イル・ロンバルディアの優勝候補は、WT未勝利のジュリアン・アラフィリップなのか?

当サイト激推しのジュリアン・アラフィリップが、イル・ロンバルディアのスタートリストに名を連ねている。

当然、アラフィリップに注目してレースを観戦したいところであるが、今大会のコースプロフィールを見れば見るほど、アラフィリップ向きのコースではないかと思えてくる。

思えてくる、というレベルではない。完全にアラフィリップ向きのコースである。

とはいえ、アラフィリップはここまで相当に注目されているが、実はワールドツアーカテゴリのレースは未勝利である。

キャリア最大の勝利は、2016年ツアー・オブ・カリフォルニア(2.HC)のステージ優勝&総合優勝だろう。

しかし、ワールドツアーカテゴリでは、惜しいレースが続いている。

2015年『フレーシュ・ワロンヌ』2位、『リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ』2位、2016年『フレーシュ・ワロンヌ』2位と、クラシックレースで2位が続いているだけでなく、いずれのレースでも優勝はアレハンドロ・バルベルデだった。

2016年ツール・ド・フランスでもステージ2位、欧州選手権でも2位、こちらはとちらもピーター・サガンが勝利しているレースだ。

バルベルデとサガンは、アラフィリップにとっては天敵とも言える巨大な壁だ。

※『欧州ロード選手権2位、ジュリアン・アラフィリップの憂鬱。とは?

しかし、『イル・ロンバルディア』には、バルベルデもサガンも出場しない。少なくとも、何度やっても勝てなかった相手はいない。

もちろん筆者は、天敵がいないからアラフィリップが有利だなんて、野暮な主張をするつもりはない。

極めて客観的な分析の結果、アラフィリップが優勝の最有力候補だと言いたい。

まずは、イル・ロンバルディアのコースプロフィールを見ていただきたい。

イル・ロンバルディアのコースプロフィール

SS 2

イタリア・ミラノ北部のコモをスタートして、ベルガモへとフィニッシュするコース。

SS 3

イル・ロンバルディアの象徴とも言える、マドンナ・デル・ギザッロの登りはレース序盤56km地点から始まる。

SS 4

131km地点から始まる、ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァの登りは、最大斜度17%・平均勾配8%・距離11.65kmのグランツールであれば、1級・超級に該当するレベルの厳しい登りだ。

しかし、まだレース中盤であり、決定的に遅れることが無ければ、十分挽回できる場面である。ライバルチームのアシストを削るためのペースアップをする可能性は十分にあり得るが、優勝狙いの選手同士によるアタックは、また起きないだろう。

SS 5

206km地点、ゴールまで残り35km地点から最後の大きな登りが始まる。

最大斜度9%・平均勾配5.4%・距離6.9kmの難易度は高くはない登りだ。

登ったあとは、12kmのダウンヒルのあと、平坦路を走って、ゴール前に丘を登る。

SS 6

ラスト5km地点から1.5kmほどの短い登りが待っている。

最大斜度12%・平均勾配7.9%の登りは、パンチ力がある。

この登りを終えると、緩やかにフィニッシュへと向かう。

一言で言うなら、アラフィリップ向きのレイアウト

同じようなフィニッシュが設定された2014年のイル・ロンバルディアでは、いくつかの登りを経て、生き残ったクライマーやパンチャーの小集団によるゴールスプリント勝負になるかと思われていた。

残り500mでタイミングよくアタックを成功させたダニエル・マーティンが逃げ切った。2位以下には、アレハンドロ・バルベルデ、ルイ・コスタ、ティム・ウェレンス、サムエル・サンチェス、ミハエル・アルバジーニ、フィリップ・ジルベール、ホアキン・ロドリゲス、ファビオ・アルというメンツだ。

結果はマーティンの逃げ切り勝利であったが、順当にスプリント勝負となれば、バルベルデ、ジルベール、アルバジーニと言ったスプリント力のある選手が有利だったと言えよう。

つまり、高いスプリント力を有するアラフィリップも最後まで生き残ることが出来れば、優勝の最有力候補となるのだ。

中盤の最大斜度17%の登りはキツいが、ここを凌ぐことが出来れば、あとの山はアラフィリップにこなせない登りではないだろう。

今大会へエントリーしているライバルとなり得るライダーは、

ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)
ヤン・バークランツ(ベルギー、AG2R)
ロメン・バルデ(フランス、AG2R)
フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
フレフ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
エンリコ・バッタリン(イタリア、ロットNLユンボ)
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)※インフルエンザのため欠場
バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)

と言ったあたりだろうか。

ジルベール、ヴァンアーヴェルマートが生き残ってしまうと、単純なスプリント力ではこの二人にはなかなか敵わないだろう。

ただ、2014年大会に比べて、後半の登りの数が多いので、ジルベールとヴァンアーヴェルマートは生き残った上で、脚を残してスプリント勝負に持ち込めるかどうかは厳しいと思われる。

エティックス・クイックステップとしては、ダニエル・マーティン、ジャンルーカ・ブランビッラ、ダビド・デラクルスと言った屈指のクライマーも出場するので、登りでジルベール、ヴァンアーヴェルマートらパンチャーに対して攻撃を仕掛けたいところだ。[1]アラフィリップがエースナンバーを背負って出場するため、基本的にはアラフィリップがエースとしてレースを展開すると思われる

純粋にクライマー能力の高い選手が生き残って、という展開になればアラフィリップのスプリント力は際立って高いため、十分に勝機があると、筆者は見ている。

私的な感情ではなく、冷静な分析の結果、イル・ロンバルディアの優勝予想にはジュリアン・アラフィリップを強く推したい。

10月1日17:45にパレード走行開始、フィニッシュ予定時刻は24:00だ。(すべて日本時間)

アラフィリップのワールドツアー初勝利を期待して、中継を見たいと思う。

Rendez-Vous sur le vélo…

References

References
1 アラフィリップがエースナンバーを背負って出場するため、基本的にはアラフィリップがエースとしてレースを展開すると思われる

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