ディレクトエネルジー出場選手一覧&レビュー【ツール・ド・フランス2017】

※選手の脚質、役割、レビューを書いています。

フランスの英雄、トマ・ヴォクレールが引退を決めているディレクトエネルジー。
期待の若手リリアン・カルメジャーヌにも注目だ。

ディレクトエネルジー、ツール出場メンバー

171,トマ・ヴォクレール(フランス、[get_age birth=”19790622″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆

昨年、2017年のツール・ド・フランスを現役最後のレースにすると発表した。
ヴォクレールのレーサー人生は、ツールと共にあると言っても過言ではない。

2004年、ランス・アームストロングが全盛を誇っていた頃、彗星のように現れたヴォクレールはマイヨジョーヌを10ステージに渡って守ってみせた。
以来、フランス人の支持を大きく集め、ツールでは通算4勝をあげ、2011年にも第18ステージまでマイヨジョーヌを着用する大活躍を見せていた。

誰もヴォクレールが総合優勝できるとは思っていなかっただろう。
それでもヴォクレールなら、何かしてくれる。
まさかとはいえ、やってくれるかもしれない。
そのような期待を夢を、ファンに提供し続けてくれた。

そして、ヴォクレールが全盛を誇った時代は、フランス人選手にとっては不遇とも言える時代だった。
それもロマン・バルデやティボー・ピノだけでなく、リリアン・カルメジャーヌやダビド・ゴデュら若き才能の台頭が著しく、フランスはまた再びサイクルロードレース界の中心へ舞い戻る、そのような明るい兆しが見えてきたのだ。

もうヴォクレールの役目は終わったのかもしれない。
がむしゃらで必死な走る姿は、ファンに受け入れられていたはずだったのに、いつしか「わざとやってる」と指摘されるようになっていた。

フランス自転車界を背負って来た重責は、もう負わずともよい。
最後の最後こそ、本当のヴォクレールらしい攻撃的な走りを見せてほしい。

172,トマ・ブダ(フランス、[get_age birth=”19940224″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★☆☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

小柄ながらパンチ力のあるスプリント力を武器としている。
今シーズンもセッティーマ・インテルナツィオナル・コッピ・エ・バルタリ第3ステージでは集団スプリントを制している。

プティのリードアウトを務めることも出来るが、ブダ自ら集団スプリントに挑んで、世界のスピードを体感するのもいいと思う。

173,リリアン・カルメジャーヌ(フランス、[get_age birth=”19921206″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

もしかしたら、ヴォクレールに引退を決意させた原因はカルメジャーヌにあるかもしれない。
昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージでは、終盤に逃げ集団から飛び出し独走勝利をあげた。
激坂を物ともせず、力強いダンシングで突き進む姿は神々しかった。

勢いそのままに迎えた今シーズンは、エトワール・ド・ベセージュ総合優勝、セッティーマ・インテルナツィオナル・コッピ・エ・バルタリ総合優勝、シルキュイ・シクリスト・サルテ総合優勝と1クラスながら総合優勝を連発していった。
更にパリ〜ニースでは山岳賞を獲得し、ワールドツアーでも十分に戦えることを完全に証明した。

逃げもうまく、ここ一番でのアタックの勇気・キレ味ともに申し分ない。
まさに、ヴォクレール二世と言えるような逸材である。
いや、ヴォクレール以上のレーサーになる可能性を秘めている。

初出場となるツールでは、若さを全面に出した、恐れを知らない走りを見せてほしい。
カルメジャーヌ旋風を巻き起こすことができるか。

174,シルヴァン・シャヴァネル(フランス、[get_age birth=”19790630″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆

ヴォクレールと共にフランス自転車界を牽引してきたスーパースターは、シャヴァネルだ。
二人とも逃げを得意とする点、ツールの大舞台の要所要所で活躍した点など、似通っているところが多い。

ツールは17年連続17回目の出場となり、全選手中最も出場回数が多い。

シャヴァネルは、ディレクトエネルジーと2018年まで契約を結んでおり、まだまだ現役でいくつもりだ。
そして、今シーズンはダンケルク4日間レース第4ステージで優勝し、まだまだ第一線で戦えることをアピールしている。

ヴォクレールと共に、ツインアタッカーを形成し、勝利を狙う。

175,ヨアン・ジェーヌ(フランス、[get_age birth=”19810625″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

かつては新城幸也と一緒にトレインを組んでいたこともある、ベテランスプリンターだ。
今シーズンはアフリカのガボンという国で開催されているステージレースでステージ1勝をあげ総合優勝している。

キャリアの全てでディレクトエネルジーまたはその前身チームに所属しながら、グランツール出場10回・モニュメント出場28回とチーム内での経験値はずば抜けている。
経験を若手に伝えながら、アシスト任務をしっかりとこなすだろう。

176,アドリアン・プティ(フランス、[get_age birth=”19900926″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★☆☆☆☆
スプリント:★★★★☆

