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アスタナ戦力分析!【2017年シーズン】

2017/02/18

ファビオ・アルがエースを務めるアスタナの戦力分析です。

ヴィンチェンツォ・ニーバリとディエゴ・ローザが抜けた穴は、あまりにも大きくて、アルの調子に左右されるチームとなりそうです。

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アスタナ2017ロースター

ss

ファビオ・アル(イタリア)
ザンドス・ビジギトフ(カザフスタン)
ダリオ・カタルド(イタリア)
ローレンス・デブリース(ベルギー)
ダニイル・フォミナイク(カザフスタン)
タコブ・フグルサング(デンマーク)
アンドレイ・グリブコ(ウクライナ)
ドミトリー・グルージェフ(カザフスタン)
アーマン・カミシェフ(カザフスタン)
タネル・カンゲルト(エストニア)
バクチヤル・コザタエフ(カザフスタン)
ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)
アレクセイ・ルチェンコ(カザフスタン)
パオロ・ティラロンゴ(イタリア)
ディアス・オミルザコフ(カザフスタン)
ルイスレオン・サンチェス(スペイン)
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
ルスラン・トレウバエフ(カザフスタン)
アートム・ザカロフ(カザフスタン)
アンドレイ・ゼイツ(カザフスタン)

・新加入選手

ペロ・ビルバオ(スペイン)←カハルラル(PCT、スペイン)
マッティ・ブレシェル(デンマーク)←キャノンデール・ドラパック
セルゲイ・シェルネツキ(ロシア)←カチューシャ
オスカル・ガット(イタリア)←ティンコフ
ジェスパー・ハンセン(デンマーク)←ティンコフ
モレーノ・モゼール(イタリア)←キャノンデール・ドラパック
ミケル・ヴァルグレン(デンマーク)←ティンコフ
リカルド・ミナーリ(イタリア)←新人

・退団選手

ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア)→バーレーン・メリダ
マクザト・アヤバイェフ(カザフスタン)→未定
ラース・ボーム(オランダ)→ロットNLユンボ
エロス・カペッキ(イタリア)→クイックステップ・フロアーズ
アンドレア・グアルディーニ(イタリア)→プロジェクト・TJスポーツ
ヌルボラト・クリンベトフ(カザフスタン)→未定
ダビド・マラカルネ(イタリア)→引退
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)→バーレーン・メリダ
ディエゴ・ローザ(イタリア)→チームスカイ
ガティス・スムクリス(ラトビア)→デルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエム(PCT、フランス)
アレッサンドロ・ヴァノッティ(イタリア)→未定
リエーヴェ・ウェストラ(オランダ)→ワンティ・グループゴベール(PCT、ベルギー)

ファビオ・アルの単独エース体制に

ヴィンチェンツォ・ニーバリの移籍によって、ファビオ・アルの単独エース体制が敷かれることでしょう。

アルは、ツールは回避して、ジロとブエルタに集中するという報道もあります。アスタナの2017年のミッションはアルによるジロまたはブエルタの制覇だと言えましょう。

ジロとブエルタに出場することは、2014年と2015年にもありました。2014年はジロ総合3位、ブエルタ総合5位で、2015年はジロ総合2位、ブエルタ総合優勝と、好成績を残しました。2016年のツールでは全く力強さを感じられませんでしたが、相性が良いと思われるジロとブエルタに集中することで、2017年は良い成績が期待されます。

ブエルタを制覇した2015年のアルのスケジュールは、

3月パリ〜ニース、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ
5月ジロ・デ・イタリア
8月ツール・ド・ポローニュ
8〜9月ブエルタ・ア・エスパーニャ
9〜10月ワンデーレース×3
10月アブダビツアー

に出場して、計11000km以上走行しています。

アブダビツアーは2017年は2月に開催され、ワールドツアーに昇格したため、アブダビツアーもしくはパリ〜ニースあたりでシーズンインするのではないかと思います。

ジロとブエルタはアルがエースですが、ツールは他の選手がエースを務めることになります。

若いミゲルアンヘル・ロペスモレーノに期待がかかります。グランツール初出場となった2016年ブエルタでは、第1ステージのTTTで落車した影響もあり、途中リタイアに終わりました。

2017年はツールへの出場が濃厚で、総合トップ10に入ることが出来れば大躍進と言えましょう。

個人的に注目している選手が、タネル・カンゲルトです。2016年アブダビツアーで総合優勝し、近年出場しているグランツールでは安定して10〜20位台で完走しています。

これまではニーバリやアルのアシストが主な仕事でしたが、ツールではロペスモレーノの調子次第ではカンゲルトで総合を狙うことが十分考えられます。

強力な山岳アシストが移籍した穴は埋められず

ディエゴ・ローザとエロス・カペッキの流出は、非常に痛いです。

移籍市場で、ビッグネームも数名獲得しましたが、山岳でローザやカペッキと同等の仕事が出来るような脚質の選手は獲得出来ませんでした。

ペロ・ビルバオ、セルゲイ・シェルネツキ、ジェスパー・ハンセンは、クライマーと言える脚質ではありますが、実績も乏しくローザとカペッキの代わりを期待するのは酷なことです。とはいえ、一定以上の力を有していると言えるので、アスタナでは山岳アシストとしての期待がかかります。

