キンタナをマイヨ・ジョーヌに導く男、『ダニエーレ・ベンナーティ』とは?

モビスターに足りなかった最後のピースは埋まりました。

その名は、ダニエーレ・ベンナーティ、[get_age birth=”19800924″]歳。

かつては、サイクルロードレース界を代表するトップスプリンターだった男は、強力なルーラーとして活躍の幅を広げています。

風を物ともしない走りは、エースを強力に守る風除けのみならず、横風区間を利用して、他のチームに攻撃するオプションを兼ね備えたチームの武器となり得ます。

2016年ツール・ド・フランスでは、平坦アシストの実力差が影響

2016年のツール・ド・フランスを制したチームスカイは、鉄壁のアシスト陣でした。

エースのクリス・フルーム、山岳をセルジオルイス・エナオモントーヤ、ミケル・ランダ、ミケル・ニエベ、ワウト・ポエルス、ゲラント・トーマスの5名がアシストし、平坦をヴァシル・キリエンカ、イアン・スタナード、ルーク・ロウの3名が鬼のように牽き倒しました。

キリエンカ、スタナード、ルーク・ロウの3名は、無尽蔵なスタミナに加えて、そこそこ山も登れてしまうため、勝負どころまで山岳アシストを温存することが出来ました。

勝負どころの山岳では、強力な山岳アシストが刻むハイペースで、集団をコントロールし始めると、他のチームは全く手出しが出せませんでした。

こうして、気付けばゴールしているという、フルームのリードを確実に守る戦略に、モビスターは為す術がありませんでした。

エースのキンタナの不調以前に、チームスカイの鉄壁の布陣の前に敗れたと言っていいでしょう。

2016年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、モビスターも鉄壁と言えるアシスト陣でした。

エースのキンタナ、山岳をルーベン・フェルナンデス、ホセ・エラダ、ダニエル・モレーノ、アレハンドロ・バルベルデ、平坦をホナタン・カストロビエホ、イマノル・エルヴィーティ、ホセホアキン・ロハス、ローリー・サザーランドが守りました。カストロビエホとロハスは山岳でもある程度牽くことが出来る選手でした。

ツールと比べてエルヴィーティとサザーランドというスタミナ抜群の大型平坦アシストの存在は、山岳メインのブエルタと言えども、チームに大いに貢献したことに違いありません。

山岳では、ルーベン・フェルナンデス、バルベルデ、ダニエル・モレーノらの走りは素晴らしく、ツールでチームスカイがやったような、勝負どころの山岳での集団コントロールを、ブエルタではモビスターがやりました。

では、ツールとブエルタのメンバー構成をうまくシャッフルして、来年以降のツールに挑めば良いのでは?と思いますが、それで条件はトントンと言えましょう。

そうなると、今度は肝心のエース自身の能力の差、つまりフルームとキンタナのTT能力の差が総合成績にそのまま影響してしまいそうです。

そこで、ダニエーレ・ベンナーティの登場です。

ベンナーティに出来ること

最大の武器は、高いスプリント能力です。

近年、ワールドツアーレベルでの勝利経験は2011年以来遠ざかっていますが、今年のブエルタでは第7・21ステージの集団スプリントで2位に入るなど、スプリント能力の高さは健在であることを示しました。

このスプリント能力の高さ、つまり一時的に超高出力で踏める力に加えて、近年はルーラーとして一定出力以上を保つ力も向上されていて、ティンコフでは集団牽引を担うシーンが度々見られるようになりました。

この二つの力をかけ合わせると、横風が強く吹く区間で、高出力でペースを上げることが出来て、そのまま後続に差をつけた状態でペース走行することが可能で、『横風職人』の異名をとっています。

SS 1

チームスカイも横風区間での攻撃への耐性は高いと言えましょう。しかし、キリエンカ、スタナード、ルーク・ロウのスプリント能力は決して高くはありません。

ベンナーティは横風区間で攻撃を仕掛けることが出来ます。チームスカイは横風区間で守ることは出来ますが、攻撃は出来ないことはないがベンナーティほどではありません。

横風区間が都合よく登場し、都合よく攻撃を仕掛けられるとは限りませんが、ベンナーティの攻撃を警戒して、間接的にスカイのアシスト陣への攻撃・抑止力となることには違いありません。

今年のモビスターは、平坦でのチームスカイのコントロールに対し、あまりにも無策で気付けば山岳で圧倒される展開でした。

ベンナーティの存在は、モビスターの新たなオプションとして、チームスカイの脅威となるでしょう。

来年のツールの予想メンバー構成

超、気が早いですが、来年のツールのメンバー構成を予想してみます。

ナイロ・キンタナ
アレハンドロ・バルベルデ
ルーベン・フェルナンデス
ダニエル・モレーノ
カルロス・ベタンクール
ビネル・アナコナゴメス(orホナタン・カストロビエホ)
ヨン・イザギーレ
イマノル・エルヴィーティ
ダニエーレ・ベンナーティ

という構成でしょうか。

チームTTがあれば、TTスペシャリストであるカストロビエホを加えたいところです。

ブエルタで高いパフォーマンスを見せたルーベン・フェルナンデス、2014年パリ〜ニース総合優勝の経験もあるカルロス・ベタンクールを加えた、山岳アシストの力はチームスカイに決して引けを取らないと思います。

最大の問題は、バルベルデの気分次第と言ったところでしょうか。バルベルデが出ないとなると、山岳での攻撃力が一気にダウンしてしまう点は懸念材料です。

まだ、これからの動きで、有力選手の獲得に動く可能性もあるでしょう。

来年のグランツールを見据えた戦力分析も楽しみです!

Rendez-vous sur le vélo!

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