ピエール・ラトゥールが勝てたのは、栗村さんが鼻血を出したからなのか?

クリノートと呼ばれる呪い

クリノートとは、サイクルロードレース解説者としてお馴染みの自転車普及協会・栗村修さんがイチオシする選手には落車・体調不良・災いが訪れるという呪いのことです。

最近ではツール・ド・フランスで総合優勝と予想したティボー・ピノが、山岳ステージ初日で思いっ切り遅れてしまい、挙句の果てに途中リタイアという憂き目に遭いました。

そんな中、今年のブエルタ・ア・エスパーニャの総合優勝にはピエール・ラトゥールを予想しました。

『ラトゥール家ですら予想しない』『当たれば30年は食っていける』とまで言われた無茶な予想でしたが、総合29位と総合優勝には遥か遠い結果となっていますが、第20ステージでは何とステージ優勝を果たしました!

戦前の予想の際には『第20ステージで登れないと思ったんだけど、登っちゃったんだよね』とハッキリ言っていました。見事、予想通りの展開になりました。

『マイヨ・ヴェールはペーター・サガン!』と予想することは栗村さんでなくても出来ますが、『ラトゥールが総合優勝!』と予想して、総合優勝は無理でもステージ優勝してしまうとは、決して誰にでも出来ることはありません。これぞプロと言える予想的中と言っても過言ではありません。もはや、クリノートの魔力も無くなってしまったのでしょうか?

第20ステージは、ブエルタ・ア・エスパーニャを中継する『J SPORTS』では、レース開始から生中継していました。この日の前半のナビゲーターは栗村さんでした。

レース開始から激しいアタック合戦が繰り広げられ、チラっと映った選手の名前を即座に読み上げることが出来る、的確で分かりやすい解説を交えながら、イチオシのラトゥールが逃げに乗る展開となりました。

そして、レース後半は別の実況と解説の方にバトンタッチするのですが、別の実況と解説の方が、放送室に入ってきたところで、栗村さんの身体に異変が起きます。

急に鼻血を出してしまうのです!

Twitterの『#jspoycle』のハッシュタグ上のツイートも、鼻血ツイートで埋め尽くされます。

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生放送中に、まさかの鼻血です。あらゆる競技中継を通じて、わたしの知る限りでは突然鼻血を出した実況や解説者は、初めて見ました。

このように、以前広島カープが優勝するとほのめかした結果、見事広島カープが優勝したことで、予想が当たったが故に鼻血が出たんだと、視聴者からは認識されていました。

確かに、ラトゥールが逃げ集団に乗ってはいましたが、この時点ではラトゥールが勝つ予兆だなんて誰も気付いていません。

レースは進み、終盤の登りへと入ります。

ここで、ラトゥール、ダルウィン・アタプマがステージ優勝に向けて、激しい競り合いをしています。

ラスト500mでアタプマがダンシングで加速したスピードに、ラトゥールはついていけませんでした。

やっぱりラトゥールはダメだったかと、誰もが思った直後に今にも死にそうな苦悶の表情を浮かべながらも、身体全体を揺さぶりながら、がむしゃらにペダルをこいで、アタプマに追い抜きます。

アタプマこそ、限界に来ていたようで、もうラトゥールについて行く力は残っていませんでした。

そうして、ラトゥールが見事ステージ優勝を飾るレースとなりました。

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ゴールした瞬間の表情は、視線が一点に定まらず、まるで先ほどまで邪悪のものに取り憑かれていたかのような形相です。アタプマと戦っていたのではなく、己の中に宿っていた呪詛を振り払うために頭を激しく振りながら戦っていたことがよく分かります。

しかし、ラトゥールは勝ちました。

数多のレーサーを奈落の底に突き落としてきた強力な呪いを振り払い、自身初のグランツールをあげました。

恐らく逃げ集団に乗っている時から、悪魔と戦っていたのでしょう。その証拠に術者である栗村さんの身に、鼻血という災厄を引き起こしたのだと考えれば、辻褄が合います。

ラトゥールが勝てたのは、栗村さんが鼻血を出したからではありません。

ラトゥールが勝つために、栗村さんに鼻血を出させたのです。

ラトゥールの戦意が、情熱が、勝利への飽くなき執念が結実した、勝利へと導きました。

もはやクリノートは破られたと言える栗村さんは、30年は食っていける解説者として、これからもビシバシ予想を的中させて行って欲しいなと思います!

Rendez-vous sur le vélo!

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