本当に速いダウンヒラーは誰か?Stravaの走行データを元に考察してみる。

今大会では、頂上フィニッシュとなるステージが少ない代わりに、ダウンヒルを経てフィニッシュするステージが多くなっている。
ダウンヒルが勝負の鍵を握っているというわけだ。

高速ダウンヒルでタイム差を開く攻めのダウンヒル、アシストの後ろでペースを落とさずに下りきる守りのダウンヒル。
どちらにせよ、ダウンヒルがうまい選手は総じてトップスピードが速くなると言えよう。

そこで、Stravaで選手が公開している走行データを元に、本当にダウンヒルが速い選手は誰なのか考察してみた。

考察する方法

Stravaで選手が公開している走行データの中で最高速度に注目してみた。
最高速度=ダウンヒルでの最高速度に他ならない。

そこで、ダウンヒルが重要な要素となった第9・12・13ステージの最高速度を調べてみた。

54人の走行データを調べた結果の一部を紹介したい。

第9ステージの最高速度トップ10

1 ニコラ・エデ 117.0
2 ロマン・バルデ 103.3
3 トーマス・デハント 103.0
4 ミカル・クウィアトコウスキー 102.2
5 サイモン・ゲシュケ 101.2
6 エマヌエル・ブッフマン 100.8
7 ヨアン・オフルド 99.0
8 シュテファン・キュング 98.3
9 ローレンス・テンダム 95.0
10 ダミアーノ・カルーゾ 92.9

第12ステージの最高速度トップ10

1 ニコラ・エデ 118.1
2 ミカル・クウィアトコウスキー 112.7
3 ディミトリー・クレース 110.2
4 オリバー・ナーセン 109.1
5 フレフ・ヴァンアーヴェルマート 100.1
6 ネイサン・ブラウン 99.0
7 ポール・マルテンス 97.9
8 ハビエル・モレーノ 97.6
9 ティモ・ルーセン 97.6
10 マルクス・ブルグハート 96.8

第13ステージの最高速度トップ10

1 ミカル・クウィアトコウスキー 115.9
2 ニコラ・エデ 108.0
3 オリバー・ナーセン 106.2
4 ハビエル・モレーノ 100.8
5 シュテファン・キュング 99.7
6 フレフ・ヴァンアーヴェルマート 98.6
7 ロマン・バルデ 98.3
8 ピエールリュック・ペリション 94.7
9 ロマン・アルディ 93.2
10 ディミトリー・クレース 92.5

ダウンヒル偏差値を求めてみる

ステージのコースレイアウトによって、最高速度にバラつきが生まれる。
そこで、ステージごとに標準偏差を求めて、最高速度を元にダウンヒル偏差値を算出してみた。

受験の時に調べたであろう、あの偏差値である。
50に近ければ近いほど標準的であり、60を超えれば相当うまいと見ていいだろう。

そして、各ステージごとに算出したダウンヒル偏差値の平均値が最も高い選手が、ダウンヒルが最も速い選手であると言えるはずだ。

ダウンヒル偏差値トップ10

1 ニコラ・エデ 85.0
2 ミカル・クウィアトコウスキー 78.1
3 オリバー・ナーセン 65.7
4 シュテファン・キュング 62.9
5 フレフ・ヴァンアーヴェルマート 60.7
6 ロマン・バルデ 60.0
7 ハビエル・モレーノ 57.8
8 ディミトリー・クレース 57.4
9 トーマス・デハント 56.0
10 ヨアン・オフルド 54.6

まとめ

ダウンヒルスペシャリストとして有名なクウィアトコウスキー、第13ステージのダウンヒルで先頭を切って攻めまくっていたナーセン、第9ステージでフルームからリードを築くダウンヒルを見せていたバルデ。
といった、レースを観戦していて速いなと感じる選手がしっかり上位に来ている。

一方で中継ではあまり映らないが、実は相当速かった、という意外な選手の名前が浮かび上がった。
1位になったコフィディスのエデには驚いた。

DH偏差値85.0はずば抜けており、”東大クラス”のダウンヒラーだと言えよう。
ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞を獲ったこともある選手だが、ダウンヒル能力の高さは逃げる際に大いに活かされたことだろう。

ファビアン・カンチェラーラの後継者とも言われているBMCレーシングのキュングも、非常に高いダウンヒル能力を有していることが分かった。

9位のデハントは、ワンティ所属のデハントである。
決してトーマス・デヘントの打ち間違いではない。
なお、ロット・ソウダルのデヘントは、DH偏差値43.0となっており、54人中49番目となっていた。

というように、逆にあまり速くない選手も知ることができた。

全データはこちらで公開しているので参照いただきたい。

ダウンヒルランキング【ツール2017】

Stravaではクリス・フルームやアルベルト・コンタドールはデータを公開していない。
というように全て選手がデータを公開しているわけではないため、エデが1位と言ったものの全選手中ナンバーワンかどうかは断言できない。

もう一つ、Stravaの走行データは、選手が使っているサイクルコンピューターに内蔵されたGPSによって記録されたものである。
ちょっとした誤差を記録している可能性もあり、正確なデータである保証はない。

しかし、この試みを続けていけばいくほどに、本当に速くてうまい選手が浮き彫りになっていくのではないかと期待している。

第17ステージ、第18ステージといったダウンヒルが重要と思われるステージのデータも公開され次第、同じ考察をしてみたいと思う。

Rendez-Vous sur le vélo…

3 COMMENTS

アディ

自分もライド時のサイコンログをストラバに同期させていますが、ストラバに同期した後は最高速度(=ダウンヒル)の数値って結構高めに出てしまうんですよね…自分はPOLARのGPSサイコンですが、GARMINを使っている人も同じようです
https://www.dcrainmaker.com/2017/07/tour-de-france-2017-power-meters-trainers-tech.htmlを見るとツール出場チームでもGARMINはNo.1シェアなので、相対値としては正しい感じですね(^^)
視覚的にも明らかに尋常な速度ではないですし(*_*)

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アバター画像 サイバナ管理人

アディさん

おお!
色々と情報ありがとうございます!

仰るとおり、データの精度は一つ一つ単品でみたら、怪しい部分もあるかと思います。
実際に、ダウンヒルで一人だけ時速132kmとか出ているデータがあったので、それはカウントしていません。
(ちなみに、インピーは240kmとか出てました笑)

その他のデータもプラスマイナス5kmとか10kmとか誤差はあってもおかしくありません。
なので、継続してデータを取得していこうと考えています。
データ数が増えれば、ランダムで発生する誤差は丸められていくと考えています。

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