ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)が逃げ切り、グランツール初勝利をあげました。
オリカ・バイクエクスチェンジの戦略がピタリとハマり、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)が総合3位、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)が総合4位にジャンプアップすることに成功しました。
チームスカイに対して攻撃を仕掛けたモビスターでしたが、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)に対してタイム差をつけることは出来ませんでした。
コースプロフィール
41名の逃げが決まる
スタートから20km近くアタック合戦が続いて、41名という大集団の逃げが決まりました。
ここには、
ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
というモビスターの3選手が逃げに乗りました。
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がマイヨロホを着用していますが、クリス・フルーム(イギリス)に対してもっとリードを築きたいということもあり、積極的にスカイに攻撃を仕掛けて来ました。
スカイは逃げ集団にダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)を送り込んで、逃げメンバーをチェックしてチームに知らせます。
総合12位のダニエル・モレーノ、山岳で強力なアシストを出来るルーベン・フェルナンデスの2人が乗っていることを確認し、チームスカイはこの逃げを簡単に逃がしてはいけないということで、メイン集団を牽いて逃げを追いかけます。
3名のアシストを使って、逃げ集団を追いかけますが、41名の逃げを捉えるにはさすがにパワーが足りません。
この結果、タイム差が大きく広がってしまいました。
41名の逃げている選手は、
ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)
ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)
ダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
ジョージ・ベネット(ニュージランド、ロットNLユンボ)
ビクトール・カンペナールト(ベルギー、ロットNLユンボ)
ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・バイクエクスチェンジ)
マグヌス・コルトニールセン(デンマーク、オリカ・バイクエクスチェンジ)
ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)
ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)
オド・クリスティアン・エイキング(ノルウェー、FDJ)
アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ)
アイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2R)
クォンタン・ハウレギ(フランス、AG2R)
アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ)
エゴール・シリン(ロシア、カチューシャ)
バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)
サンダー・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)
ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)
ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール)
オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)
ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
ローレンス・ウォーバス(アメリカ、ランプレ・メリダ)
マッティア・カッタネオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
ロメン・アルディ(フランス、コディディス)
ルディ・モラール(フランス、コフィディス)
クリストフ・プフィングステン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
セルジオ・パルディーリャ(スペイン、カハ・ルラル)
ヒュー・カーシー(イギリス、カハ・ルラル)
ペーリョ・ビルバオ(スペイン、カハ・ルラル)
ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)
ペリグ・ケムヌール(フランス、ディレクトエネルジー)
です。
タイム差は5分程度まで広がって、4〜5分程度を推移しています。
山岳賞争い
最初の1級山岳では、
1. フライレ 10pts
2. ジェニエ 6pts
3. エリッソンド 4pts
でした。
続く1級山岳でも
1. フライレ 10pts
2. エリッソンド 6pts
でした。
3つ目の1級山岳で、逃げ集団からフライレが遅れてしまいました。
代わってエリッソンドが、ベルナールとシリンと共に抜け出します。
3つ目の1級山岳はエリッソンドが1位通過して、10pts追加します。
エリッソンド、ベルナール、シリン、バケランツ、デクレルク、ベネットが逃げ集団から飛び出して、リードを築いて逃げ続けます。
メイン集団からはサイモン・イェーツが動く
逃げ集団に3名の選手を送ったオリカ・バイクエクスチェンジでしたが、3つ目の1級山岳で全員脱落してしまいました。
メイン集団から、ジャック・ヘイグ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)がアタックします。
総合に何の影響もない選手なので、チームスカイがコントロールするメイン集団はこれを追いません。
メイン集団から30秒ほどマージンを稼いだところで、総合7位のサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)がアタックします!オリカのエースはエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)なので、イェーツはセカンドエースという位置づけです。
スカイにとっては、逃したくない選手の一人ですが、序盤から牽き続けたスカイのアシスト陣は疲弊していて、ペースを上げることは出来ません。
ヘイグに引かれたイェーツが、メイン集団から1分ほどリード築き、ヘイグは離脱します。
そして、山頂にたどり着いたところで、逃げ集団から落ちてきたゲランスとコルトニールセンと合流して、下り坂をかっ飛ばします!
