいちだ。
第5ステージでも、勝負どころでは姿を消していた。

今シーズンはここまで、チームスカイとトレック・セガフレードの組織力の高さに注目していたが、今年はモビスターが最も組織力の高いチームかもしれない。

モビスターならば、鉄壁チームスカイの牙城を崩すことが出来るかもしれない。
バルベルデらの活躍によって、キンタナが総合優勝を成し遂げると見せかけて、TT等でタイムを稼いだバルベルデがうっかり総合優勝を飾ってしまうシーンを激しく期待している。

Rendez-Vous sur le vélo…

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