サイバナ

これからサイクルロードレースの話をしよう。略して『サイバナ』。サイクルロードレースのレース結果やコラムなど、お届けします。

ツール・ド・スイス2017

ツール・ド・スイス2017出場選手プレビュー&優勝予想!

ツール・ド・フランス前哨戦と言うには、あまりにも過酷なコースレイアウトであるツール・ド・スイス。

ツールを狙う選手だけでなく、ジロ・デ・イタリア明けの選手や、怪我明けで久々にレース復帰する有力選手も集い、シンプルに一つのステージレースとして非常に面白そうだ。
今回は、ツール・ド・スイスに出場する選手の中から、有力選手をピックアップしてプレビューしたいと思う。

ツール・ド・スイスのコースプレビューはこちら

スポンサーリンク

ツール・ド・スイス2017有力選手プレビュー

ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ)

★目的:総合上位を狙いつつ、怪我明けでどこまで走れるか見極めること

昨シーズンオフのトレーニング中に腓骨骨折の影響で、長らくレースから遠ざかっていたが、6月8日のスイスのワンデーレースで久々に戦線復帰を果たした。
決してロペスモレーノ向きではない、激しいレースであったにもかかわらず、トップから27秒遅れの60位で完走している。

そして、スイスは何と言っても昨年大会で総合優勝を果たしたレースでもある。
一躍、グランツールレーサーとして期待を一身に集める選手へと格上げされた感があるが、まだ23歳の選手である。

長い目で見守りたい気持ちがありつつも、ミケーレ・スカルポーニ亡き今は、ロペスモレーノの飛躍にどうしても期待したくなる。
昨年の輝きを取り戻すことが出来るか注目したい。

フレフ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

★目的:ツールに向けて、ステージ優勝してアピール

アレハンドロ・バルベルデと並び、今シーズンはずっと絶好調を維持しているヴァンアーヴェルマートだが、ツールへの出場はまだ決まっていない。
ヴァンアーヴェルマートにとっても今シーズンの最重要目標は春のクラシックであり、BMCレーシングとしてもツールでの最重要目標はリッチー・ポートでの総合優勝することだ。

昨年のツールでステージ優勝&マイヨ・ジョーヌを獲得したヴァンアーヴェルマートが欠場することは考えにくいが、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネを走るポートの調子が非常に良さそうなので、ポートをアシストするためにガチガチの山岳メンバーで構成してくる可能性はある。

直近のツール・ド・ルクセンブルクでは格の違いを見せつけステージ1勝&ポイント賞&総合優勝と独壇場だった。

スイスでもヴァンアーヴェルマート向きのステージがいくつかある。
BMC首脳陣に、ヴァンアーヴェルマートをツールのメンバーに入れたくなるような圧倒的な走りを見せつけたいだろう。

ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

★目的:個人TTステージ優勝、山岳への対応力チェック

ジロ・デ・イタリアでは無念の途中リタイアを喫した。
あれから丸1ヶ月が経ち、再出発の地にジロに勝るとも劣らないコースの厳しさを持つスイスを選んだ。

将来的にはグランツールレーサーを目指したいという意向を持つデニスにとって、険しい山岳ステージをレースレベルの負荷で走ることは貴重な経験に繋がる。
同い年で、脚質も似ているトム・・デュムランがジロで総合優勝を果たしたことも良い刺激になっているはずだ。

最終日の個人TTでは、そのデュムランに真っ向勝負を挑むだろう。

マティアス・フランク(スイス、AG2R)

★目的:ツールに向けて調整しつつ、総合優勝を狙う

昨年のツールで総合2位に輝いたロメン・バルデをサポートするために、AG2Rに移籍してきた。
だが、ツール・ド・スイスは母国レースでもあり、好成績を収めたいところ。

2014年総合2位という実績もあり、スイスの険しい山々は決して苦手ではない。

今シーズンはここまで目立った走りは見せていないが、ツールではピエール・ラトゥールと共にバルデ親衛隊の一角としての活躍が期待される。
ツールに向けてコンディションを高められているかチェックすることも重要な仕事となるだろう。

ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

★目的:ツールに向けて調整しつつ、ステージ優勝を狙う

ツールでマイヨヴェール6連覇を果たすことが、第一目標となる。
そのための調整レースの場に、険しい山岳地帯を走るスイスをあえて選んだわけだが、これは毎年恒例のことである。

スイスの後は、スロバキア国内選手権に出場するものと思われる。

昨年のスイスではステージ2勝をあげており、今年も爆発が期待される。
しかし、今回はサガンの天敵とも言えるヴァンアーヴェルマートも出場している。

春のクラシックの延長戦とも言える、二人の戦いにも注目したい。

ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)

