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戦力分析2018

グルパマ・FDJ戦力分析!【2018年シーズン】

2018/01/23

ティボー・ピノ、アルノー・デマールと、フランスを代表する2人のエースを擁するFDJ改めグルパマ・FDJ。

チームが低迷するなか多くの選手が引き抜かれてしまい、戦力補強もままならず苦しいシーズンを迎えそうだ。

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グルパマ・FDJ2018ロースター

ティボー・ピノ(フランス)
アルノー・デマール(フランス)
ウィリアム・ボネ(フランス)
ダヴィデ・チモライ(イタリア)
ミカエル・ドゥラージュ(フランス)
アントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ)
ダヴィ・ゴデュ(フランス)
ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア)
ダニエル・ホールゴール(ノルウェー)
イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア)
マチュー・ラダニュ(フランス)
オリヴィエ・ルガック(フランス)
トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン)
ヴァランタン・マデュア(フランス)
ルディ・モラール(フランス)
スティーブ・モラビト(フランス)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス)
アントニー・ルー(フランス)
ジェレミー・ロワ(フランス)
マルク・サロー(フランス)
ブノワ・ヴォグルナール(フランス)
アルテュール・ヴィショ(フランス)
レオ・ヴァンサン(フランス)

・新加入選手
ラモン・シンケルダム(オランダ)←チーム・サンウェブ
ゲオルク・プライドラー(オーストリア)←チーム・サンウェブ
バンジャマン・トマ(フランス)←アルメ・ド・テール(CT、フランス)
ブルーノ・アルミライル(フランス)←ロクシタン・CF(アマ)※トレーニーから昇格
ロメン・シーグル(フランス)←CC・エタップス(アマ)※トレーニーから昇格

・退団選手
アルノー・クルテイユ(フランス)→ヴィタルコンセプト クラブ(PCT、フランス)
マルク・フルニエ(フランス)→ヴィタルコンセプト クラブ(PCT、フランス)
ヨハン・ルボン(フランス)→ヴィタルコンセプト クラブ(PCT、フランス)
ロレンゾ・マンザン(フランス)→ヴィタルコンセプト クラブ(PCT、フランス)
ケヴィン・レザ(フランス)→ヴィタルコンセプト クラブ(PCT、フランス)
ジェレミー・メゾン(フランス)→フォルテュネオ・サムシック(PCT、フランス)
オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー)→ワンティ・グループゴベール(PCT、ベルギー)
セドリック・ピノー(フランス)→引退

ピノがグランツール総合上位を狙うが、山岳アシストの選手層は薄め

2014年にツール・ド・フランス総合3位&新人賞を獲得し、再びフランス人でマイヨジョーヌを狙える選手が台頭してきたと、国民の期待を一身に背負った結果、2015年は総合16位に沈み、2016年は体調不良も伴い第13ステージを前にリタイアとなった。

その一方で、同世代のロマン・バルデは2015年は総合9位、2016年は総合3位と着実にステップアップしており、フランス人総合ライダーの主役の座はバルデに奪われた格好となった。

そこで、2017年シーズンはツールをメインターゲットにしないことを決めて、ジロ・デ・イタリアで総合優勝を狙って出場した。ツールへのプレッシャーから開放されたことが功を奏したのか、ピノは好調といえるシーズンを送った。

ティレーノ~アドリアティコ総合3位、ツアー・オブ・ジ・アルプス(2.HC)総合2位と好調ぶりを示し、ジロへ初出場した。自らアタックを仕掛けて積極的に集団を揺さぶる動きを見せながら、第20ステージでは総合勢同士によるスプリント勝負を制してステージ優勝を飾った。

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最終的に総合4位と惜しくも表彰台は逃したがトップから1分17秒遅れとかなり接戦の末の結果だった。

ツールでは体調不良もあり目立った活躍はできないまま途中リタイア。ツール・ド・ラン(2.1)では総合優勝し、秋のクラシックシーズンでもトレ・ヴァーリ・ヴァレシーネ(1.HC)2位、イル・ロンバルディア5位など上位に食い込む活躍を見せていた。

2018年シーズンもジロをメインターゲットに置きつつツールにも出場する予定となっており、2017年のスケジュールを踏襲する見込みだ。スプリント力もそれなりに高い選手なので、秋のクラシックで良い走りを見せていたこともあり、個人的にはアルデンヌクラシックで走る姿を見てみたい。だが、ピノはこれまで一度もアルデンヌクラシックに出場したことがないので、出場の可能性は低いだろう。

山岳アシスト要員としては、

ライヒェンバッハ、ゴデュ、モラール、モラビトあたりがあげられる。

ライヒェンバッハはジロで総合15位に入ったように、総合力の高い選手であり、超級山岳を含むような難関ステージでも最終盤までメイン集団内で仕事ができる頼れるアシストだ。というより、FDJでピノを支えられるようなクライマーは、実質ライヒェンバッハひとりのみだ。

ゴデュは、2016年ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)で総合優勝した期待の若手選手だ。ツール・ド・ランではプロ初勝利となるステージ優勝を飾り、チームメイトのピノに次ぐ総合2位となっている。2018年はいよいよグランツールデビューを飾るかどうか注目したい。

