サイバナ

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コラム ジャパンカップ2016

ジャパンカップで最もファンを増やした男、エイセンハートとは何者か?

2017/07/31

ジャパンカップ・クリテリウム、ジャパンカップと、サイクルロードレースを現地観戦してきたが、普段中継では見られない選手の一幕を見る楽しみが大きかった。

バイクを降りた選手がクールダウンもそこそこにファンサービスに努める姿や、投げ捨てられた不要な補給食を別のチームのスタッフが道路の端にどかしたり、集団後方を走る選手たちの表情や位置取りなど、興味深い出来事のオンパレードであった。

プロサイクルロードレース選手は得てしてファンサービス精神が旺盛である。全員がそうとは思わないが、ほとんどの選手たちは時間の許す限り、サインや記念撮影に応じていた。サイクルロードレースは日本国内においては未だマイナースポーツであり、日本のチームや選手たちが積極的にファンサービスを行うのは、認知度を上げるため、ファンを増やすためには欠かせないことだ。

ところが、ジャパンカップではヨーロッパのトップチームの選手たちこそが、積極的にファンサービスを行っていた。もちろん、ジャパンカップの主役は普段は観ることのできないヨーロッパを主戦場としている選手・チームだからこそ、彼らに注目が集まるのは必然と言えよう。それでも、遠い異国の地であるにもかかわらず、誠心誠意ファンサービスに努める姿には、本物のプロフェッショナルを感じた。

中には、来年から今年とは違うチームで走ることが決まっている選手もいる。来シーズンは違うジャージを着ていることになるにもかかわらず、誰よりも全力でファンサービスをしている選手がいた。

そう、テイラー・エイセンハート。今、最もサイクルロードレースシーンでアツい男だ。

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来日前は全くの無名選手だった

エイセンハートは、2013年よりBMCレーシングの育成組織に所属している。今年の8月にトレーニーとしてBMCレーシングのトップチームに昇格し、プロデビューを果たし、ヨーロッパの上位カテゴリのレースに出場するようになった。ピチピチのルーキーである。

細身の身体のイメージ通り、脚質はクライマー。これまでのキャリアでもステージレースでの成績は良い。2016年のツアー・オブ・ユタ(2.HC)では総合7位という好成績を残し、ツアー・オブ・ブリテン(2.HC)にも出場した。(結果は最終第8ステージでDNF)

BMCレーシングは、非常に期待をしている選手の一人であることが分かる。

ところが、来シーズンはアメリカのコンチネンタルチームである、ホロウェスコ・シタデル・レーシングチームへの移籍が決まっている。このチームは、ジョージ・ヒンカピー1)ランス・アームストロングの右腕的存在。後に抹消されたが、ランスのツール7連覇中を含め、ツールに17年連続出場した、名アシスト選手。が立ち上げたチームが母体となっている。

このホロウェスコ・シタデルと、BMCレーシングはパートナーシップ協定を結んでいるため、ゆくゆくはBMCレーシングへ戻ることも視野には入っているだろう。ジャパンカップのメンバーに選ばれ、クリテリウムでは逃げに乗ったジョーイ・ロスコフもホロウェスコ・シタデルの前進であるヒンカピー・スポーツウェアの出身だ。

だが、UCIの規定によりコンチネンタルチームは登録国が所属する地域で開催されるレースにしか出場出来ない。例えば、日本のコンチネンタルチームである愛三工業レーシングは基本的にアジアで開催されるレースにしか出場することは出来ないのだ。また、海外遠征は費用や手間もかかるため、同じコンチネンタルチームである宇都宮ブリッツェンなどは国内に絞って出場している印象だ。

つまり、ホロウェスコ・シタデルが、日本で開催されるレースに出場する可能性は非常に低い。にもかかわらず、エイセンハートは2日間に渡って、いやチームプレゼンテーション時から猛烈なアピールをしていた。

圧倒的な存在感を発揮したエイセンハート

まずは金曜のチームプレゼンテーションでの一幕。

この写真を見れば一発なのだが、一人だけ突き抜けている笑

この時点では、ちょっと変わった人なのかもしれないな、と思っていた。

翌日のクリテリウムでは、警察の白バイに乗ってみたり。

パレード走行中にも、ただでさえテンション高いBMCのメンバーの中で一際高いテンションで走ってみたり。

クリテリウム後はスカジャンを着込んで、街に出掛けてみたり。

たった2日で、サイクルロードレースファンの心を一気に鷲掴みにしたのである。

笑顔を絶やさない甘いマスクで、多くの女性ファンのハートを射抜いたようで、日曜のジャパンカップ後のサイン会ではテイラー・フィニーやマヌエル・クインツィアートといった有名選手を抑えて、最も人気があるように見えた。女性ファンからの写真撮影の要望が多かった。

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身体の前で横向きにピースする格好をやってみたいとさえ思う。このピースを“エイセンピース”と名付けよう。

サイン会を終え、自走でホテルへと帰る選手たちが多かったが、レース後とは思えないスピードでかっ飛んで帰るのがスタンダードであるが、エイセンハートは一味違っていた。

『アリガト、アリガト〜!』
『BMC!BMC!BMC!』
『フォーーーーッ!!!』

と、やりたい放題だ笑

あまりにも突き抜けていて、何度見ても笑ってしまう。

完全に、わたしもハートを掴まれたようだ。

SS

だから、こうしてエイセンハートに関する記事を書いている次第である。

ところが、そのエイセンハートが来シーズンはアメリカのコンチネンタルチームに移籍してしまうのだ。

しばらく、日本のファンの前に姿を見せる機会は無くなるだろう。だが、日本のサイクルロードレースファンはエイセンハートが再び日本の舞台で活躍するその日を待ち望んでいる。

今度は名実ともにBMCのエースとして、ジャパンカップに出場して欲しいものである。決まったら、“エイセンピース”だ!

当サイトでは、エイセンハートの動向を追い続けて行きたい。

Rendez-Vous sur le vélo…

References   [ + ]

1. ランス・アームストロングの右腕的存在。後に抹消されたが、ランスのツール7連覇中を含め、ツールに17年連続出場した、名アシスト選手。

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