★目的:総合上位を目指し、ツールのメンバー入りをアピール

ツアー・オブ・カリフォルニア新人賞という結果を引き下げて、ツール・ド・スイスでステージレーサーとしての真価を発揮できるか注目だ。

ワールドチームへの所属は、トレーニー時代も含めると4年目である。
しかし、グランツールへの出場経験はまだない。

チームの看板選手とも言えるマーク・カヴェンディッシュのツール出場可否が不透明である状況で、チーム内セレクションを勝ち抜くためにもぜひともアピールをしておきたいところだろう。

総合系選手としてタイプの被るメルハウィ・クドゥスと、どちらがより目立った活躍をするか注目したい。

シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)

★目的:総合優勝&ステージ優勝狙い

2015年大会で総合優勝した選手だ。
2011年以降はグランツールに2014年ツールに出場したのみとなっていて、恐らく今年もツールには出場しないと思われる。

そのため、今大会は2年ぶりの総合優勝を狙って走ってくるだろう。

ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)

★目的:ツールに向けて調整しつつ、ステージ優勝狙い

シーズン序盤の好調ぶりが際立っていたが、期待されたアルデンヌ・クラシックでは全く振るわなかった。

次なる目標はツールでのステージ優勝だ。
そのための調整レースとしてスイスを走るだろう。

ウェレンスのキレ味鋭いアタックが、スイスの険しい山岳でも通用するのか注目して見ていきたい。

ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)

★目的:ツールに向けての調整

ツールで総合優勝を狙うモビスターにとって、極めて重要なアシストがこのカストロビエホである。
脚質はTTスペシャリストであるが、デュムランやデニスのように、カストロビエホもまた登坂力に優れたタイプの選手である。

険しい山々を乗り越えて、エースをアシストできるルーラーは、チームにとってめちゃくちゃ貴重である。
カストロビエホの出来が良ければ、チームの作戦が数パターンは増やすことが出来るだろう。

堂々たるエースナンバーを背負って出場するため、総合成績も狙ってくることだろう。
山岳での走り、そして得意のTTでの走りは要チェックだ。

カルロス・ベタンクール(コロンビア、モビスター)

★目的:ツール出場メンバー入りへのアピール

ハンマー・スポートゾーン・リンブルフ、通称ハンマーシリーズの第1ステージ"ハンマークライム"のMVPと言っても良い猛烈な活躍をしたベタンクールは、今後のスケジュールは未定である。

ハンマークライムで見せた攻撃的な走りに加え、ハイスピードな逃げ集団で奔放に動けることを示した。
今度はスイスの本格的な山岳コースで、ベタンクールの真の力を証明したいところだ。

なお、まだツールへの出場経験はない。
2013年ジロ総合5位の実力者の本領発揮となるか。

フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップ・フロアーズ)

★目的:ツールに向けて調整&ステージ優勝狙い

古巣復帰を果たし、大復活を遂げたジルベールの次の目標はツールでのステージ優勝だろう。

アムステルゴールドレースでは優勝しながらも、落車の影響で腎臓にダメージを負ってしまった。
先月のベルギーツアーで復帰すると、総合4位と好成績を収め問題ないことをアピールしている。

2013年以来4年ぶりの出場となるツールでの活躍に向けて、スイスの地で暴れたいところだ。

トム・デュムラン(オランダ、チーム・サンウェブ)

★目的:(お疲れモードの懸念はあるが)総合優勝狙い

ジロ総合優勝し、一躍スーパースターへの階段を駆け上がったデュムラン。
ハンマーシリーズにも登場し、前夜祭ではジロの総合優勝の表彰式を凌駕するような凄まじい観客を集めていた。

今シーズンの次なる目標は地元オランダを走るビンクバンクツアー(旧:エネコツアー)での活躍と、TT世界チャンピオンになることだ。

ハンマーシリーズでは、まだジロの疲れが残っていると言いつつも、第1ステージのハンマークライムでは強い存在感を見せていた。
ならば、スイスでもそれなりに走ってくるのではないだろうか。

デュムランの性格ならば、出場するレースは本気で走りそうなので、やはり総合優勝候補の一角だと言えよう。

ヨン・イサギーレ(スペイン、バーレーン・メリダ)

★目的:ツールに向けての調整&総合優勝狙い

ツールでの単独エースという大役を担う。
そのための調整の一環として出場するだろう。

昨年大会では、個人TTステージで出場選手最速の時速110キロを叩き出す、スーパーダウンヒラーとして圧倒的な存在感を示した。
そして、ツール第20ステージではダウンヒルで攻めてステージ優勝を勝ち取っている。

今大会では、個人TTこそ平坦基調ではあるが、超級山岳からのダウンヒルが度々登場するコースレイアウトとなっていて、再びヨン・イサギーレの無謀な高速ダウンヒルを見ることが出来るかもしれない。

