サイバナ

これからサイクルロードレースの話をしよう。略して『サイバナ』。サイクルロードレースのレース結果やコラムなど、お届けします。

ロンド・ファン・フラーンデレン2017

ロンド・ファン・フラーンデレン2017有力選手プレビュー

フランドルクラシック最高峰であるロンド・ファン・フラーンデレンの有力選手をプレビューする。

北のクラシックを得意とする選手にとっては、前半戦最大の山場、いやむしろ今シーズン最大の勝負どころだと言えよう。

各チームとも、名うてのクラシックスペシャリストを揃えた、まさにフルメンバーとなっている。
今年のロンドは誰が制するのか、プレビューしていく。

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ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル)有力選手プレビュー

ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

2016年大会の覇者。
ディフェンディングチャンピオンとして、目指すはもちろんファビアン・カンチェラーラ以来のロンド連覇だ。

だが、今年のサガンは昨年以上にマークが厳しくなり、思うような展開にならないレースが続いている。
フラストレーションも溜まるようで、前戦のヘント〜ウェヴェルヘムではニキ・テルプストラに八つ当たりのような口撃をしていた。

今大会も当然、サガンへのマークは非常に厳しくなるだろう。
そのマークを振り払って勝つような圧倒的な走りが出来るか注目だ。

もう一つの懸念点は、チーム力だ。
マチェイ・ボドナール、マルクス・ブルグハートなど実績豊富な選手はいるが、どうも中終盤にかけてサガンはアシスト不足に見舞われているシーンが見受けられる。
位置取りのために、サガンは脚を使わされている点も否めない。

ただ、サガンの真の目標はロンドの連覇より、パリ〜ルーベの制覇にあるのではないかと、わたしは見ている。
ピークをロンドに持ってきているのか、それとも来週のパリ〜ルーベに持ってくるのかどうか。
走ってみないと、我々には分からない。

トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ・フロアーズ)

翌週のパリ〜ルーベをもって、17年の現役生活に終止符を打つボーネン。
有終の美を飾るべく、今シーズンはここまで順調と言える結果を残している。

E3・ハレルベーケでは8位、ヘント〜ウェヴェルヘムでは6位とロンドとパリ〜ルーベに向けて調子は上々だ。

何より、クイックステップのチーム力が素晴らしい。

ボーネンと共にエースを務めるであろうジルベールはもちろん、
同じくエース級のゼネク・スティバル、"職人"ニキ・テルプストラ、ドワルス・ドール・フラーンデレン優勝のイヴ・ランパート、
世界トップレベルのルーラーにしてクラシックスペシャリストのジュリアン・ヴェルモトとイーリョ・ケイセ、
そしてスプリント力に優れた万能選手であるマッテオ・トレンティン。
凄まじい陣容である。

もうフラグとは言わせない。
ボーネン、自身4度目のロンド制覇なるか注目だ。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップ・フロアーズ)

「ロンドは夢」と語るジルベール。
ベルギーチームへの移籍は、ロンドを勝ちたいがためなのかもしれない。

ジルベールのこれまでのキャリアでは、アルデンヌクラシックでの成績が圧倒的だった。
しかし、今年は例年出場していたボルタ・ア・カタルーニャを回避して、ドワルス・ドール・フラーンデレン、E3・ハレルベーケに出場した。
結果はどちらも2位だ。

フランドルクラシックへの適性を示し、ボーネンとダブルエース体制を敷くことだろう。

サガンやヴァンアーヴェルマートは強力だが、クイックステップのチーム力を結集すれば、打倒できるはずだ。
アルデンヌのキングが、フランドルを制して、ベネルクスの王となれるだろうか。

ティージ・べヌート(ベルギー、ロット・ソウダル)

今シーズンはここまで、
・ボルタ・アオ・アルガルベ総合8位&新人賞
・クールネ〜ブリュッセル〜クールネ4位
・ストラーデ・ビアンケ8位
・ドワルス・ドール・フラーンデレン7位
・E3・ハレルベーケ14位
と、ステージレースやワンデーレースで上位の成績を収めている。
しかし、アルガルベで新人賞には輝いたが、肝心のステージ勝利やワンデー勝利には至っていない。

