サイバナ

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コラム ジャパンカップ2017

ジャパンカップ2017 フリーラン走行記〜豪雨のライド、ポジション取りが命〜

サイクルロードレースの現地観戦の大きな魅力は、普段は画面越しでしか見れない選手を至近距離で見られること、そして直接選手とコミュニケーションをとれることだ。

特にファンサービス精神旺盛なプロサイクリストたちは、非常に細やかなコミュニケーションをとってくれる。
その一つが、フリーランだ。

ジャパンカップ フリーランでは、本戦で使用する森林公園周回コースを1周走るファンライドイベントだ。
このフリーランには、本戦に出場する海外チームの選手たちのほとんどが参加してくれる。

つまり、普段は画面越しでしか見れない選手と一緒に走るレアすぎるチャンスなのだ。

ちなみに、キャノンデール・ドラパックが実施したクラウドファンディングに250ドル(=約3万円)以上出資した方には対価として、「チームライドへの招待」という特典がある。
他にもトートバッグや、ホームページに名前が記載される特典も付随するものの、やはり選手とのライドの機会は数万円の価値があるといえよう。

ところが、ジャパンカップ フリーランの参加費は3000円だ。
こんなチャンスを逃してはならぬ!と意気込み、申込み開始日の開始時間にスマホの前で待機していた筆者は、申込みサイトオープンと同時に応募を完了させたのだった。

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豪雨のなかでの開催

事前の天気予報では、フリーラン当日である10月21日の午前中は曇りで、降水確率も10%程度の見込みだった。
蓋を開けてみると、朝から豪雨である。

今回のジャパンカップ観戦は、バックパック一つ背負っての一人旅であったため、必要最小限の荷物しか持ってこなかった。
さらに、フリーランのあとはオープンレースの取材予定もあったため、雨に強い格好をせねばならなかった。

苦渋の決断で、長靴を履いたまま出場するという選択をとった。
ゴム製の長靴を履いて、ギザギザ部分が多いノーマルペダルを使っているとはいえ、足元に体重をかけるダンシングは怖くてできない。
試しに穏やかな道路上でダンシングを試してみるものの、いつ滑ってもおかしくない恐怖心を感じたため、ダンシングは封印せねばならなくなった。

こんな状態では、平均勾配10%ともいわれる古賀志林道の上りをこなせるはずがない。
日和った筆者は、集団の中頃でスタートを待っていたのだ。

選手と並走するだけでも嬉しい!

話は少し戻るが、森林公園の周回コースに向かう途中に、ネイサン・ハースらプロ選手の御一行に出くわした。

右のロットNL・ユンボの選手は、アントワン・トルホークとクーン・ボウマンである。
3人は大雨が降りしきる中でも、とにかく喋り続けており、時速30kmくらいの巡航速度で、フリーランへと「出勤」していた。

時速30kmは決してついていけないスピードではなかったが、大雨のライドで無理して滑って転ぶことだけは避けたかったので、
気持ちをこらえて後ろ姿を見送った。

ここで思ったのは、たしかに選手と一緒に並走することは嬉しい、ということだった。

そんな気持ちを持ちながら、フリーランのスタートを待っていると、見慣れたワールドチームのジャージを着た本物の選手たちが続々と登場。
待機しているファンたちとハイタッチをしながら、集団の前方へと進んでいく。

BMCレーシング、ロットNL・ユンボ、キャノンデール・ドラパック。
次々と自分のいる真横を選手たちが通過していく。

…このあたりで、ようやく気付いた。

集団の前方でワールドチームの選手たちがスタートしたら、集団の中頃にいる自分はフィニッシュするまで一緒に走ることができないのではないかと。

いや、慌てるな。
まだトレック・セガフレードがいる。

どうせ無理できない格好なのだから、ゆっくりマイペースで走っているうちに、トレックの選手たちと一緒に走れるに違いない。
スタートの号砲が打ち鳴らされてから、方針を固めたのであった。