一方で懸念されることは、今シーズンのここまでの成績はパリ〜ニース総合7位、ブエルタ・アル・パイス・バスコ総合3位、ツール・ド・ロマンディ総合5位と決して悪くはないが、数字ほど目立った活躍をしていないように見受けられることである。
ステージ優勝もまだない。

不調なのか調整段階なのか、現時点ではハッキリとしないからこそ、スイスでの走りには非常に注目している。

ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)

★目的:ツールに向けての調整

パリ〜ニースでは、アルベルト・コンタドールのために非常に強力なアシストを見せていた。
ツールではバウケ・モレマと共に、コンタドールの山岳アシストを務める。

昨年大会では、降雪による短縮された最終ステージで優勝し、ツールでの活躍に繋がっている。
今年も同様にスイスで結果を残してツールに弾みをつけたいところだ。

ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)

★目的:総合優勝狙い

ジロでは第20ステージでDNSとなり、昨年のブエルタに続きグランツール2大会連続で途中リタイアとなった。

ツールには出場しないため、純粋にワールドツアーのステージレースで成績を残すために出場するものと思われる。
ジロの無念を晴らす好走を期待したい。

ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チームエミレーツ)

★目的:総合優勝狙い&ツール出場のアピール?

2012〜2014年とツール・ド・スイス3連覇を果たしている。
むしろ、このような成績を収めたせいで、グランツールレーサーとして期待されている感は否めない。

本来のルイ・コスタは2013年に世界チャンピオンになったように、攻撃的な走りを信条とするアタッカーだ。
ジロでは、何度も何度も逃げに乗ってアタックし続けたが、ステージ2位が3回と結果を出すことが出来なかった。

この悔しさを晴らすためにも、得意のスイスで再び攻撃的な走りを見せて欲しい。

ヤン・ヒルト(ポーランド、CCC)

★目的:総合上位狙い、ワールドチームへのアピール

グランツール初出場となった今年のジロでは、総合12位という鮮烈な活躍を見せていた。
プロコンチネンタルチームの選手では最上位である。

総合上位勢が数名に絞られるような難易度の高い山岳の頂上付近でも足を残していたため、その登坂力の高さは世界に証明済みだ。

1991年生まれの26歳と、まだまだ伸びしろたっぷりの選手なので、ワールドチームによるヒルトの争奪戦は水面下で始まっていると思われる。

良い条件で契約を勝ち取るためにも、ジロでの活躍がブラフではないことをスイスでも見せつけたい。

リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)

★目的:ステージ優勝&山岳賞狙い

チームメイトのトマ・ヴォクレールが今年のツールで引退する。
その後継者と目されている選手が、カルメジャーヌだ。

昨年のブエルタではネオプロながらステージ優勝を果たし、今シーズンも1カテゴリーのステージレースを3つ総合優勝し、パリ〜ニースでは山岳賞に輝いている。

1992年生まれの24歳と将来有望な新進気鋭の若手選手だ。
パリ〜ニースよりも厳しい山々が続くスイスでも、逃げに乗って攻撃的な走りを見せてくれるだろう。

各種予想

恒例の優勝予想を発表したい。

まず総合成績は、

1位、マティアス・フランク
2位、トム・デュムラン
3位、ヨン・イサギーレ

と予想する。

今大会は様々な有力選手が出場するが、ピュアクライマーに近い脚質を持った選手は少ない。
だからこそ、マティアス・フランクにはチャンスがあるのではないかと見ている。

昨年のブエルタで見せたステージ優勝を果たしたが、解散が決まっていたIAMサイクリングでエースとしての矜持を見せた走りが忘れられない。

2位以下はTT系オールラウンダーの2人をピックアップしてみた。

デュムランは何だかんだ言って、今大会の出場メンバーの中ではずば抜けた実力者だ。
ヨン・イサギーレはこれくらいやってもらわないと困るので、期待値込みで3位とした。

なお、ポイント賞はペーター・サガン、山岳賞はミケル・ニエベと予想する。
ニエベの紹介がないのは、本記事を公開する直前でチームスカイのロースターが発表された都合によるものだ。

まとめ

ツールの前哨戦ではあるが、ツールに関係ない選手も多く出場するため、ステージ優勝争いも総合争いも白熱するに違いない。
第4のグランツールと言われるように、ツール・ド・スイス単体で見ても面白い大会となるのではないだろうか。

あとは、昨年大会のように降雪によるステージ短縮といったことのないよう、良い天気が続くことを祈りたい。

ツール・ド・スイスは6月10日から18日まで全9ステージで開催される。

・こちらも合わせてどうぞ

ツール・ド・スイス2017コースプレビュー!

スポンサーリンク

-ツール・ド・スイス2017