サイバナ

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コラム フレーシュ・ワロンヌ2017

フレーシュ・ワロンヌ4連覇!"最強"アレハンドロ・バルベルデの倒し方とは?

はいはい、バルベルデバルベルデ。
という感想を抱いたファンも多かっただろう。

フレーシュ・ワロンヌ通算5勝目は、2位以下の通算勝利数が3であることから、いかにズバ抜けた成績であるかが伝わることだろう。
フレーシュ4連覇&通算5勝目という偉業は未来永劫語り継がれるものだろう。

それにしても、最後のユイの壁残り200mでスプリントをかけて勝ち取るシーンは毎度おなじみの光景となっている。
バルベルデのみならず、ズバ抜けた実力の持ち主が集うレースにおいて、ワンパターンとも言える展開で他のプロたちが敗北を喫し続けている。
「またバルベルデかよ」と思うと同時に「他の選手たちは何をやっているんだ?」という疑問も浮かび上がってくる。

残り200mでスプリント仕掛けるというシンプルすぎる作戦に対応することは出来ないのだろうか。
たとえどれほど、バルベルデが優れた選手であったとしても、サイクルロードレースに不可能という文字は存在しないのではないだろうか。
必ず突破口があるはずだ。

わたしは、対バルベルデの攻略法を熟考し、とうとう3つの戦略を編み出すに至った。

今回は、バルベルデの倒し方を伝授したい。

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バルベルデとはどんなレーサーなのか?

孫子の兵法には『彼を知り、己を知れば百戦危うからず』という有名な一文がある。

バルベルデに勝つためには、バルベルデのことを深く知る必要がある。
バルベルデの強さとは何か、改めて考えてみた。

やはり、登坂力・スプリント力・独走力、すべての面でハイレベルな実力を持っていることが最大の強みだろう。

登坂力には、長い登りをこなす力と短い登りをこなす力の2つに分けられる。

便宜上、ここでは
長い登坂力を「登坂距離10km・平均勾配8%・最大勾配15%の山を登る力」
短い登坂力を「登坂距離1km・平均勾配10%・最大勾配25%の山を登る力」
と定義する。

バルベルデは長い登坂力に関して、クリス・フルームやナイロ・キンタナといったグランツールレーサーに匹敵する登坂力を持っている。
スプリント力の高さがフォーカスされがちだが、バルベルデの基礎は何と言ってもグランツールで優勝するほどの長い登坂力だ。

そして、ユイの壁のような短い登坂力も非常に高い。
フィリップ・ジルベールやダン・マーティンといったクラシックスペシャリストたちをも凌ぐ力を持っている。

むしろ、バルベルデはユイの壁を世界一速く登ることが出来る選手かもしれない。

ペース走行も出来れば、激坂にも対応できる。
汎用性の高い登坂力のおかげで、バルベルデは登りで攻撃を仕掛けられても簡単には倒されない。

そして、長い登りや短い激坂をクリアした後でも、周囲のクライマーを圧倒するスピードを出すことが出来るスプリント力の高さが強力無比なのだ。

とはいえ、マルセル・キッテルやマーク・カヴェンディッシュたちのようなピュアスプインターには太刀打ちできないだろう。
ペーター・サガンやフレフ・ヴァンアーヴェルマートのようなパンチャーたちも然り。

あくまでクライマーと呼ばれる選手の中では、圧倒的なスプリント力を持っているということだ。
圧倒的という言葉では足りないくらいで、ハッキリ言って段違いで桁外れの能力と言えよう。
ゆえに、フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュ、イル・ロンバルディアのようなクライマー向きのクラシックレースでは、バルベルデは天下無双の豪傑なのだ。

タイムトライアル能力も有しており、クリス・フルームほどではないが、アルベルト・コンタドールに匹敵するTT能力を持っている。
ワンデークラシックの終盤でありがちな、少人数での逃げや、独走に持ち込んでも優位に走ることが出来る。

このように、バルベルデとは「類まれなる登坂力の上に、高いスプリント力と独走力を有した選手」と表現することが出来る。

このような恐ろしい選手が、間もなく37歳を迎える大ベテランだという事実にも驚愕してしまう。

だが、バルベルデにも決して穴がないわけではない。

バルベルデよりスプリント力の高い選手で勝負

簡単に言えば、カヴェンディッシュやヴァンアーヴェルマートが、バルベルデとのスプリント勝負に持ち込むことが出来れば、ほぼ確実に勝つことが出来る。
だが、カヴェンディッシュやヴァンアーヴェルマートが、ユイの壁で生き残ることは不可能だ。

