サイバナ

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コラム ツール・ド・フランス2018

ツール・ド・フランス前哨戦レビュー!〜総合編その1〜

ツール・ド・フランスの直前に開催されるステージレースでの結果は本戦での成績を占う上で非常に重要である。

いくら調整レースとはいえ、ズタボロの成績で本戦で結果を残すパターンは極めて稀なことだからだ。

そこでツールで総合を狙う有力選手の状態について、クリテリウム・デュ・ドーフィネ、ツール・ド・スイス、ツアー・オブ・スロベニア、ルート・ド・オキシタニーと、ツール前哨戦と呼ばれるステージレースに出場した選手ごとにレビューしていきたいと思う。

ボリュームが大きくなったので前後編に分けて、今回はドーフィネとオキシタニーに出場した選手を対象とした。

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クリテリウム・デュ・ドーフィネ

総合優勝、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

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活躍期待度:★★★★☆
総合期待度:★★★★☆

初日のタイムトライアルでは落車したものの、結果的に総合有力勢より速いタイムを叩き出したスピードはツールの総合を戦う上でもものすごいアドバンテージとなるだろう。

山岳ステージでは自らアタック仕掛けて後続を突き放す走りも見せており、TT・山岳と隙がない。

一方で、初日の落車を含め、最終日には2回もパンクするなど、重要な局面でのトラブルの多さが気になるところ。本当にトラブルが多い選手なだけにリアルに心配なので、★4つとした。

チームの絶対的エースであるクリス・フルームのアシストが最優先任務となるだろうが、トーマス自身の総合成績も大いに期待できるだろう。万が一、代役エースを担うことになっても、総合優勝を十分狙える力を持っている。

総合2位、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

活躍期待度:★★★★★
総合期待度:★★★★☆

ジロで英雄的な活躍を見せた双子の兄弟であるサイモンの姿を見ると、必然的にアダムにも期待を寄せたくなる。

初日の個人TTではトーマスとアダムはほぼ同タイムで、第4ステージのチームTTではミッチェルトン・スコットは優勝したチームスカイから56秒遅れだった。総合成績ではトーマスから1分遅れの総合2位だったため、2人のタイム差はほとんどTTでついたものと等しい。

そして、最終日のラスト1kmで見せた凄まじい切れ味のヒルクライムを見ると、やはりイェーツ兄弟の登坂能力は凄まじく上がっているのではないかという期待が持てる。

一つ懸念点があるとすれば、スプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア)も出場するため、ユアンのリードアウト要員を数名起用することになる。そのため、アダムのアシストは、ジロでのサイモンと比べると薄くなってしまうだろう。

総合3位、ロマン・バルデ(フランス、AG2R)

活躍期待度:★★★★★
総合期待度:★★★★★

ドーフィネでは終始安定したパフォーマンスを見せて総合3位に入った。短距離平坦TTとなった初日のプロローグでは大きく出遅れたものの、課題と思われたチームTTではかなり善戦してステージ7位となった。

とはいえ、今が絶好調という様子にも見えないため、先を見据えて調子を上げすぎていないように見える。

今年のツールでは石畳や未舗装路区間が登場する。その対策として3月のストラーデ・ビアンケに出場して2位となる素晴らしい走りを見せていた。さらに4月のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは3位表彰台を獲得した。

というように今シーズンのバルデは、何もかも過去のシーズンに比べて良くなっている印象を受けるので期待が大きくなる。

総合4位、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチーム・エミレーツ)

活躍期待度:★★★★☆
総合期待度:★★★☆☆

シーズン当初の不調ぶりに比べたら、ドーフィネでは劇的な復調を遂げたといえる走りだった。

ステージ優勝した第5ステージでは、得意のミドルレンジアタックを見事に成功。ツールに向けてしっかり仕上げてきたといえよう。

しかし、いかんせんチーム力に大いに不安がある。第4ステージのチームTTではステージ20位となり、プロコンチネンタルチームにも負けてしまった。

ツール本戦には、スプリンターのアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が出場予定であり、結局マーティンのためのチーム編成とはならなそうである。

総合10位、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)

活躍期待度:★★☆☆☆
総合期待度:★★☆☆☆

一体どうしたのだろうか?と心配になるほど、今シーズンのザカリンの存在感が全くない。

過去2シーズン、グランツールの前のレースでは欠かさずステージ優勝や総合表彰台などの際立った成績を残していたのだが、今シーズンはそれが一切ない。

加えて今シーズンのカチューシャ・アルペシンはザカリン以外の選手も、全体的に低調なパフォーマンスに見えるため、すべてがうまくいっていない印象を受けてしまう。

ツールにはスプリンターのマルセル・キッテル(ドイツ)も出場予定であり、ザカリンへのサポートは少なくなることも不安要素の一つだ。

総合19位、ワレン・バルギル(フランス、フォルテュネオ・サムシック)