なお、2年前に21歳で初出場したロンドでは5位という鮮烈なデビューを飾っている。

23歳、これからの選手と言えばそれまでだが、何かきっかけを掴んで飛躍するところを是非とも見たい選手でもある。

クイックステップほどではないが、チーム力も非常に高い。

ユルゲン・ルーランズはセカンドエースと言えるべき選手で、2013年大会は3位で表彰台を獲得している。

パリ〜ニースで活躍し、ドワルス・ドール・フラーンデレンでは11位と意外な好成績を残したトニ・ギャロパンも様々な役割をもってベヌートたちをアシストしてくれるだろう。

フレフ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、ロット・ソウダル)

・オムループ・ヘット・ニュースブラッド優勝
・ストラーデ・ビアンケ2位
・E3・ハレルベーケ優勝
・ヘント〜ウェヴェルヘム優勝

今シーズンのクラシックレースの戦績を並べただけで、この選手の凄さが一発で伝わるだろう。

そして、フランドル地方出身のヴァンアーヴェルマートにとって、ロンドは悲願中の悲願でもあろう。

ロンドは、36回目のモニュメント出場になるが、いまだに優勝経験はない。

押しも押されぬ大本命。
ヴァンアーヴェルマートは昨年の金メダルに続くビッグタイトルを手にすることが出来るだろうか。

セプ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)

いやいやいや、この人だってフランドル地方出身のベルギー人だ。

しかし、ヘント〜ウェヴェルヘムは2位が2回、ロンドは3位が2回、パリ〜ルーベは4位が2回と惜しいところまで行くが、表彰台のてっぺんに登ったことは未だない。
これだけのネームバリューと、印象を与えているにもかかわらず、ワールドツアー未勝利なのだ。

今シーズンはオムループ・ヘット・ニュースブラッドでは、サガンとヴァンアーヴェルマートに続く3位だったが、
ストラーデ・ビアンケDNF、ドワルス・ドール・フラーンデレン28位、E3・ハレルベーケ23位とパッとしない成績が続いている。

あと一歩のところで華が開かず、転機を求めてキャノンデールに移籍した結果、さらに成績が悪化という事例はピエール・ロランだけにしてもらいたい。

今回のロンドは、ヴァンマルクの真価が問われるレースになるかもしれない。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)

トレックへの移籍は正解だったかもしれない。
なぜなら栄光のファビアン・カンチェラーラ時代に培った、クラシックレースの勝ち方と強靭なアシストたちが残っているからだ。

ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベを制した2015年は、E3・ハレルベーケ25位、ヘント〜ウェヴェルヘムDNFだった。
しかし、今シーズンはミラノ〜サンレモ7位、E3・ハレルベーケ13位、ヘント〜ウェヴェルヘム5位と安定した成績を残している。
ロンドとパリ〜ルーベに向けて、順調な調整が出来ている何よりの証拠だ。

2016年の悲運な事故から、大復活を遂げるストーリーはまだ終わっていない。
ロンドとパリ〜ルーベで勝利して、初めてデゲンコルプの奇跡の物語は完結するのだ。

チームメンバーも非常に強力だ。

セカンドエースを担えるジャスパー・ストゥイヴェンとエドワード・トインズ、石畳への適性も見せているファビオ・フェリーネ、
カンチェラーラの右腕と言えるべきアシストを長年務めたグレゴリー・ラストらがデゲンコルプを支えてくれる。

わたしはデゲンコルプも大本命視している。

ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)

この人はタイムスペシャリストではないか?
わたしは、そう思っていた。

昨シーズンもクラシックレースでは、パリ〜ルーベ18位は光るものを感じるが、
E3・ハレルベーケ37位、ヘント〜ウェヴェルヘムDNF、ロンド71位と、平凡な成績が続いており、クラシックスペシャリストの印象は全く無かった。

しかし、今年は
・クールネ〜ブリュッセル〜クールネ12位
・ストラーデ・ビアンケ6位
・ドワルス・ドール・フラーンデレン4位
・E3・ハレルベーケ4位
と、ワンデークラシックで突如の覚醒を見せている。