バルベルデが猛威を奮うアルデンヌクラシックでは、全く成り立たない作戦となる。

だが、バルベルデよりわずかにスプリント力が高い、もしくはバルベルデと同程度のスプリント力を持った選手で勝負することなら出来るかもしれない。

ジルベールは、長い登坂力は弱いが、短い登坂力とスプリント力であれば、バルベルデに匹敵する力を持っている。

ジュリアン・アラフィリップもそうだ。
長い登坂力はかなわずとも、短い登坂力とスプリント力なら十分勝負できる。

ダン・マーティンも然り。
バルベルデよりややスプリント能力には劣るが、その分キレ味鋭い登坂力でカバーしたい。

この作戦は勝率5分とは言えないが、それほど分が悪くない戦いに持ち込むことが出来ることがメリットである一方で、
デメリットは、ジルベールもアラフィリップもダン・マーティンもクイックステップ・フロアーズの選手であり、クイックステップ・フロアーズ以外に実行不可能な作戦であることだ。

ちなみに、バルベルデがフレーシュ4連覇中の2位以下の選手を見てみると、

2014年2位:ダン・マーティン
2015年2位:ジュリアン・アラフィリップ
2016年2位:ジュリアン・アラフィリップ、3位:ダン・マーティン
2017年2位:ダン・マーティン

となっている。

クイックステップにとって、アラフィリップとジルベールを怪我で欠いたことが非常に痛手だったと言えよう。

スプリント力で対抗する作戦は、将来的にアラフィリップの成長次第では、バルベルデを打倒することが出来るかもしれない。
いや、その可能性は非常に高いと思う。

では、スプリント力で対応することが出来ないチームはどうすればよいだろうか。

バルベルデより独走力が高い選手で勝負

まさしく、今大会のボブ・ユンヘルスのような戦い方だ。
2003年のイゴル・アスタルロア以来の独走逃げ切り勝利が見られるかと、ハラハラしたが、やはりユイの壁で集団に飲み込まれてしまった。

この逃げ切り戦術び確実性を高めるために必要なことは、追走する集団の脚を削ることだ。

今大会の例で言えば、BMCレーシングのデ・マルキが集団から飛び出す前に、BMCレーシングとクイックステップはアシスト総動員で他のチームのアシストをふるい落とす動きが必要だったかもしれない。
猛烈なセレクションによって、人数を減らし脚を削られた集団に対して、デ・マルキとユンヘルスが飛び出すような動きが出来れば、逃げ切る筋はあったかもしれない。

だが、バルベルデを支えるアシスト陣は、このような攻撃で簡単に削られるほどヤワではない。
さらに分の悪いことに、今大会でも見られたようにモビスターに協調して集団コントロールするチームが現れることだ。

逃げ切りを決めたいチームと、ユイの壁で勝負したいチーム、どちらがマイノリティかと言えば、やはり前者であろう。

バルベルデの圧倒的な力を説いて、逃げ切りに協調するチームを集う事前工作が必要となるだろうし、逃げ切りは時の運に依存する要素が強い。

それでも、何もせずユイの壁を迎えるよりは、遥かに積極的で勝率が高い戦術と言えよう。

最も勝率が高いであろう、究極の持久戦術

戦術その1もその2も、最善を尽くしたところで、対バルベルデの勝率は良くて10〜20%程度だろう。

だが、それらの戦術を凌ぐ勝率が100%に近づく戦術を発見した。

それは、バルベルデの衰えを待つことだ。

…ギャグで言っているわけではない。
実際に、ダン・マーティンも「わたしがフレーシュ・ワロンヌに勝つためには、バルベルデの引退を待つしかないかも」と言っている。

(※参考:Dan Martin: Maybe I've got to wait for Valverde to retire to win Fleche Wallonne)

決して冗談ではなく、現実的に最も勝ち目のある戦い方は、諦めずに何年にも渡ってバルベルデに勝負を挑み続けることだろう。

バルベルデがどれだけ超人だったとしても、いずれ必ず衰えがやってくる。
それまで、トップコンディションを維持し続けるか、高めて続けた選手が栄光のフレーシュ・ワロンヌ勝者に輝くことだろう。

この戦術の唯一の欠点は、バルベルデが超人すぎるゆえに、衰えがやってくるのが1年後なのか5年後なのか10年後なのか定かでないことだろう。

やはりバルベルデは最強だった

アルデンヌ・クラシックにおいては、非の打ち所がない。
特にフレーシュ・ワロンヌはバルベルデの独壇場が続くだろう。

だが、次戦のリエージュ~バストーニュ~リエージュではどうだろうか。
レース中盤から組織的に動いて、バルベルデ擁するモビスターに攻撃を仕掛け続けることが出来れば、バルベルデを置き去りにしたまま精鋭集団の逃げが決まるかもしれない。

リエージュ~バストーニュ~リエージュは、フレーシュ・ワロンヌほど絶望的な戦いにはならなそうだ。
最強バルベルデに挑むライバルたち、という構図になるだろう。

ライバルたちの猛攻にバルベルデは沈むのか。
はたまた、年単位でバルベルデの衰えを待つことになるのか。
週末の楽しみにしたい。

Rendez-Vous sur le vélo…

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-コラム, フレーシュ・ワロンヌ2017