サイバナ

これからサイクルロードレースの話をしよう。略して『サイバナ』。サイクルロードレースのレース結果やコラムなど、お届けします。

さいたまクリテリウム2017 コラム

エンターテイメントとしての『サイクルロードレース』とは?

さいたまクリテリウムの是非について、議論が沸騰している。
当サイトの記事がやり玉に上がっていることは知っていたが、反論する必要はないと思ったので静観していた。

しかし、わたしのブログの読者を攻撃しようとする姿勢が見られたため、きちんと記事にしておこうと思った次第だ。

表題にあるように「エンターテイメントとしての『サイクルロードレース』とは?」という内容で記事を書きたいと思っていたことも事実。
サイバナの根幹をなす方針に関わる部分なので、せっかくなので文字にして残しておきたいと思う。

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さいたまクリテリウムは興行的側面が強い

まず、自分のさいたまクリテリウムについて「興行的側面が強い」という見解を持っている。

「興行的側面が強い」とは、100%ガチのレースではないということだ。
だからといって、100%嘘(あえてこう表現する)ではないと考える。

0か100の二元論ではなく、わたしはさいたまクリテリウムは80%くらいガチだという認識を持っている。

残りの20%には嘘(と思われるもの)がたしかに存在する。
だが、それらはレースを盛り上げるためには必要不可欠な要素なのだ。

目的は新規ファンの開拓

さいたまクリテリウムを開催する目的は何か?
一番は、日本にサイクルロードレースの文化を普及することにあるだろう。

シンプルにいえば、「さいたまクリテリウムは面白い!」と思う人を増やすことにある。
なので、さいたまクリテリウムに求められることは競技性ではなくエンターテイメント性となる。

一方で、「さいたまクリテリウムは偽物のレース。お金をかけて開催するなら、本物の100%ガチのレースを開催すべき。」という意見も見受けられる。

この意見が悪いとは思わない。
最終的にわたしが最も楽しんでいるレースは、もちろん100%ガチのレースであるように、100%ガチのレースは面白いし、見応えたっぷりだ。

しかし、初めてサイクルロードレースを見る人にとって、100%ガチのレースは簡単には楽しめない。
サイクルロードレースは展開が複雑なので、初心者が映像だけを見ても「とりあえず、なんか速かった!」という感じで終わってしまうのではないだろうか。
いつものツール・ド・フランスにしても、映像だけ見ても動きが全然ないし退屈だと感じるのが普通の感覚だ。

試しにJ SPORTSやダゾーンなりで、自分が全く知らないスポーツの中継を見てほしい。
恐らく3分で飽きるはずだ笑

自分は昨年のリオ五輪の時に、実況のない馬術競技の中継映像を見てみた。
馬が障害物を乗り越えてタイムを競っていることはわかるのが、障害物を乗り越える順番はわからないし、盛り上がるポイントがサッパリわからなかった。

ハッキリいって全く面白くなかった。
だが、恐らく馬術競技を深く愛する人にとっては、きっと見応えのある試合だったのだろう。

というように、サイクルロードレースはその面白さを伝えることが難しいスポーツだ。
サイクルロードレースの人気を拡大するためには、この難しさをいかに初心者でもとっつきやすくするかという工夫が必要になってくる。

ファンになる理由は面白いから=エンターテイメント性が高いこと

そこで、競技性の他にエンターテイメント性を高めることが重要となる。

実際にJ SPORTSは、サッシャさんや栗村さんの軽妙なやり取りを含むことで、「サイクルロードレースのルールはよくわからないけど、実況が面白いから見始めた」というライトな層を定着させることに成功した。

弱虫ペダルは古参のサイクルロードレースファンに向けてではなく、サイクルロードレースを全く知らない人にも伝わるように、分かりにくいルールには独自の改変を加えて、エンターテイメント性の高い作品に仕上げた。爆発的なヒットとなり、実際にレースを見てみようという新しいファン層の開拓に成功したのだ。

深くサイクルロードレースを知れば知るほど、激坂・パヴェ・横風などの存在がサイクルロードレース観戦のエンターテイメント性を高めてくれることになるが、初心者には激坂・パヴェ・横風などの要素にエンターテイメント性を感じることは難しい。

要はどの層に普及させたいかによって、伝えるべきエンターテイメント性は異なってくるということだ。

さいたまクリテリウムがターゲットにしている層はどこか?
それは古参のファンではなく、新規のファン層ではないだろうか。

もちろん、それだけでは興行として成り立たないので、古参のファンや中級者でも楽しめる要素が多くさいたまクリテリウムには含まれている。

一番大事なことは、新規ファン層の開拓であり、サイクルロードレースを全く見たことない人でも楽しめるようにエンターテイメント性を高めなければならない。

そこで、冒頭であげた20%の嘘が必要となる。

それらは決して出来レースのためではなく、言い換えればディズ◯ーランドにおけるミッ◯ーのようなものだ。

子供の頃、ミッ◯ーが実在すると信じて疑わなかった人も多いだろう。
そして、ミッ◯ーが実在すると信じてる子供に対して、「あれはただの着ぐるみだよ」「中に人が入っているんだよ」と教えることは果たして正しいことなのだろうか?
わたしには野暮に思えてならない。

成長する過程で子供は気づく。「ミッ◯ーは着ぐるみだ」ということに。

そうして大人になった人たちは皆、ディズ◯ーランドへの興味を失っだだろうか?
もし全員が興味を失っているなら、毎年3000万人を越える来園者たちはどこから来ているのか?
リピーター率97.5%という数字をどう説明するのか?