北のクラシック、アルデンヌクラシック共に狙える選手は少ない

アルデンヌクラシックでは、アムステルゴールドレースはヴィショの14位、フレーシュ・ワロンヌはモラールの8位、リエージュ~バストーニュ~リエージュもモラールの17位がそれぞれチーム最高成績となっている。イル・ロンバルディアはピノの5位が最高だ。

北のクラシックではデマールがパリ〜ルーベで6位に入ったくらいが目立つ成績で、FDJはワンデークラシックでほとんど結果を残せていない。

2016年にミラノ〜サンレモでデマールは勝利をあげたように(※魔法の絨毯を使ったという強い疑惑があるものの…)、スプリンター向きのワンデーレースではデマールを中心に結果を出している。

というように、ワンデーレースで勝ちを狙える選手がほとんどいないことがこのチームの弱点だ。

ネオプロながらフレーシュ・ワロンヌ9位、ミラノ〜トリノ5位などワンデーレースで結果を残したゴデュの成長次第ではあるが、勝利を望むのはさすがに過剰な期待となりそうだ。

デマールのための充実した平坦アシスト陣

ステージレーサーが少なく、山岳アシストも少ない、クラシックハンターの選手層も薄いなか、エーススプリンターを務めるデマールを支えるための選手層は非常に分厚くなっている。

パリ〜ニース第1ステージ、グランプリ・ド・ドナン(1.HC)優勝。ダンケルク4日間レース(2.HC)第2ステージ優勝、クリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージ優勝&ポイント賞獲得、フランス国内ロード選手権優勝と、2017年シーズンは序盤から好調を維持していた。

ツール第4ステージを制し、マイヨヴェールにも袖を通した。しかし、第8ステージから体調を大きく崩してしまい、第9ステージで無念のタイムアウトとなってしまい失格となった。

ツール後はブリュッセル・サイクリングクラシック(1.HC)で勝利するなど、シーズンを通してコンスタントに勝利を重ねていた。

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ところが、ジェローム・ピノーが立ち上げた新チーム・ヴィタルコンセプト クラブに主力選手5人が引き抜かれてしまう。フルニエ、ルボン、マンザン、レザはいずれもデマールのためのスプリントトレイン要員であり、戦力ダウンを避けるためにシンケルダムとプライドラーを補強した。この2人は、非常に強い選手であるため、デマールのためのスプリントトレインの戦力は維持できたと見てよいだろう。

発射台には、チモライ、グアルニエーリ、サロー、そして新加入のシンケルダムが適任か。チモライはボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第1ステージの集団スプリントを制している。

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サローはツール・デュ・ポワトゥー=シャラント(2.1)第5ステージの集団スプリントで、エリア・ヴィヴィアーニを下して勝利をあげている。シンケルダムはオランダ国内ロード王者に輝いている。

発射台に繋ぐリードアウトトレインは、ボネ、ドゥラージュ、ホールゴール、コノヴァロヴァス、ルドヴィグソン、ラダニュ、ルガック、ロワ、ルー、ヴォグルナール、ヴィショ、そして新加入のプライドラーらが務めるものと思われる。

平坦に強い選手は大勢揃っている。

また、新加入のトマはコンチネンタルチームのフランス陸軍チーム(アルメ・ド・テール)所属ながら、ワールドチームが多く出場するダンケルク4日間レース(2.HC)第3ステージ、ツール・ド・ワロニー(2.HC)第1ステージで共に逃げ切り勝利を決めている。

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ヴィショ、ロワ、ルーなど逃げを得意とする選手が豊富なFDJらしく、アタッカーとしての起用に期待したい。

低迷するチームにあって、苦境は続く

グランツール:★★★★☆
北のクラシック系:★★☆☆☆
アルデンヌクラシック系:★★☆☆☆
スプリント:★★★★★

2017年のワールドツアーチームランキングでは、18チーム中17位とブービーだった。ポイントの7割弱をピノとデマールの2人で稼ぐという、エース2人への依存度が極めて高いチーム状況が問題点だといえよう。

ところが、補強した戦力はアシスト2人に加えて、ネオプロ3人という状況で、ポイントゲッターになり得る即戦力選手は獲得していない。FDJはフランス国内の下位カテゴリーのレースに出場することが多いので、見た目の勝利数は稼げるとは思うが、ワールドツアーポイント面ではエース2人への依存度が高い状況は続きそうだ。

チーム名が「FDJ」から「グルパマ・FDJ」に変わったように、メインスポンサーを務めていたFDJは予算を縮小させる方向に動いている様子だ。この影響を思いっきり受けているともいえるだろう。

この状況を打開するためには、ゴデュ、トマといった若手選手がワールドツアーで勝てるレベルの選手に急成長することや、ヴィショ・ルー・ロワといった実績のある中堅からベテランの選手たちが奮起することが必要だが、過剰な期待を寄せるわけにはいかないだろう。

だとすれば、2017年以上にピノとデマールには奮起して大きな勝利を重ねてもらわねばならない。むしろエース2人への依存度がより大きくなったといえる状況で、非常に苦しいシーズンになることが予想される。

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