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オリカ・スコット2017戦力分析!【2017年シーズン】

2017/02/09

エステバン・チャベス、アダム&サイモン・イェーツ兄弟を擁するオリカ・バイクエクスチェンジ改め、オリカ・スコットの戦力分析です。

新たにロマン・クロイツィゲルを獲得し、グランツール総合優勝が確実に近づいています。

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オリカ・スコット2017ロースター

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ミカエル・アルバジーニ(スイス)
サム・ビューリー(ニュージーランド)
エステバン・チャベス(コロンビア)
チェン・キンロー(香港)
ミッチェル・ドッカー(オーストラリア)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)
アレクサンダー・エドモンドソン(オーストラリア)
カレブ・ユアン(オーストラリア)
サイモン・ゲランス(オーストラリア)
ジャック・ヘイグ(オーストラリア)
マシュー・ヘイマン(オーストラリア)
マイケル・ヘップバーン(オーストラリア)
ダミアン・ハウスン(オーストラリア)
ダリル・インピー(南アフリカ)
クリストファー・ユールイェンセン(デンマーク)
イェンス・ケウケレール(ベルギー)
ルカ・メスゲツ(スロベニア)
マグヌス・コルトニールセン(デンマーク)
ルーベン・プラサ(スペイン)
ロバート・パワー(オーストラリア)
スヴェイン・タフト(カナダ)
カルロス・ベローナ(スペイン)
アダム・イェーツ(イギリス)
サイモン・イェーツ(イギリス)

・新加入選手

ロマン・クロイツィゲル(チェコ)←ティンコフ
ロジャー・クルーゲ(ドイツ)←IAMサイクリング

・退団選手

マイケル・マシューズ(オーストラリア)→サンウェブ・ジャイアント
ニック・シュルツ(オーストラリア)→カハ・ルラル(PCT、スペイン )
クリスチャン・マイヤー(カナダ)→引退
アメツ・チュルカ(スペイン)→未定

チャベスとイェーツ兄弟がグランツール総合優勝を狙う

大本命はエステバン・チャベスでしょう。2016年はジロ・デ・イタリア総合2位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位と共に総合表彰台を獲得しています。

2017年シーズンは再びジロ・デ・イタリアへの出場の可能性が高いです。

チャベスは勝負勘に優れた選手で、終盤で決定的なアタックを決めることが得意です。ブエルタ第20ステージでは、アルベルト・コンタドールを逆転するために、終盤の山岳で単独アタックを仕掛け、前を走っていたダミアン・ハウスンにジョイントして、見事に逆転で総合3位となりました。

イル・ロンバルディアでも、終盤の登りでチャベスが仕掛けた結果、集団から抜け出したディエゴ・ローザ、リゴベルト・ウラン、ロメン・バルデら3名との勝負に持ち込むことに成功しました。スプリント力に優れるアレハンドロ・バルベルデを置き去りにして、実力伯仲のスプリントバトルを制して、自身初のモニュメント制覇となりました。

チャベスは、ここぞ!というタイミングを測る能力に長け、集団を置き去りにするほどの爆発力を備えたクライマーです。この力はグランツールにおいて、ライバルにタイム差をつけるために、非常に有効な武器となることでしょう。

しかし、弱点はTTです。ブエルタ第19ステージの37kmの個人TTでは、優勝したクリス・フルームから3分13秒遅れ、キンタナやコンタドールからはおよそ1分遅れと、負けてはならないライバル選手たちに大差をつけられていました。

山岳の終盤でアタックを決めたとしても、そうそう2〜3分の差をつけることは難しいので、TTで1分以上遅れるようでは厳しいと言えましょう。トレーニングによるTTの強化が重要事項となりそうです。

そのチャベスに次ぐ存在はアダム&サイモンのイェーツ兄弟です。

アダム・イェーツはツール総合4位でマイヨ・ブランを獲得しました。

アダム・イェーツも思い切りの良い選手で、ツール第7ステージの終盤、アスパン峠の頂上付近から勢い良くアタックを仕掛けダウンヒルでメイン集団にタイム差をつけることに成功しました。しかし、フラムルージュの落下に巻き込まれ、クラッシュしてしまいます。結果的に救済措置により、クラッシュ前の残り3km地点でのタイム差を総合成績に反映させることになり、ジュリアン・アラフィリップからマイヨ・ブランを奪取して、以降最終ステージまで守り抜きました。

サイモン・イェーツもアダムと同様に思い切りの良いアタックが売りの選手で、ブエルタ第6ステージで終盤、鋭いアタックを決め逃げ切り勝利を飾りました。アダムはまだ成し得ていない、サイモン自身にとっても初めてのグランツールのステージ優勝となりました。総合成績もチャベスのアシストをしながらも総合6位で完走しています。

チャベスは言うまでもなく一流のエースですが、イェーツ兄弟も十分にグランツール表彰台が狙える実力者です。オリカの最大の強みとも言えましょう。

待望のエース山岳アシストとしてクロイツィゲルを獲得

チャベス、イェーツ兄弟はそれぞれエース格として出場することが多く、ジロではチャベス一人、ツールではアダム・イェーツ一人で出場していました。ゆえに重要な局面で二人をアシストする山岳アシストの不在が響いた場面もありました。

ブエルタでは、チャベスとサイモン・イェーツが共に出場し、後半ではサイモン・イェーツがチャベスを強力にアシストするシーンが見られました。

しかし、イェーツ兄弟はグランツールで上位を狙いたいという意思があるはずで、チャベスの専任アシストになるつもりは無いように見えます。

そこで、ティンコフから獲得したロマン・クロイツィゲルがこの問題を一手に解決してくれます。

クロイツィゲルは、エース級の力を持ちながら、エースとして出場するとなかなか本来の力が発揮できてない一方で、山岳アシストとしてエースのサポート役に回ると、あまりにも強力なクライマーへと変貌します。