活躍期待度:★★★☆☆
総合期待度:★☆☆☆☆

昨年のツールでは、準MVPといっても過言ではない活躍を見せたバルギルだが、鳴り物入りで移籍したフォルテュネオ・サムシック加入後は全く活躍ができていない。

さらに、シーズン序盤はバクテリアに感染してしまい不調が続いていたとのこと。現在は症状は完治しているが、ドーフィネではトップコンディションには程遠い低調なパフォーマンスだった。

しかし、昨シーズンのバルギルもツール前のレースでは特段目立った活躍は見せていなかった。去年の活躍があったため、バルギルへの注目が高まり、山岳での失速などが目立って放送されてしまうことが印象が悪い原因の一つではないだろうか。

本当にツール一本に絞っているなら、本戦で突然活躍をしても不思議ではないだろう。ただし、バルギルはツールの山岳ステージ優勝と9月の世界選手権を目標としているようで、ツールの総合は狙っていない様子だ。

総合24位、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

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活躍期待度:★★★★☆
総合期待度:★★★★☆

ニーバリについては何の心配もいらないだろう、と言い切りたいところだったが、それにしてはドーフィネでの走りはあまりにも低調だった。

6月20日に開幕するアドリアティカ・イオニカ・レースへの出場をキャンセルしていることも含めて不安材料は多い。

ニーバリのグランツールでの戦い方は、たとえビハインドを背負っても大崩れすることが絶対に無く、ライバルが自滅した隙に総合上位に進出していることが多い。さらにここぞの場面で一世一代の走りを見せて、勝利を掴み取る走りができる選手だ。

見た目の調子が悪そうでも、ニーバリほどの大ベテランであれば重要な局面に合わせてコンディションを上げてくるものと思われる。

しかし、ポジティブな要素がそういった過去の実績以外に無いので★4つとした。

総合25位、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)

活躍期待度:★★★☆☆
総合期待度:★★☆☆☆

最終ステージで派手な落車をした影響で大きく遅れてしまいこの総合順位となった。

ただし、山岳ステージでチームメイトのジュリアン・アラフィリップ(フランス)よりも先に脱落していたので、調子自体もあまり良くないのかなと見受けられる。

こちらもスプリンターのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)でのステージ優勝を大いに狙えるため、山岳アシストはアラフィリップくらいしかいないだろう。しかし、過去2回ジロで新人賞を獲得した際も、山岳アシストによるサポートはほとんど無かったので問題ないと思われる。

総合45位、ダビ・ゴデュ(フランス、グルパマ・エフデジ)

活躍期待度:★★☆☆☆
総合期待度:★★☆☆☆

第1ステージで落車した際に、左手を数針縫うほどの怪我を負っていた。にもかかわらず、終盤の山岳ステージでは上位でフィニッシュしており、決して悪くないパフォーマンスだった。

本来であればツールではティボー・ピノ(フランス)がエースを務める予定だったが、ジロの終盤に罹患した肺炎からの回復状況が思わしくないため欠場となった。代役エースとして21歳のゴデュに白羽の矢が立ったのだ。

ゴデュにとっては初出場のグランツールでもあるため、過度の期待は禁物だろうが、もし総合10位以内で完走するようなことがあれば、ニューヒーロー誕生の大活躍だといっても過言ではない。

ルート・ド・オキシタニー

総合優勝、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスターチーム)

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活躍期待度:★★★★★
総合期待度:★★★★☆

今シーズン出場したステージレースは4戦全勝を飾り、出場したワンデーレースでは、シーズン初戦の40位を除けば、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュの13位が最も低い順位という38歳とは思えない極めて安定した活躍を続けている。

オキシタニーでは、バルベルデに対抗できるような強力なライバルはいなかったものの、第3ステージでは最後の上りスプリントの伸びが絶品だった。

さらに第4ステージでは普通のスプリンターに混じって集団スプリントで2位に入るなど、常識では理解できない走りを見せていた。

モビスターのツールでの戦略は実質的にはナイロ・キンタナとミケル・ランダのツートップと思われるが、バルベルデがあまりにも調子が良いためトリプルエースという表現が適切になってくるのだろう。

安定した走りを続けていたら、いつの間にか表彰台をゲット、なんてことが普通にありそうに思える。

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後編のツール・ド・スイス、ツアー・オブ・スロベニアに出場した選手のレビューは後日公開予定!

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