本来であれば、ブライアン・コカールのリードアウトを務めるはずだった。
コカールは移籍問題をこじらせ、ベルノドーGMの怒りを買ってしまい欠場となった。

そのため、今大会ではプティがエーススプリンターを務めることになるだろう。
今シーズンはダンケルク4日間レース第6ステージで優勝した。
この時はスプリントではなく、独走逃げ切り勝利だった。

ピュアスプリンターではないので、最終盤での飛び出しも勝ちパターンの一つだ。

177,ペリグ・ケムヌール(フランス、[get_age birth=”19840426″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆

プロ未勝利ながら、33歳となっても現役を続けている。
前身チーム時代も含めて、ディレクトエネルジー一筋だ。

グランツールは出場7回目で、最高成績は2015年ツールと2016年ブエルタの総合74位だ。
これといった特徴は無くても、アシストに徹することで長く現役でいられるのだ。

178,ロマン・シカール(フランス、[get_age birth=”19880101″]歳)

逃げ:★★☆☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★☆☆☆☆

2009年にはU-23ロード世界チャンピオン、ツール・ド・ラヴニール総合優勝と、期待の若手超有望株として世間からの期待を大いに集めていた。
しかし、ここまでかつての前評判に応えるほどの活躍は出来ていない。
むしろ、ラヴニール総合優勝して以来、1勝たりともあげることが出来ていないのだ。

もはや29歳と若手とは言えない年齢に差し掛かってきた。
これから長く現役を続けていくためには、結果が欲しい。

脚質はピュアクライマーだ。
だからこそ、山岳ステージの多い今年のツールで勝利を狙いたい。
人生を変える勝利をその手にするまで。

179,アンヘロ・テューリック(、[get_age birth=”19901202″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

脚質はスプリンター寄りのパンチャーだ。
2013年ツール・ド・フィヨルド第4ステージでは、アレクサンダー・クリストフを振り切ってプロ初勝利となるステージ優勝をあげたこともある。

基本的には、逃げ要員の1人としてひたすら攻撃的な走りをするものと思われる。

ヴォクレールの有終の美に期待、そして後継者のカルメジャーヌにも注目

フランス中が固唾を呑んで、ヴォクレールの走りに注目するだろう。
ステージ1勝でもあげたら、お祭り騒ぎになることは間違いない。
ヴォクレールの持つ不思議な勝負勘があれば、ミラクルを引き起こすことが出来るはずだ。

そして新星カルメジャーヌにも大いに期待したい。
大器の片鱗ぶりはすでに見られているので、あとは爆発的な結果が欲しい。

フランス人選手の台頭が起きれば起きるほど、ヴォクレールも安心して現役を退くことが出来るだろう。
チーム一丸となって、ヴォクレールの花道を飾ってほしい。

2 COMMENTS

いちごう

2004年頃当時のチーム・ボンジュール〜ブリオッシュ・ラ・ブランジェールチームは現在よりも更に弱小だったチーム。常にスポンサー探しに奔走されながらベルノドーの自転車熱だけで持ち堪えてきたチームというのも現在と変わりありません。
当時は地元フランスのチームという理由だけでワイルドカード選出されていて、そんなに大きな成績も出せてなかった印象があります。
しかし、ヴォクレールの活躍で一気に人気が高まり、同時に彼等が駆るフランスブランド・TIMEのバイクがかなり高価にも関わらず日本でバカ売れしてたのを覚えてます。

集団から12分もの差をつけた大逃げを決めてマイヨジョーヌに袖を通したものの、全く無名と言って良い彼自身の能力やチーム力から、「山に入ればすぐ終わる」と言われながら連日粘りの走りで中央山塊〜ピレネーを走り続け、10日間に渡りマイヨジョーヌをキープしたことは驚きと衝撃の両方をもたらしました。

「あんなんで、明日も走れるのか?」と心配してしまうくらい毎日毎日限界まで追い込んでゴールしてた姿は、現在まで続く気迫の走りと何も変わっておりません。

同時雑誌等で観る彼はあどけなさすら残ったベビーフェイスの若い選手でしたが、とうとう引退レースですか。
あの時新しいフランスのスター選手が誕生したように、今年のツールでも新しい世代の台頭が始まるのか、そしてそれがカルメジャーヌなのか、そこも楽しみの一つとして観戦したいと思います。

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アバター画像 サイバナ管理人

いちごうさん

ヴォクレールは、わたしがサイクルロードレースを初めて見た時に、マイヨジョーヌを着ていた選手だったんです。
ランス・アームストロングに比べると、明らかに苦しそうな表情をしながら集団に喰らいついている姿がわたしの脳裏に焼き付いたままです。
その時は、ヴォクレールではなく”ボエックラー”って呼ばれてましたね笑

ちなみに、わたしはTIMEのフレームは買えないので、ペダルを買いました笑

コカール外しという事件みたいなことはありましたが、ヴォクレールの引き継ぎという観点で見れば、ディレクトエネルジーは目が離せないチームですね!

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