はじめに、ジャパンカップは一度観戦しただけでは100%楽しむことは出来ない。実際に現地観戦してみた、率直な感想である。
ジャパンカップの現地観戦のスタイルは大きく分けて2パターンある。
一つは沿道で観戦するスタイル。一つはイベントや交流を楽しむスタイルだ。
沿道観戦を100%満喫するためには場所取りが欠かせない。数万人、十数万人という人が集まる中で、ベストポジションは抑えるためには、早朝からの場所取りが不可欠だ。
だが、場所取りをしている人たちは、会場内あるいは周辺で行われるイベントや交流に参加することは難しい。物販購入ならまだしも、お気に入りの選手のサインをゲットしたり、ツーショットをおねだりするなら、場所取りしていては難しいだろう。レジャーシートやガムテープのみによる場所取りは禁止されているからだ。
走っている選手を間近で見ることと、バイクを降りた選手を間近で見ることは、なかなか両立しにくい。こればかりは仕方がないことだと思う。
そこで、ジャパンカップに限らずサイクルロードレースを現地観戦する際は、沿道観戦をメインにするか、イベント交流をメインするか方針を決めて観戦することをオススメしたい。
今回のジャパンカップでは、わたしはイベント交流をメインに観戦してきた。ああすれば良かった、こういう準備をしておけば良かったと感じることが多々あったので、備忘録を残しておきたいと思う。
思った以上のボリュームになったため、本記事では『ジャパンカップ・クリテリウム』のイベント交流編を書いた。
1、事前準備
ホテルの予約は早めに行う
わたしが確認した限りでは、開催二週間前には宇都宮駅周辺のホテルはほとんど満室だった。残っているのは1泊3万円以上するような高級ホテルのみだ。(※じゃらんで調べた)
安いビジネスホテルなら5000円程度で十分宿泊することが出来るので、3万円のホテルはあまりにも予算オーバーで見送った。
そのため、小山駅前のホテルに宿泊することになり、ホテルからジャパンカップ本戦会場まで1時間半ほどかけて移動することになってしまった。
出来れば1ヶ月ほど前には予約しておくことをオススメする。
サインをしてもらうアイテムを準備する
当日の物販を利用する手段もあるが、全てのチームのグッズが販売されているわけではない。
例えば、チームスカイのジャージやサイクルキャップなど販売しているコーナーは見当たらなかった。(※代わりにスカイにジャージを提供しているRaphaのブースがあり、ジャパンカップ限定グッズを販売していた)
サインをねだりたいアイテムは、事前に用意しておくことをオススメしたい。
そして、最も重要なことは肝心のサインをしてもらうためのマジック等の筆記具の準備だ。
宇都宮中心部のコンビニでは、マジックが売り切れる事態が発生していたようだ。
さらに選手がファンサービスをしている際に、マジックを持っているとは限らないため、マジックを持っていないファンは後回しにせざるを得ない。選手も無限にファンサービスするわけにはいかないので、確実にチャンスをものにするためにもマジックは事前に準備しよう。
黒マジックなら、中心地から離れたコンビニを探せば見つかるかもしれないが、チームスカイのジャージのように黒い布地にサインをしてもらいたいなら、こういった黒地に映える色のマーカーを用意しておきたい。
脚立や踏み台あると視界確保に役立つ
必須ではないが、イベント交流を楽しみつつ、レースもしっかり観戦したいという人たち向けのポイントだ。
特にクリテリウムで感じたことは、とにかく人が多いこと。
サイクルロードレースの発展を願う者にとっては、人が多い=人気が出ている証拠なので、非常に喜ばしいことである。人が多いことを決して恨んだり、疎ましく思ってはならない。ゆくゆく日本国内でワールドツアーのレースを常設するためにも、もっともっとサイクルロードレース人気を向上させていく必要があるからだ。
とはいえ、沿道は何列にも渡って観戦者で埋め尽くされている。スタート・フィニッシュ地点付近は、場所取りせずに、まともにレース観戦することは不可能なレベルだ。
この写真は、ホープフルレースが始まる前に撮ったものだ。ジャパンカップ・クリテリウムスタートまで2時間近く時間があると言うのに、この混雑ぶり。
身長200cmくらいあるような長身の方にとっては苦ではないかもしれないが、一般的な背丈の方や女性は懸命に背伸びしても、選手の頭が見える程度の視界しか確保することが出来ないだろう。
そこで、脚立や踏み台の出番である。
こういった段数の少ない脚立を用意して、天板に立つのは不安定なので、1段目に両脚を置いて天板を内股で挟むようにして安定感を出している人を、よく見かけた。
もしくは、このような踏み台を準備して乗っている人が多かった。特に一眼レフカメラを持つような人たちは、脚立・踏み台率が高かったが、単純に視界を確保するために脚立・踏み台を用いている人もいた。
物理的に高いところから視界を確保することで、群衆の外側からでも選手をよく見ることが出来る。脚立や踏み台を立てる際は、周囲への配慮を忘れずに。上の写真のような場所では、通行の妨げになる可能性が高いので、脚立や踏み台を用意した人は交差点付近など開けた場所で観戦している人が多かった。
