ピエール・ロラン、今こそ逆襲の時。『山岳王に俺はなる!』とは?
2017/07/13
ジロ・デ・イタリア第2ステージは、アンドレ・グライペルがステージ優勝をあげた。
同時に初のマリア・ローザを獲得し、ポイント賞ジャージも獲得した。
また、この日の勝利で2008年のブエルタ・ア・エスパーニャ以来、出場したグランツールでは全てステージ優勝をあげていることになった。
今年のジロで12大会連続勝利となる。
カレブ・ユアンにアクシデントが無ければどうだったかは分からない。
しかし、残り10kmを切った時点では、チームメイトとバラバラの状態だったところから、トレインを組んで絶好の位置でスプリントを開始したグライペルとロット・ソウダルの力は絶賛されるべきだろう。
ポイント賞争いも激化していく一方であるが、第2ステージで最も気になったことは山岳賞争いの行方だ。
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現状はテクレハイマノが1位だが
2級山岳では、ディメンションデータのダニエル・テクレハイマノが強烈なスプリントを見せて、先頭通過を果たした。
これで20ptsとなり、マリア・アッズーラを確定させている。
この山岳ポイントでは、2位はテクレハイマノのチームメイトであるオマール・フライレ。
3位には、キャノンデール・ドラパックのピエール・ロランが入っている。
ブエルタで2年連続山岳賞を獲得しているフライレと、2011年ツール・ド・フランス新人賞のロラン。
今大会におけるマリア・アッズーラの有力候補である二人が早速動いてきた。
ディメンションデータにとっては、テクレハイマノとフライレのどちらが山岳賞を獲っても構わない。
だが、テクレハイマノはクライマーという印象が強いが、エリトリア国内TTチャンピオンに3回、アフリカTTチャンピオンに1回輝いているように、本来は独走力の高い選手である。
ゆえに逃げに強く、山岳ステージでも果敢に逃げていくためクライマーの印象が根付いたのかもしれない。
フライレもブエルタで2度の山岳賞を獲ってはいるが、テクレハイマノと同じく逃げのスペシャリストだ。
そして、スプリント力も高く、少人数で逃げている中で山岳ポイントを獲るためのバンチスプリントを非常に得意としている。
対して、ロランはクライマーだ。
タイムトライアルは遅くて、スプリントも弱いし、ダウンヒルも苦手。
得意なことはヒルクライムと、逃げに乗ることだけだ。
2011年ツールで新人賞を獲ってしまったがために、フランス中から期待され続けていただ、2012年以降は期待に応える走りは出来ていない。
安住の地と思われたフランスのプロコンチネンタルチームであるユーロップカーを飛び出し、アメリカのキャノンデールに移籍したのが昨年のこと。
フランス時代には考えられなかった近代的な科学トレーニングに感動したそうだが、今のところ全く結果が伴っていない。
環境変えてもダメ、練習方法変えてもダメ。
ロランはもう終わった。
人々が彼を諦めはじめた。
しかし、ロランは諦めの悪い男だった。
結果が伴わなくとも、ツールとブエルタではアタックを仕掛け続けた。
ゴールスプリントに絡むまでもなく、失速してしまうのだが、とにかく攻撃を続けた。
そこには、かつての新人賞の姿は無かった。
総合争いを捨てて、一人のプロサイクリストとして己の存在価値を示さんと、男の意地を見せる走りであった。
そうして、今年のジロにはステージ優勝と山岳賞を狙うために出場している。
チームメイトにダヴィデ・フォルモロという若きイタリア人エースがいるにも関わらず、キャノンデールはロランにエースナンバーを与えている。
今年のロランは一味違うぞ、と。
フライレも、ロランも、第2ステージを終えて、順調に総合タイムを失っている。
調子が悪いのではなく、逃げやすくするための工夫だろう。
第4ステージ、シチリア島に戦いの舞台を移し、エトナ山へとフィニッシュするステージでは、中盤に2級山岳が登場する。
登坂距離32.8kmと長い登りで、マリア・アッズーラを巡る激しい戦いが勃発するに違いない。
ロランか。
フライレか。
テクレハイマノか。
もしくは、他のアタッカーだろうか。
ロランにとっては、己の力を示す絶好の機会となるだろう。
俺はまだ終わっちゃいないぞ、と。
ピエール・ロランの逆襲が、いま始まる。
Rendez-Vous sur le vélo…
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