ヴィンチェンツォ・ニーバリ、アルベルト・コンタドールの重要なアシストとして、長年活躍して来ました。

ティンコフの解散に伴い、コンタドールとは袂を分かち、チャベスとイェーツ兄弟のいるオリカ・スコットへの移籍を決めました。

チャベス、イェーツ兄弟、クロイツィゲルの4名が同時に出場するようなことがあれば、チームスカイやモビスターですら敵わないほどの最強クライマー集団の完成と言えましょう。

他にクライマー的な脚質を持った選手では、ルーベン・プラサ、クリストファー・ユールイェンセン、ロバート・パワー、ジャック・ヘイグ、カルロス・ベローナがいます。

プラサは37歳となる大ベテランで、2015年ブエルタで大逃げのステージ優勝を果たしているクライマーです。

ユールイェンセンは2016年ジャパンカップ2位、パワーは同じく3位に入っているパンチ力のある選手たちです。なおパワーは21歳、ヘイグとベローナはそれぞれ23歳・24歳の若手クライマーです。

ミカエル・アルバジーニ、サイモン・ゲランス、ダリル・インピーも登れるパンチャーであり、山岳地帯でのアシストも出来る選手でしょう。

平坦スペシャリストの人材は豊富

ルーク・ダーブリッジ、スヴェン・タフト、サム・ビューリー、マイケル・ヘップバーン、アレクサンダー・エドモンドソンはTTスペシャリストです。ビューリーを除く4名は、世界選手権のチームタイムトライアルに出場し、3位に入賞しています。

更に、マシュー・ヘイマン、ダミアン・ハウスン、チェン・キンロー、ミッチェル・ドッカーらルーラーもいます。

ヘイマンは2016年パリ〜ルーベ優勝が大きく目立っていますが、本来は190cmの大型で非常にタフな体格を活かして、献身的な働きをするアシストの鏡のような存在です。

ハウスンは、何と言っても2016年ブエルタ第20ステージで、終盤に集団から抜け出したチャベスを前で待ち、オールアウトするまで全開で牽き続けた選手です。

チェンは、アジア選手権個人TTで優勝し、更にロードレースでは40kmを逃げ切り、新城幸也と別府史之を下して二冠を達成した選手です。

更にイェンス・ケウケレールや新加入のロジャー・クルーゲも、集団牽引の出来るスプリンターに近い脚質を持った選手です。

どんな場面でも、集団コントロールなら任せろ!と言える、重厚な布陣となっています。

マシューズの移籍の穴は大きいが、ケウケレールに期待

パンチャーとしては、マイケル・マシューズがエースを担い、多くの勝利をあげてきましたが、サンウェブ・ジャイアントへ移籍してしまいました。マシューズの代わりになるような選手は、世界を見渡してもごくわずかであり穴を埋めることは出来ません。

既存の戦力の中では、ブエルタでステージ優勝をあげたイェンス・ケウケレールに期待しています。ある程度登れる力だけでなく、集団スプリントを制する瞬発力とパワーも持ち合わせた選手です。

ベテランのミカエル・アルバジーニとサイモン・ゲランスにも、やはり注目です。

アルバジーニはツール・ド・ロマンディ通算6勝をあげており、2016年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは、最後の小集団スプリントで惜しくも2位でした。

ゲランスも、ツアー・ダウンアンダーで総合優勝したりと、二人共30代後半とは思えない一線級のパンチャーです。2017年も期待して良いでしょう!

スプリンターでは、ユアンとコルトニールセンら若き才能に注目

カレブ・ユアンは2016年ツアー・ダウンアンダー2勝に始まり、ワールドツアーのワンデーレースであるサイクラシックス・ハンブルクで優勝した、弱冠22歳の超新星です。身長165cmと小柄ながら、ピュアスプリンターに劣らない爆発力が魅力です。

ブエルタでステージ2勝をあげ、一躍ヒーローとなったマグヌス・コルトニールセンにも注目です。コルトニールセンも23歳と若く、順調に力をつけていったとしたら、どれだけのスプリンターに成長するのか楽しみで仕方ありません。

二人を支えるトレイン役には、新加入のロジャー・クルーゲ、ルカ・メスゲツ、そしてイェンス・ケウケレールとダリル・インピーも担うことでしょう。

ユアンとコルトニールセンの二人の若き才能が、世界のピュアスプリンターを相手にどこまで戦えるか見ものです。

非常に総合力の高い、どこからでも勝利を狙えるチーム

ステージレース:★★★★★
ワンデーレース:★★★★☆
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★★★☆

オリカ・スコットの最大のミッションは、チャベスでのツール・ド・フランス制覇でしょう。豊富な戦力は、ツール制覇だけでなく、数多くのステージレースの総合やステージ優勝を狙える力があります。

チャベス、アダム&サイモン・イェーツ兄弟、クロイツィゲルのチームワークには大いに注目したいところです。

ケウケレール、アルバジーニ、ゲランスらパンチャー陣の活躍にも注目ですし、ユアン、コルトニールセンの若きスプリンターにも期待が持てます。

そして、何よりオリカ・スコットはチームワークが最大の武器と言えましょう。2016年ツール第10ステージでの勝利、ブエルタ第20ステージでのチャベスの逆転劇など、見事な作戦を実行し勝ち抜く選手たちのチームワークが素晴らしいです。

新たに補強した選手数は少ないことが、さらにチーム力を結束することに繋がるかもしれません。

2017年のオリカ・スコットは楽しみで一杯です!

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