皆もちろんわかっているのだ。「ミッ◯ー」が着ぐるみであることを。
「ミッ◯ー」が着ぐるみであることをわかった上で、ディズ◯ーランドのファンであり続けている結果に他ならない。

だからといって、ディズ◯ーランドが大好きなファンに対して、「ミッ◯ーなんて着ぐるみじゃん」とわかったような顔して指摘してくる人間をどう思うだろうか?

良い気分にはならないだろう。というかあまり関わりたくないはずだ。少なくともわたしはそう思う。

さいたまクリテリウムもディズ◯ーランドみたいなものだ。
マイヨジョーヌの逃げを容認したり、最後のスプリントで来日した選手に花を持たせる素振りは確かに見られた。
その点を、「ほら嘘じゃん!!」としたり顔で指摘する人間は、ディズ◯ーのファンに「ミッ◯ーは着ぐるみ」と指摘しているようにしか見えないのだ。

もしくは、純粋にミッ◯ーの存在を信じて疑わない子供たちに、「ミッ◯ーは着ぐるみなんだよ」というようなものである。
ここでいう「子供」とは、さいたまクリテリウムにおいて、サイクルロードレース観戦初心者のことである。

それでもなお、嘘を抜きにした100%ガチのレースを見れば楽しさが伝わると思っている人には、ミッ◯ーのいないディズ◯ーランドを想像してほしい。

果たして、3000万人の来園者数はどうなるだろうか。半減したっておかしくない。

わたしには、さいたまクリテリウムを100%ガチなレースにすればいい、という意見に反対な理由はここにある。

エンターテイメントの普及には、フィクション的な要素が必要不可欠なのだと声高に主張したい。

エンターテイメントにおいて、嘘を嘘だと指摘することは大人の振る舞いではない

さいたまクリテリウムを初めて観戦する人は、子供のように100%ガチなレースと信じて見ればいいのだ。
もしかしたら何度か観戦する中で、嘘があると気づいてショックを受けるかもしれない。

けれどもディズ◯ーのように、ミッ◯ーが着ぐるみと知っていてもなお、ディズ◯ーのファンであり続ける人たちがこの世界にはものすごい人数存在する。
「ディズ◯ーランド」というコンテンツが面白ければ、嘘(フィクション)が含まれていても人は離れないのだ。

つまり、子供が大人に成長する過程で育児が必要なように、観戦初心者が観戦中級者・上級者と成長していくためにもサポートが必要なのだ。

さいたまクリテリウムはガチと信じていたのに、嘘があると気付いてショックを受けたファンにはフォローが必要となる。
そして、興行レースを楽しむところから、肝心要の100%ガチの公式戦のレースを楽しめるようなフォローが必要となる。

だから、サイバナではサイクルロードレースのコンテンツで、100%ガチなレースであるUCIワールドツアーなどのレースについて、より深く楽しめるようなコラムに力を入れている。

ロンド・ファン・フラーンデレンはこんなに面白い!
アシスト選手はこんなに凄い!
山岳バトルってこんなに見応えあるんだよ!
ということを、エンターテイメントとして読めるようにサイバナでは工夫をこらしている。

ディズ◯ーには、ミッ◯ーだけでなく、ビッグサン◯ーマウンテンやカ◯ブの海賊といった、面白いアトラクションがたくさんあるんだよ、という感じでサイクルロードレースの本当の面白さを伝えているつもりだ。

そうすることで初めは観戦初心者だった人たちも、さいたまクリテリウムに含まれるような嘘の要素がなくとも、100%ガチのレース自体が非常に高いエンターテイメント性を持ったコンテンツとして消化できるようになるのだ。

サイバナは初心者に寄り添うサイトでありたい

公式戦は100%ガチでなければならない。嘘は決して含んではならない。ここでいう嘘とは、八百長やドーピングの類だ。

けれども入り口となるさいたまクリテリウムのようなレースでは、エンターテイメント性の高さこそが全てである。
例え嘘といわれようとも、ファンを楽しませるという一点でブレていなければ、嘘を含もうとも全く問題ない。

入り口をつくる仕事はわたしにはできない。
だが、入り口から入ってきた初心者の方々を歓迎し、共に観戦中級者・上級者を目指すことはできる。

わたしがサイバナでやりたいことは、新規ファンの定着である。
これが全てだ。

したがって、当サイトの記事は100%の真実をベースに、20%のエンターテイメント性を高める筆者の見解を含んでいる。

その考えは違う。その見方は違う。と指摘することは全く構わないし、大歓迎だ。

だが、本当に100%真実のみを含んだレースレポートを読んでいるだけで、ファンは定着するのだろうか。
わたしにはその点が一番疑問だった。

初心者から中級者を目指すファンにとって、一番読みたいものは何か。
それが、エンターテイメント性の高いコラムだとわたしは考える。(もちろんチームレビューなどの細かい分析記事も必要)

わたしなりに考えた結論である。

サイト開設から1年3ヶ月経ったが、自分はこの方針を貫いて、今では月に1万人以上の方に読んでいただけるサイトへと成長することができた。
ツールがあった7月には、3万5000人の方に読んでいただいた。
少なく見積もっても1000人以上の新規ファンを定着させることに成功したのではないかと思っている。

ひとえに、サイクルロードレースをもっと楽しみたい!という想いをもった読者の皆さまのおかげである。
そして、サイクルロードレースの発展を心から願っている読者の皆さまのおかげである。

自分のやり方が正しいかどうかなんて、今は知る由もない。
ただ、自分が良いと思う方法で、これからもサイクルロードレース界の発展のために、微力ながらも貢献していきたい。

Rendez-Vous sur le vélo…

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-さいたまクリテリウム2017, コラム