ダーブリッジ自身も、「クラシックスペシャリストとしてロンドに勝つことが目標」と語っているように、これからはクラシックレーサーとしてキャリアを積んでいきたいようだ。
TTスペシャリストとしての脚質を活かしたクラシックスペシャリストと言えば、カンチェラーラを思い起こす。
まだ25歳と若く、将来が非常に楽しみな選手だ。

チームメイトには、ヘント〜ウェヴェルヘムでは非常に惜しくも2位だったイェンス・ケウケレール、2016年パリ〜ルーベ覇者のマシュー・ヘイマン、スプリンターながら石畳レースへの適応力の高さを見せているマグヌス・コルトニールセンなど力強いメンバーが揃っている。

大穴かもしれないが、オリカ・スコットは面白いレースを見せてくれるに違いない。

オリバー・ナーセン(AG2R)

E3・ハレルベーケでは、ヴァンアーヴェルマートとジルベールに食らいつき、3位でフィニッシュしている。
この意外な好走に驚いた方も多いだろう。

今シーズンは、
・オムループ・ヘット・ニュースブラッド7位
・クールネ〜ブリュッセル〜クールネ8位
・ドワルス・ドール・フラーンデレン6位
と終盤まで先頭集団もしくは第二集団でレースをこなしている。

何よりも、昨シーズンはワールドツアーのブルターニュクラシック・ウエストフランスで優勝を果たしている。

年齢はサガンと同じ26歳。
まだまだ伸びしろを感じる、とても面白い選手だ。

チームメイトに、ベテランのステイン・ヴァンデンベルフもいることも心強い。

アレクサンダー・クリストフ(カチューシャ・アルペシン)

今シーズンは落車に巻き込まれることも多く、期待されていたワンデーレースでの勝利はまだない。

ミラノ〜サンレモでは、集団内ではトップでフィニッシュして4位。
直近のデパン3日間レース第2ステージ優勝、第3aステージで2位と調子をあげているようだ。

そもそも、2015年のロンド覇者であり、昨年も4位でフィニッシュしている。

チームメイトには、同じくよく落車に巻き込まれている印象を受けるトニ・マルティンが強力にバックアップしてくれるだろう。

落車さえなければ、十分に優勝候補だと言えよう。

ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)

おかしい、こんなはずではなかった。
2017年はアスタナ万博が開催され、母国のため、スポンサーのためにも是が非でも結果が欲しいシーズンであったが、ここまでまさかの0勝。

アジア選手権で、カザフスタン代表としてTTTを制した選手は数名いるが、アスタナチームとしてあげた勝利は一度もない。

一体どうしてこうなったと嘆いていてもしょうがない。
だが、ロンドを制するほどの力をもった選手はアスタナにはいないかもしれない。

その中でも楽しみな選手は、ヴァルグレンだ。

昨シーズンはアムステルゴールドレース2位という結果が光っている。
アルデンヌ向きの脚質かと思いきや、今年のE3・ハレルベーケでは6位という成績も残した。

25歳と若き才能は、突如の覚醒を見せてくれるかもしれない。
アスタナの希望の星となれるだろうか。

ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)

結局、どこに行ってもチームスカイがレースの中心にいるような気がしてならない。
良くも悪くも話題に事欠かないチームは、最近ステージレースだけでなくワンデークラシックにも力を入れている。

