またしても、チーム イネオスにとってショッキングなニュースが舞い込みました。ツール・ド・スイス参戦中のゲラント・トーマスが第4ステージ中に落車。右こめかみ部分を切って、出血するほどの衝撃を受けた影響でリタイアを決めました。
※Thomas given all-clear following Tour de Suisse crash
トーマスはすぐに病院に搬送されましたが、幸いにも骨折・脳震盪等の症状は見られず、肩の擦り傷とこめかみの切り傷を負っただけで済みました。
当時の事故の様子をトーマス自身がチームの公式ホームページ上で語ってくれました。
「どこからともなく出てきた道路の縁石に乗り上げて、アスタナの選手(※アンドレイ・ツェイツ)が落車しました。目の前での出来事だったので行き場をなくなってしまいました。肩と顔をぶつけて、血も流れていました。私はレースに戻ろうと思いましたが、注意が必要な頭の怪我ということで、チームドクターは私をレースから引き離す正しい決断をしてくれました。」
こめかみの負傷=頭部への衝撃あり、ということで、しばらくは安静にし、他の症状が出ないか確認する必要があるそうです。
チームドクターのデリック・マクロード氏は「今後数日間、症状が出ないか確認する必要があります。私たちは数日で回復すると楽観しています。すべてOKならば、すぐにトレーニングを再開できることでしょう」とあくまで軽傷であり、ツール・ド・フランスへの出場には大きな影響を与えないとの見解を示しました。
しかし、ツール・ド・スイスはツール前哨戦として非常に重要な位置づけのレースです。特に後半の厳しい山岳ステージを走れなくなったことで、トーマスのコンディションへの影響は避けられない状況でしょう。
この件についてコーチのトーマス自身は「フラストレーションはあります。ツールの準備をやり直さなくてはなりません。けれども、開幕までまだ数週間の時間があります。私のコーチであるティム・ケリソンに頼んで、7月6日の開幕に間に合うように計画を立ててもらうい、調整をやり直す予定です」と語っていました。
今シーズンのトーマスは、もっぱら非常に好調であるとの評判です。レースでそれほど追い込んでいる様子はないにもかかわらず、好調を維持できているのは、コーチのケリソン氏の功績ではないかと思います。ならば、スイスの厳しい山岳ステージがなくとも、トーマスはコンディションを高めてツールに挑めるのではないかと期待できそうです。
ともかく、クリス・フルームに続いて、チームリーダーを失うような事態にならなくて、本当に良かったと胸をなでおろすばかりでした。