フリーランはポジション取りが命、という教訓

さて、フリーランのスタートだ。
スタート直後の上りを、それなりのペースで駆け上がっていくキャノンデールのジャージを肉眼で確認したのを最後に、以降40分ほど一切のプロ選手を見かけることはなかったことを先にお伝えしておく。

それに雨が非常に強い。
防水対策したつもりのアウターも早々とずぶ濡れになり、このままでは冷え死ぬかもしれないという恐れから、心拍数180前後を刻むほどのハイペースで上りをこなしていた。

古賀志の上りは、確かにキツかった。
特につづら折りのイン側は、最大勾配が15%くらいあるのではないかという激坂になっており、長靴+ノマペダ&シッティングオンリーの自分にはキツかった。

だが、それ以外は意外と何とかなる感覚があった。
10kmとか延々と続く上りではないこともあり、山頂まで一気に出し切っていけるだろう、という安心感がペダリングをスムーズにさせていたのかもしれない。

だからこそ、長靴ではなくビンディングシューズや、履きなれたシューズで走りたかったという思いが強くなる。
もっと軽やかに上れたはずだと。

ちょっとした残悔の念を持ちつつ、古賀志の上りをクリア。
山頂付近には、後方でスタートしたトレックの選手たちを待っていると思われるホビーライダーが何人か待機していた。

自分も一緒に待とうか悩んだものの、下りこそ上り以上に置いていかれると思い、ゆっくりとダウンヒルをこなそうと思って通過した。

こんなに雨が降るダウンヒルは経験したことがない上に一度も走ったことがないコースなので、コーナリングがとにかく怖かった。
全く急ぐ必要はないので、下ハン握ってほぼずっとブレーキングしながら、慎重に慎重に下った。
昨年のツール第20ステージのように、雨のダウンヒルを時速100km近いスピードでかっ飛ばすヨン・イザギーレは改めて狂っていると確信した。

下りきって、県道70号まで戻ってくると、コースプロフィールでは平坦と思われていた直線部分が意外と上り勾配があることがわかった。
単独逃げが難しい理由がよくわかる。
後でレース中継を見ると、わずかな上り区間ではダンシングでスピードを落とさないよう工夫していることにも気付いた。
こういう細かい点は実際に走ってみないと一生気づくことはなかっただろうと思った。

田野町の交差点を左折し、再び森林公園に向けて上り始める。
直後の上りの勾配がキツく、一気にスピードダウンするものの、意外と脚は回るので問題なくクリア。

一旦上りが落ち着いて、再び上り出す、フィニッシュまで残り2km弱の地点で、対向車線側を下ってくる見慣れたジャージの選手たちの姿が。
「あ、リッチー!」と叫ぶ間もなく、BMCレーシングの選手たちが通過していく。
仕方ないよね、これダウンヒルだもの。

キャノンデールも続いて、通過。
筆者を含む、何名かのファンたちに向かって手を振ってくれる一幕もあった。

低速で走行中の上り坂で、大雨が降りしきるなか、長靴を履いたまま、咄嗟に片手を離して手を振り返す余裕は、残念ながら持ち合わせていなかった。
フリーラン中、唯一のプロ選手とコミュニケーションをとるチャンスだったにもかかわらずだ…。

結局、トレックの選手たちにも追いつかれないまま、フィニッシュ。

初めて参加したジャパンカップ フリーランは、同じ方向に向かって走るプロ選手を視界に収めたのはスタート直後の遥か前方のキャノンデールの選手たちだけだった、という若干残念なライドになってしまった。

そう、フリーランはスタートの位置取りが全てだといえよう。
特にこの日のように雨が降っている日は、選手たちも無用なリスクをとりたくないため、ササッと走って、ササッと帰りたいところだろう。
雨に濡れて風邪をひいても困るだろうし。

とはいえ、本戦で使用するコースを大勢で走る経験はとても貴重で3000円の価値は十二分にあった。
だが、やはり最大限に楽しむためには、早く会場に到着し、前方に位置取りすることが何よりも大事だということが、よくわかった。

来年もまた、ぜひ参加したい。

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