なお、ジャパンカップ本戦では山を登り降りする機会が多くなるため、脚立のような重たい荷物は持たない方が幸せだろう。沿道観戦スタイルでは折りたたみ椅子を使う人が多い。
オフィシャルサイトをこまめにチェックする
公式情報は何にも勝る貴重なヒントになりうる。
※参考:ジャパンカップ公式サイト
特に今回事前に知っておいて良かった情報は、クリテリウムで市役所からパレード走行を行うとのアナウンスだ。
実際は市役所付近からクリテリウムコースへと至る道に選手が待機していて、後述するが素敵な経験をすることが出来た。
他にもスタートリストや、観戦のマナーなど、重要な情報も掲載されている。オフィシャルサイトは一通り目を通しておきたい。
2、クリテリウム当日の動き方
物販ブースを回って、グッズ購入する
もちろん買わなくてもいいが、初日のレース前が最も空いていて、品揃えも良い。
イベント価格で販売しているブースもあるため、インターネットで購入するよりも遥かに安い価格で掘り出し物をゲット出来るかもしれない。
翌日の本戦にしか出展しないブランドもあるが、2日続けて出展しているブランドの多くは、2日目には売り切れ目立っている印象だった。
自分なりの観戦ポイントを把握しておく
クリテリウムのコースをグルリと回って下見しておくことをオススメする。
他の人がオススメする観戦ポイントを参考にするのも良いですが、自分が重要視するポイントが他人と一緒とは限らない。バス停や電柱などの障害物が視界を遮ることがあったり、意外とアップダウンのあるコースなので、思ったより遠くまで見えなかったりと、地図上ではわかりにくいことが多い。
わたしは、事前にグルリと一周歩いて回ってみて、あたりをつけておいたポイントを巡るスタイルで観戦した。
パレード走行の出発地点を目指す
パレード走行を行うために待機する地点は、選手と交流するチャンスだ。
2016年はクリテリウムのコースから宇都宮市役所へ至る道に、選手は待機していた。
わたしはここで、ファビアン・カンチェラーラからキーホルダーをゲットしたり、エドゥアルド・ボアッソンハーゲンと記念撮影することが出来た。
沿道の猛烈な混雑具合に対して、ファビアンの近くはほどほどの混雑具合だった。エドゥアルドに至っては、まわりにほとんど人がいなくて図々しくツーショット撮影をお願いすることが出来た。
共に一生の思い出である。
表彰式を間近で見たいならレース終了後に速攻移動する
中にはレースそっちのけで、表彰式のために場所取りしている猛者もいるが、基本的にはレース後に移動すれば比較的近くの場所を確保出来るようである。
表彰式会場のオリオンスクエアに速攻移動するためには、オリオンスクエア側の歩道にいた方が都合が良い。
わたしは、レースが終わってオリオンスクエアとは反対側の歩道にいた上に、ゆうゆう餃子を食べてから表彰式会場に向かった。そのため、到着した時にはこのような人だかりになっていた。
ただし、ここに集まった人の大半は別府選手の表彰式見たさではなく、弱虫ペダル作者の渡辺航先生のトークショー目当てであった。
トークショーが終わるや否や、半分近くのファンがお帰りになられた。とはいえ、間違いなくロードレースファンであり、むしろライトなファン層も増えたと喜ぶ事態であると、わたしは考えている。
餃子を食べる
せっかくなので、宇都宮餃子をいただこう!
わたしは、オリオンスクエアに程近い『来らっせ』にて餃子をいただいた。
ここは、宇都宮の名店が一同に介し、フードコート形式で様々な店舗の餃子を同時に味わうことが出来るので、観光客にはオススメだ。
皮がパリパリなのに、モッチリ感があって、肉汁の旨味成分を完全に閉じ込めることに成功している宇都宮餃子は絶品である。
イベント交流・クリテリウム編まとめ
わたしは、13:30くらいに宇都宮駅に到着し、輪行したブロンプトンという折りたたみ自転車で、会場へと向かった。
オリオンスクエアにほど近い無料駐輪場に自転車を止め、物販コーナーを巡り、コースを下見している最中にホープフルレースが始まった。
続くガールズケイリンが始まる頃には、市役所とコースを繋ぐ道路へと移動し、カンチェラーラとボアッソンハーゲンを眺めてうっとりしていた。
この時点で15:30くらいになっていて、選手たちがコースへと移動したので、わたしも一緒にコースへ向かい、あとは比較的見晴らしが良さそうな場所を転々としながら観戦した。
レース後は、『来らっせ』で餃子を食べて、表彰式が始まる17:20くらいにオリオンスクエアに移動してそのまま観覧した、という流れで観戦を満喫した。
カンチェラーラを間近で見れたことと、ボアッソンハーゲンとのツーショットを撮れた時点で満足度は相当に高かったが、やはりクリテリウムでのワールドツアークラスの全開のスピードを間近で体感出来たことも面白かった。
細かいレース展開は、テレビ観戦の方が遥かに分かりやすいが、現地観戦はならではの醍醐味が多く詰まっていた。
サイクルロードレースファンなら、是非一度は現地観戦することを心からオススメする。