2016年と同様にエースアシストは、ヤコブ・フグルサング、ルイスレオン・サンチェス、パオロ・ティラロンゴ、ミケーレ・スカルポーニらが務めることでしょう。

フグルサングは2016年ジロを総合12位で完走し、リオ五輪個人ロードでは銀メダルを獲得しました。ベテランの域に差し掛かっていますが、年々力強さが増している印象を受けます。

LLサンチェスは、2015年ブエルタでの前待ち作戦の印象が強く残っています。世界トップクラスのダウンヒラーとして、下り坂でのアシストはアスタナの大きな武器となるでしょう。

スカルポーニは2017年に38歳となる大ベテランです。2016年はジロ総合16位、ブエルタ総合11位と、上位で完走しています。引き続き期待したくなる選手です。

ティラロンゴも2017年に40歳を迎える超ベテランです。かつてはアルベルト・コンタドールの重要な山岳アシストを務め、今ではアルの専属アシストになっています。

アレクセイ・ルチェンコ、アンドレイ・ゼイツ、ダリオ・カタルド、アンドレイ・グリブコなども、グランツールではお馴染みのアシストたちです。逃げに集団牽引に、様々な役割が与えられることでしょう。

山岳アシストの数は足りていますが、常にニーバリやアルの側に最後まで付き添っていたローザやカペッキの穴は、決して小さくありません。

平坦スペシャリストとして獲得したガットとヴァルグレンに期待

ラース・ボームが移籍した穴は、ティンコフから獲得したオスカル・ガットとミカル・ヴァルグレンで埋めることに成功しています。

ガットは、2016年ツールでダニエーレ・ベンナーティやマッテオ・トザットらと共に横風区間で猛烈に集団を牽き倒して、ライバルチームを攻撃していたシーンが印象に残っています。

ヴァルグレンは、アムステルゴールドレース2位の印象が強く、クラシックレースではエース格で出場することになると思われますが、グランツールでは平坦での牽引力に期待がかかります。

マッティ・ブレシェル、モレーノ・モゼールらの新戦力にも、アタッカーとしてだけでなく、平坦路でエースを守る仕事も任されることでしょう。

ドミトリー・グルージェフ、ダリオ・カタルド、アンドレイ・グリブコらもルーラー的な脚質を持ち合わせているので、平坦での仕事は多くなりそうです。

強力な山岳アシストを獲得出来なかった分、平坦スペシャリストを多く獲得することに成功し、平坦アシストのデプスをかなり強化することが出来ました。

ワンデーレースでは新戦力たちの躍動が見どころに

マッティ・ブレシェル、モレーノ・モゼール、ミカル・ヴァルグレンらに注目が集まります。

2016年のアスタナは、ステージレースでニーバリとローザが結果を出したものの、ワンデーレースでは全く良い成績を残すことが出来ませんでした。アスタナとして稼いだUCIポイントの大半がニーバリとローザによるものなので、2017年はワールドチームとしてUCIポイントを多く稼ぐことが課題となっています。

そのため、パンチャーやクラシックスペシャリストとして先にあげた3名を獲得しました。ワンデーレースでの優勝、上位入賞の期待が高まります。

モゼールは2013年にストラーデ・ビアンケで優勝した経験があります。当時は1カテゴリーでしたが、2017年からはワールドツアーに組み込まれます。

ヴァルグレンはアルデンヌクラシックでエースを担うことでしょう。

ルイスレオン・サンチェスも、近年はクライマーというよりパンチャーに近い脚質に変化しつつあるように思えます。2016年はミラノ〜サンレモで11位だったこともあり、クラシックレースでの上位入賞は期待出来るのではないかと思います。

突出した選手はいないので、戦略的に上位入賞を果たして、ポイントを稼ぎたいところです。

スプリンターは不在、集団スプリントでは勝ち目なし

このチームにはスプリンターがいません。強いて言えば、ブレシェルとガットがスプリント力が高いと思われます。

ステージレースで余裕があれば、二人がスプリントに参加することもあると思いますが、基本的には集団スプリントでは全く期待が出来ません。

アルの復活が全ての鍵を握る

ステージレース:★★★★☆
ワンデーレース:★★★☆☆
ステージ優勝:★★★★☆
スプリント:★☆☆☆☆

ジロとブエルタに専念するアルの調子によって、アスタナのチーム方針が全く違ってくることになりそうです。

ロペスモレーノの覚醒、カンゲルトの意外性に期待を寄せつつも、これらをチームの柱にしてはリスクがありすぎます。

『頑張れアル!頼むぞアル!』と言った状況です。

2017年はカザフスタンの首都アスタナで、中央アジア初の国際万博が開かれます。アスタナの名を背負ったサイクリングチームとして、レースで結果を出して間接的に盛り上げたいというスポンサーの意向もあるように思えます。

更にバイクサプライヤーもスペシャライズドからアルゴン18へと代わり、ホイールもジャージも全てメーカーが代わります。ある意味、ニーバリ体制からの変化の年になるのかもしれません。

一度グランツールを制したアルですが、もう一皮むけて欲しいなと思います。

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