クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が異次元の走りを見せ、ステージ優勝をあげます。
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)を2分16秒上回るタイムで、両者は1分21秒差にまで縮まりました。
コースプロフィール
総合上位陣スタート前まで
最初に好タイムをマークしたのは、イブ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)で47分59秒です。
今大会では、エーススプリンターのジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)の発射台を務めたり、逃げに乗るなど存在感を示しています。
ビクトール・カンペナールト(ベルギー、ロットNLユンボ)がランパートに肉薄する、48分20秒のタイムを出しますが、21秒及ばず。
ランパートの記録を更新したのは、トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)でした。
第2計測ポイントではランパートから16秒遅れでしたが、最終的に47分57秒で23秒早いタイムを叩き出しました。
そして、リオ五輪個人TT4位のホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)が出走します。
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)に4秒差でメダルを逃しましたが、TT力に定評のあるカストロビエホの走りは一段階違いました。
中間計測からトップタイムを更新し続け、47分17秒とルドヴィグソンを40秒上回るタイムを記録します。
チェコTTチャンピオンジャージを身にまとう、レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)は48分24秒でした。
そして、勝負の総合上位陣のスタートになります。
総合上位陣による争い
サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
第1計測は18分29秒で10位、第2計測は32分36秒で9位と、まずまずの走りを見せていました。
しかし、ゴール地点にやってきたサンチェスは左半身が泥だらけで、まともに走行出来ないほどのダメージを受けて帰って来ました。
53分2秒でステージ93位と沈みました。それ以上に、明日以降出走できるのかどうかが非常に心配です…。
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール)
第1計測は17位、第2計測は11位と、後半にペースを上げてきて、48分27秒でステージ7位でした。
サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
第1計測は23位、第2計測は30位、結果的に50分18秒でステージ32位でした。
タランスキーから2分近くタイムを失う結果となり、総合6位に一つ順位を落としてしまいました。
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
第1計測は3位、第2計測は4位、しかし後半は徐々に失速して、48分30秒でステージ8位でした。
エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
第1計測は26位、第2計測は21位で、最終的に49分46秒でステージ24位でした。
今後、グランツールレーサーとして活躍していくためには、もう少しTT力を強化する必要がありそうです。
コンタドールから1分16秒失い、総合4位に落ちました。
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
第1計測ポイントから、カストロビエホのタイムを28秒上回る、異次元の走りを見せました。
第2計測も全くスピードが衰える様子はなく、ゴールまで突き進み46分33秒を記録しました。ただ一人46分台を記録して、ぶっちぎりでステージ優勝を決めました。
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
第1計測は6位、第2計測は10位、そして48分49秒でステージ11位でした。
決して悪くはないタイムにまとめて来ましたが、あまりにもフルームが速すぎて、2分16秒も差を付けられてしまいました。
個人TTのまとめと明日の第20ステージの展望
今日の成績を加味した総合成績は以下のとおりです。
キンタナとフルームは1分21秒差、
コンタドールとチャベスは1分11秒差、
タランスキーとサイモン・イェーツは20秒差、
と総合1・2位、3・4位、5・6位同士の争いが非常に楽しみな展開となりました。
キンタナはずっと言っていたように、3分以上のリードを築いて個人TTに臨み、ある意味キンタナの予想通りに2分以上のタイムを失う結果となりました。
決して調子が良くはなさそうに見えるフルームも、最終決戦となる第20ステージを前に1分21秒差という決して大きはない差に抑えて来ました。
コンタドールとチャベスは、ここまでの山岳でのパフォーマンスを見るとチャベスに分があると言えますが、1分11秒という差は絶妙な差です。
これが第20ステージのプロフィール図です。
2級山岳4つに加え、ラストは長い超級山岳の登りが待ち受けています。
距離21km・平均勾配5.9%・最大勾配13.3%です。
激坂という登りではありませんが、一定のペースで21kmの登りとなっています。
山岳賞争いも、非常に接戦となっています。
1位のケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)は56pts、2位のオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)は53pts、3位のロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)は34ptsです。
2級山岳4つを先頭通過すれば20pts、最後の登りは15pts(のはず)獲得できます。
エリッソンドとフライレの一騎打ちと思われます。レース序盤から逃げを決めるアタックの攻防、山岳でのバトルと見どころ満載です。
総合バトルも、泣いても笑っても、これが最後の戦いとなります。
いよいよ2016年のグランツールも大詰め、最終決戦の日がやって来ます!
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