サイバナ

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コラム

ホアキン・ロドリゲス、最後の聖戦。『落ち葉のクラシック』で有終の美を飾るか?

2017/07/13

『勝ちたい。それだけです』

引退会見で、横浜DeNAベイスターズの三浦大輔はそう答えた。

プロ入りしてから25年、横浜一筋で通算172勝をあげた大投手は、本拠地・横浜スタジアムで行われる引退試合に臨む気持ちを簡潔な言葉で述べた。

サイクルロードレースの世界では、移籍が非常に多いだけでなく、チームの入れ替わりも激しく、プロデビューからチーム一筋という選手はほとんどいない。

オンセ、サウニエル・デュバル、ケース・デパーニュ、カチューシャと渡り歩いて来た”プリート”ことホアキン・ロドリゲスは今シーズン限りで自転車を降りる。

『最後のツールで総合表彰台に登りたい』と言ったツール・ド・フランスでは、総合7位。

目標としていたリオ五輪では、メダルに届かず5位。

例年出場していたブエルタ・ア・エスパーニャには参戦せず、リオ五輪以来レースから遠ざかっていた。

そのプリートが”落ち葉のクラシック”こと、イル・ロンバルディアへの出場が濃厚となった。

2012年、2013年と連覇しているクラシックレースが、プリートの最後の花道となるだろう。

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秋はイタリアのクラシックシーズン

春先にベルギーでのクラシックシーズンがあるように、秋はイタリアでクラシックシーズンを迎える。

特に9月下旬からは、『ジロ・デッレミリア(1.HC)』『GPブルーノ・ベゲッリ(1.HC)』『トレ・ヴァッリ・ヴァレジーネ(1.HC)』『ミラノ〜トリノ(1.HC)』『ジロ・デル・ピエモンテ(1.HC)』と言ったHCクラスの伝統的なレースが続き、そのトリを飾るレースが『イル・ロンバルディア』である。

『イル・ロンバルディア』を目標にしている選手たちが調整レースとして、先にあげたレースに出場することも多く、知名度は少なくとも豪華なレースとなっている。

プリートも例年、これらのレースを調整レースとして活用することが多く、今年は『ミラノ〜トリノ』『ジロ・デル・ピエモンテ』に出場予定だ。

ここで、過去数年のプリートのシーズン終盤の出場レースについて調べてみた。

2011年は、ブエルタ総合19位、『コッパ・サバティーニ(1.1)』54位、『ジロ・デッレミリア』6位、『ジロ・デル・ピエモンテ』14位、『イル・ロンバルディア』3位。

2012年は、ブエルタ総合3位、『GPインドゥストリア&コッメルチョ・ディ・プラート(1.1)』29位、ロード世界選38位、『ミラノ〜トリノ』4位、『イル・ロンバルディア』優勝

2013年は、ブエルタ総合4位、『GPインドゥストリア&コッメルチョ・ディ・プラート』24位、ロード世界選2位、『ミラノ〜トリノ』17位、『イル・ロンバルディア』優勝。

2014年は、ブエルタ総合4位、『GPインドゥストリア&コッメルチョ・ディ・プラート』12位、ロード世界選33位、『ミラノ〜トリノ』5位、『イル・ロンバルディア』8位。

2015年は、ブエルタ総合2位、9/27のロード世界選で途中リタイアしてシーズン終了。イタリアのクラシックレースには不出場だった。

ブエルタや調整レースとなる下位カテゴリーのレース結果と、『イル・ロンバルディア』の戦績の相関性は少なそうだった。

であれば、ブエルタをパスして、フレッシュな体調のまま『イル・ロンバルディア』に挑めることはプラスであると考えたい。

プリートも相性の良い『イル・ロンバルディア』で、引退の花道を飾るような良い結果を残したいと思っていることだろう。

ところが、残念なことに今年の『イル・ロンバルディア』には、プリートが得意とする激坂は用意されていない。それだけでなく、最後は下り基調でフィニッシュを迎えるレイアウトになっている。

ちなみにプリートと言うニックネームの由来は、ホアキン・ロドリゲスが新人だったころ、先輩ライダーたちが苦しくほどの登り坂を、ホアキンは軽々と登り、先輩をかわす際に、タバコをふかすようなジェスチャーをしたことに由来している。プリートとは、スペイン語で『葉巻たばこ』を意味する。

無論、このような先輩をナメたような態度は好まれるはずもなく、先輩たちからはいじめられたようだったが。

話を戻すと、今年のコースは2012年・2013年と違って、プリート向きでないということだ。2014年のコースレイアウトに近い。

厳しい山岳地帯を生き延びたクライマー同士によるスプリント勝負になるのではないかと思う。

となると、決してスプリント能力の高くないプリートにとっては不利だ。

しかし、2012年・2013年と『イル・ロンバルディア』を連覇した時の共通点はもう一つある。

”雨”だ。

10月のロンバルディア地方は決して暖かくはない。温かい緑色の木々の中ではなく、赤や黄色に染まった木々の間を走ることから”落ち葉のクラシック”とも呼ばれているくらいである。

つまり、240kmにわたる長丁場を、冷たい雨に打たれ、滑りやすい路面に注意を払いながら走行することは、非常にタフなことだ。

プリートは一級のクライマーであるだけでなく、とにかくタフな選手であることも特長の一つだ。本人は『雨は好きではない』と言うが、まわりの選手に比べてよく走れることは武器の一つだろう。

引退レースになるであろう『イル・ロンバルディア』で、有終の美を飾るためには、天気の力が必要になるかもしれない。

10月1日、プリートの最後の走りに注目したい。

Rendez-Vous sur le vélo…

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