オリカの見事なチームワークが炸裂して、イェーツとメイン集団のタイム差を大きく引き離しにかかります。
ダウンヒルを終えてから、ケウケレールも合流し、3名のアシストがイェーツをアシストするという、オリカの戦略がカンペキすぎるほどに、ピタリとハマりました。
イェーツを出来るだけフレッシュな状態で、最後の超級山岳オービスク峠まで連れて行くことが、オリカアシスト陣に与えられたミッションです。
先頭集団は超級山岳オービスク峠へ
ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)
ジョージ・ベネット(ニュージランド、ロットNLユンボ)
ジュリアン・ベルナール(フランス、トレック・セガフレード)
ヤン・バケランツ(ベルギー、AG2R)
エゴール・シリン(ロシア、カチューシャ)
バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)
の6名が先頭で、オービスク峠を登り始めました。
30秒ほど遅れて、追走集団には、モビスターのルーベン・フェルナンデス、ダニエル・モレーノ、スカイのロペスガルシアら総合上位勢のアシスト陣、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)、ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)らがいます。
サイモン・イェーツは、メイン集団に対して1分30秒ほどのリードを築いてオービスク峠を登り始めます。
メイン集団は、モビスターがコントロールを始めました。
チームスカイの平坦アシスト陣のハードワークの甲斐があって、逃げ集団とのタイム差が決定的なほど広げずに済み、サイモン・イェーツが総合を脅かす存在となった今、リーダージャージを着るモビスターがコントロールをせざるを得なくなりました。
ステージ優勝をめぐる先頭集団での争い
エリッソンド、バケランツらのペースアップに、デクレルクとベルナールが遅れてしまいます。
すると、追走集団からヘーシンクがアタックします。
強力な登坂力を見せ、グングン先頭との差を詰めて、先頭集団に追いつきます。
先頭に追いついた6.8km地点で、その勢いのままヘーシンクがアタック!
バケランツのみが、ヘーシンクのアタックに食らいつきます。
エリッソンドとシリンが諦めずに、先頭を追い続けると、バケランツがヘーシンクのペースについて行けずに遅れて、エリッソンドとシリンが追いつきます。
ステージ優勝の行方は、この3名に絞られます。
残り300mほどで、ヘーシンクが全開で踏み始めます!
ヘーシンクのパワーに、シリンもエリッソンドも離されてしまいます!
後ろを全く振り返ることなく、ゴール寸前にチラリと後方を覗き込むと、誰もいません。
ヘーシンクがグランツール初勝利をあげました!
サイモン・イェーツは、トップから39秒遅れでフィニッシュし、総合ライバル勢にタイム差をつけることに成功しました。
マイヨロホをめぐるメイン集団での争い
メイン集団では、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)ら総合上位勢が、お互いの出方を伺って膠着状態となっています。
ここから、総合ジャンプアップを狙って、レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール)、サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)らがアタックします。
続いて、キンタナがアタックを仕掛けますが、コンタドール、チャベス、フルームらは問題なく対応することが出来ています。
再びキンタナがアタックすると、逃げ集団から降りてきたダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)がフルームをアシストしながら、対応します。
キンタナは、同じく逃げ集団から降りてきたダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)にアシストされながら、フルームたちを引き離そうと試みます。
しかし、この動きも決定的な差をつけるには至りません。
ここで、チャベスがキンタナに追いつくと、そのままアタックします。キンタナもフルームもお互いをマークしているため、チャベスは追いません。
すると、今度はコンタドールがアタックします。
キンタナとフルームは、コンタドールに難なく追いつくと、今度は二人のハイペースにコンタドールが遅れてしまいます。
フルームからタイムを奪いたいキンタナは、何度もアタックを仕掛けますが、フルームは落ち着いて全ての動きを封じ込めます。
ゴール目指して、キンタナがロングスパートをかけるものの、フルームは背後をピタリとマークして、そのままフィニッシュ。トップから1分47秒遅れでゴールし、キンタナはフルームにタイム差をつけることが出来ませんでした。
コンタドールは2分7秒遅れ、そしてアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は10分56秒遅れという致命的な遅れを喫してしまいます。
この結果、総合順位が大きく入れ替わります。
総合3位にチャベス、逃げ切ったイェーツは総合4位にそれぞれ浮上します。
オリカ・バイクエクスチェンジは、チームの戦略が見事にハマった、大成功の一日となりました。
ケーニッヒも総合5位に浮上しています。
バルベルデは総合19位まで落ちてしまいました。
ヘーシンクは念願の初勝利、エリッソンドが山岳賞ジャージゲット
ツール・ド・フランス総合4位にもなったことがあるヘーシンクが、グランツール初勝利をあげました。
第10ステージのコバドンガの登りでは、先頭を独走していましたが、キンタナにかわされてしまい、惜しくもステージ2位でした。
今回は、第10ステージの雪辱を果たし、嬉しいステージ優勝となりました。
今日だけで大量35ptsを獲得し、計49ptsとしたエリッソンドが、マイヨモンターニャを獲得しました。
フライレが40ptsなので、この両者による今後の山岳賞争いの行方も目が離せません。
第15ステージは距離は短いながらも、パンチ力のある山岳の続くステージ
3級・2級・1級と立て続けに登場し、頂上フィニッシュとなるステージです。
118.5kmと短いステージながら、今日の第14ステージで疲弊したアシスト陣の影響が気になるところです。
最後の1級山岳では、連日繰り広げられている総合バトルが見どころとなるでしょう。