ストラーデ・ビアンケとミラノ〜サンレモを制したミカル・クヴィアトコウスキーが際立っているが、
北のクラシックでは、ルーク・ロウとイアン・スタナードの専門分野だ。

本命は来週のパリ〜ルーベではあるが、ロンドとの相性も悪くない。
ルーク・ロウは昨年のロンドで5位でフィニッシュしている。

だが、ルーク・ロウは直近のレースでは調子を落としているようで、スタナードはアシストに専念している印象を受けるので、期待度はそれほど高くはない。

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

今シーズンは母国で世界選手権が開催されるとあって、悲願のアルカンシェル獲得に向けて高いモチベーションを持っていることだろう。

華々しい実績を誇るボアッソンハーゲンではあるが、その内実を紐解くと、ほとんどがステージレースにおける勝利だ。

ワンデーレースでの勝利は数えるほどしかなく、特にモニュメントとの相性は悪く自己最高成績は昨年のパリ〜ルーベの5位で、ロンドは2013年の17位が最高だ。

今シーズンも中盤くらいに先頭集団に残っている印象はあるが、その後脱落して結果にはつながっていない。

世界選で勝てる道筋を示すためにも、長い距離を走るロンドでは優勝とは言わずとも、トップ10圏内には入って欲しいと願っている。

ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

極寒のパリ〜ニース第2ステージで歓喜のワールドツアー初勝利を果たし、スプリント能力よりもタフさを示したコルブレッリは今シーズン好調を維持している。

・ミラノ〜サンレモ13位
・E3・ハレルベーケ7位
・ヘント〜ウェヴェルヘム13位
と、それなりの結果が続いている。

オウデ・クワレモントやコッペンベルグのようなミュールを、とても生き残れるとは思えないが、十分に上位でのフィニッシュが期待できる選手だ。

セレン・アナスン(デンマーク、チーム・サンウェブ)

ヘント〜ウェヴェルヘムでは5位が見えていた。
幾多のミュールとパヴェを乗り越えてなお、ヴァンアーヴェルマートやサガンのスピードについていくことの出来るスタミナには、大器の片鱗を感じた。

22歳と非常に若く、ヴァルグレン、コルトニールセンらデンマークの若手には楽しみな選手が多く見受けられる。

ヘント〜ウェヴェルヘムでの活躍がブラフではなかったことを、もう一度ロンドで示してほしい。

ステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴェランタス・ウィレムス)

残念ながら、近年プロコンチネンタルチーム所属選手によるロンド優勝者はゼロだ。

ロンドだけでない。
ワールトツアークラスのワンデーレースでは、滅多に勝つことが出来ない。

昨年のアムステルゴールドレースを制したワンティ・グループゴベールに所属していたエンリコ・ガスパロットは大金星をあげたと言えよう。
やはりワールドチームとプロコンチネンタルチームの間には、想像を上回る実力差が存在することは否めない。

デヴォルデルは、2008・2009年とロンドを連覇した名選手だ。
しかし、37歳の大ベテラン選手に当時のような走りを期待するのは酷な話だ。

それでも、地元のスター選手としてワールドチームに一泡吹かせるような一撃を見たい気もする。

恒例の優勝予想

今シーズンは何度か優勝予想をしているが、それなりの的中率となっている。

ツアー・ダウンアンダーでは、総合優勝をエステバン・チャベスと予想。結果は総合2位。
ドバイツアーでは、総合優勝をディラン・フルーネヴェーヘンと予想。結果は総合2位。
オムループ・ヘット・ニュースブラッドでは、本命をフレフ・ヴァンアーヴェルマートと予想。結果は優勝。
ストラーデ・ビアンケでは、優勝をミカル・クヴィアトコウスキーと予想。結果は優勝。
ボルタ・ア・カタルーニャでは、総合優勝をアレハンドロ・バルベルデと予想。結果は総合優勝。

ちょっと、自分でも怖いくらいだ。
何かの格言でもあるが、「勝ちにいくと負ける」との通り、当てようとすると外す気がしてならない。
欲を出してはいけない。

これまでのレースを見た印象、直近の戦績、そして何よりも直感とひらめきに身を任せ、素直に思い浮かび上がった選手の名を書き、純粋に応援することが楽しい。それでいいのだ。

というわけで、今回のトップ3予想は以下の通りだ。

1位、フレフ・ヴァンアーヴェルマート
2位、ペーター・サガン
3位、フィリップ・ジルベール

う〜ん、普通だ。

あまりにも普通すぎるので、5位まで予想してみよう。

4位、ルーク・ダーブリッジ
5位、ジョン・デゲンコルブ

恐らく、デゲンコルプやクリストフたちは、最終盤のコッペンベルグの激坂でのサガンやジルベールのアタックにさすがについていけないのではないかと思う。

サガン、ジルベールに続いてヴァンアーヴェルマート、ダーブリッジが食らいついて、4人のバンチスプリントをヴァンアーヴェルマートが制すような展開を予想したい。

何はともあれ、フランドルクラシック最大の祭典を大いに楽しみたい。

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