前回大会のチャンピオンであるヴィンチェンツォ・ニーバリ擁するバーレーン・メリダ。
今は亡きミケーレ・スカルポーニのためにも、ジロで大暴れしたいところだ。
ジロ・デ・イタリア2017、バーレーン・メリダ出場選手
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア)
マヌエーレ・ボアロ(イタリア)
ハビエル・モレーノ(スペイン)
フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)
コンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)
ルカ・ピベルニク(スロベニア)
エンリコ・ガスパロット(イタリア)
ニーバリ3度目の栄光を手にすることが出来るか
前年度チャンピオンのヴィンチェンツォ・ニーバリが、もちろんエースを務める。
2014年ツール・ド・フランス総合優勝、2016年ジロ・デ・イタリア総合優勝を献身的にサポートしたミケーレ・スカルポーニのためにも、新チーム・バーレーン・メリダで盟友に捧げる勝利を期待したい。
今シーズンは、ブエルタ・サンフアン総合8位、アブダビツアー総合16位、ティレーノ~アドリアティコ総合26位と目立った活躍が出来ていなかった。
直近のツアー・オブ・クロアチアで総合優勝を果たしており、ジロに向けて仕上がりは上々のようだ。
ベテランの雰囲気が漂う選手ではあるが、年齢はクリス・フルームの1歳年上の32歳だ。
まだまだ全盛期真っ只中だと言って差し支えない年齢だろう。
登坂力、TT力ともに高いレベルの能力を有しており、何よりもニーバリの最大の武器はダウンヒルである。
登坂距離が長ければ長いほどに、次に訪れるダウンヒルも長くなる。
登坂力に勝るナイロ・キンタナに差をつけるには、ダウンヒルで勝負を仕掛けたいところだ。
問題はスカルポーニのような強力アシストがいないこと
ニーバリを支える山岳アシストの陣容には、やや物足りなさを感じる。
アスタナ時代からニーバリを支えてきたヴァレリオ・アニョーリ、昨年のジロ総合10位のベラルーシチャンピオンであるコンスタンティン・シウトソウ、モビスターから移籍してきたハビエル・モレーノ、久々のワールドチーム復帰を果たしたフランコ・ペッリツォッティ。
いずれも32歳オーバーのベテラン揃いである。
経験値の高さは魅力的ではあるが、トップクライマーのスピードについていくほどの力はないかもしれない。
昨年まで所属していたアスタナでは、スカルポーニをはじめ、ヤコブ・フグルサング、タネル・カンゲルトといった強力なクライマーたちがニーバリをアシストしていた。
ニーバリの実力だけではなく、アスタナのチーム力の高さが何度もニーバリを総合優勝に導いていることは忘れてはならない。
ジョヴァンニ・ヴィスコンティも山岳でのアシストは可能ではあるが、タイプ的にはクライマーではなくパンチャーだ。
エンリコ・ガスパロットとルカ・ピベルニクも同様だ。
純粋にニーバリについていくだけでは、山岳でアシストすることは難しい。
積極的に前待ち作戦を実行していきたいところだ。
平坦アシストの選手層は薄い
メンバーの中で唯一のルーラーが、マヌエーレ・ボアロだ。
解散したティンコフから移籍してきた選手ではあるが、今シーズンはほとんど全てのレースでニーバリと共に走っており、ボアロへの信頼の高さがうかがい知れる。
しかし一人では出来ることに限りがある。
横風分断作戦を喰らった際の集団復帰には役立つかもしれないが、逆に平坦ステージで攻撃を仕掛けることは限りなく難しい。
また、ニーバリがマリアローザを着用した場合には、クライマーやパンチャーも総動員して集団コントロールを行うことだろう。
バーレーン・メリダまとめ
◆チーム力
・エースの登坂力:★★★★☆
・エースのTT力:★★★★☆
・山岳アシスト力:★★★☆☆
・平坦アシスト力:★★☆☆☆
◆ストロングポイント
・世界屈指のダウンヒル技術を持ったニーバリ
・地元イタリアを前年度王者として走るアドバンテージ
◆ウィークポイント
・スカルポーニのようなエースアシストの不在
・山岳アシストの選手層の薄さ
・ルーラーが一人しかいないこと
総合優勝を狙うという観点では、戦力不足が否めない。
しかし、ステージ優勝を狙うという意味では、ヴィスコンティ、ガスパロット、ピベルニクらアタッカー陣の存在は大きい。
基本的にはニーバリの総合優勝を狙ってくるはずだが、前待ち作戦も含めて積極的に逃げに乗り、あわよくばステージ優勝も目指したい。
ニーバリの地元であるシチリア島のメッシーナにフィニッシュするステージがある。
その前日は、エトナ山へとフィニッシュする難易度の高いコースとなっている。
エトナ山でニーバリはステージ優勝をあげ、マリアローザと共に故郷に凱旋、なんていうストーリーの実現を期待したい。
平坦のアシストですが、おそらくガスパロットがその任に当たるかと思います。
近年はアムステルゴールドレースの勝利など、アップダウンコースでの強さからパンチャー系選手として認知されてますが、バーロワールド時代は当時のエーススプリンター、ロバート・ハンターのトレインとして走っていたスピードのある選手です。
自分はその頃のイメージがあるため、どちらかというとスピードマンもしくはスプリンターの認識なのです。
そういう訳でガスパロットは新城幸也選手と走りの似た、コースプロフィール問わずアシストのできる便利屋的立場になると思いますよ。
いちごうさん
ガスパロットですか。
完全に、クライマー寄りのパンチャーというイメージでしたが、リードアウトも務めていた選手だったんですね。
ユキヤのような脚質であれば、手薄な平坦アシストのサポートにはもってこいですかね。
それでも戦力不足感は否めませんが…汗