※選手の脚質、役割、レビューを書いています。
エースのマイケル・マシューズを中心に、ステージ優勝を狙う布陣となっている。
ジロ・デ・イタリアに引き続き、鮮烈な活躍を見せることができるだろうか。
チーム・サンウェブ、ツール出場メンバー
141,マイケル・マシューズ(オーストラリア、[get_age birth=”19900926″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★★
絶対的エースであるマシューズのためのチームであり、マシューズのためのメンバー構成と言っても差し支えないだろう。
昨年のツールでは、第10ステージで勝っている。
チームメイトのルーク・ダーブリッジとダリル・インピーの献身的なアシストがあり、想いを託されたマシューズの美しい勝利だった。
今シーズンはここまで2勝。
ブエルタ・アル・パイス・バスコ第1ステージとツール・ド・スイス第3ステージで勝っている。
どちらもピュアスプリンターには厳しい上りを越えてからの集団スプリントである点が共通している。
特にスイス第3ステージはゴール前1km地点に6〜7%の上りが設置されており、上りで力を使ってしまったペーター・サガンを下してのステージ優勝だった。
アムステルゴールドレース10位、フレーシュ・ワロンヌ4位という成績も残していることから、マシューズの登坂力はスプリンターにカテゴライズされる選手の中ではナンバーワンと言っても良いだろう。
今年のツールでは、クライマー向きとまでは言わずとも、スプリンターにはなかなか厳しい難易度のコースがいくつかある。
登れるマシューズにとって、そういったステージはステージ優勝のチャンスとなるだろう。
マイヨヴェール争いでは、ペーター・サガンが有利な点は否めない。
それでも、山岳ステージでのポイントの稼ぎ方次第では、マシューズも十分にマイヨヴェール候補の最右翼だと言えよう。
もうサガンのマイヨヴェール6連覇を阻止することができる選手は、マシューズの他にはいないのだ。
142,ニキアス・アルント(ドイツ、[get_age birth=”19911118″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★★
その才能が開花しつつある、ドイツ期待の新星スプリンター。
ツール出場は初めてとなる。
今シーズンはカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースで優勝した。
ツール・ド・スイスでもマシューズの最終発射台として効果的な役割を果たしていた。
好調はキープできている。
まだまだ荒削りな部分もあるが、ツールという大舞台でさらに進化を遂げる活躍を楽しみにしたい。
143,ワレン・バルギル(フランス、[get_age birth=”19911028″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆
我々は、ワレン・バルギルを諦めた方がいいのだろうか。
期待の若手選手と言えば聞こえはいいが、年々成績は下降線を辿っているようにしか見えない。
2013年ブエルタ・ア・エスパーニャでのステージ2勝の活躍は一体何だったのか?
2014年ブエルタ総合8位、2015年の初ツールでは総合14位というステップは良かったが、2016年ツールは総合23位、同年ブエルタはDNFと伸び悩んでいる。
険しい上りに差し掛かるとあっさりと遅れる姿はもう見飽きた。
もう、バルギルに期待するのは辞めた方がいいのではないか。
そう思う気持ちが、確かにあった。
だが、チクリッシモの選手名鑑には、こう書いてあった。
『総合争いはまだ考えていない。第一目標はアルデンヌ。次がツールの区間勝利。』
そう、我々はバルギルに過剰な期待を寄せすぎていたのだ。
まだ[get_age birth=”19911028″]歳と若く、伸びしろはいくらでもある。
なまじグランツールで活躍してしまったがために、分不相応な期待を一身に受けてしまったのではないだろうか。
何だか既視感のある話だ。
ピエール・ロラン、ティージェイ・ヴァンガーデレン、ティボー・ピノ。
過剰な期待に潰れかけた選手たちも、今年はみなジロでステージ優勝をあげ、復活とも違う新たな一面を見出す走りが見られた。
バルギルはその途上にあると信じている。
期待を越える結果を生み出すのは、今年のツールではないのかもしれない。
それでもツールでは、ステージ優勝を目指して、果敢なアタックを仕掛けてくるに違いない。
総合は狙わない、ステージ優勝を狙う”アタッカー”としてのバルギルに期待しようではないか。
144,ロイ・カーヴァス(オランダ、[get_age birth=”19791227″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆
脚質はルーラーやスプリンターに近いものを持っている。
昨年まではジョン・デゲンコルプ、一昨年まではマルセル・キッテルのリードアウトを務めていた選手で、サンウェブトレインのリーダーと言える存在だろう。
フィニッシュまで残り数キロの区間での位置取りはカーヴァスにお任せだ。
145,シモン・ゲシュケ(ドイツ、[get_age birth=”19860313″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆
ジロでは、MVP級のスーパーアシストぶりを発揮して、トム・デュムランの総合優勝に大いに貢献した。
さすがに、回復は容易ではないダメージを受けていたようで、ジロ以来レースに出場していない。
ツールの前半戦は、ある意味トレーニングの一環のように走り、後半戦に向けて脚を仕上げてくるのではないかと予想する。
何しろゲシュケは2015年ツール第17ステージの難関山岳コースで勝利しているのだ。
逃げ切りを決めやすい、後半戦でゲシュケのオールラウンダーとしての力を存分に発揮してほしいものだ。
146,ラモン・シンケルダム(オランダ、[get_age birth=”19890209″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★☆☆☆☆
スプリント:★★★★☆
サンウェブトレインの一角を担う、オランダ人スプリンターだ。
直近のオランダ選手権で優勝し、オランダチャンピオンジャージを身にまとい出場する。
しかし、オランダ国旗のトリコロールがさほど目立つ格好にはなっておらず、不評を買っているようだ。
(シンケルダムは何も悪くない。ただ、デュムランのTTチャンピオンジャージは全身トリコロールだっただけに何故?という気持ちが強い)
身長193cmの大柄な体格を活かして、集団内での位置取りは得意だ。
アルント、マシューズへと繋ぐリードアウトの仕事に期待したい。
147,ローレンス・テンダム(オランダ、[get_age birth=”19801113″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆
ゲシュケと同じく、ジロではMVP級の活躍を見せ、デュムランの総合優勝に間違いなく欠かせない一人だった。
ジロで大きく消耗をしたはずだが、ステルZLMツアーを走って総合38位で完走している。
登坂力も高く、かつては2012年ブエルタ総合8位、2014年ツール総合9位という結果も残している。
今回のメンバーには、総合上位を狙える選手は他にいないため、テンダムは山岳ステージでのマシューズのアシストをしつつも、マイペースに総合上位を狙ってくるのではないかと思われる。
148,ミケ・テューニッセン(オランダ、[get_age birth=”19920825″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆
今シーズンからチーム・サンウェブに加入した若手選手だ。
ワンデークラシックレースへの出場が多く、身長184cm・体重73kmの体格を活かしたパワフルな走りがセールスポイントである。
平坦ステージでのアシスト、ゴールスプリントに向けた集団牽引要員として活躍が期待される。
149,アルベルト・ティマー(オランダ、[get_age birth=”19850613″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆
ティマーも平坦アシストの一角を担うことになるだろう。
ハンマーシリーズには3戦とも出場し、2位という結果に貢献した。
ワンデークラシックレースへの出場は多いが、ほとんどのレースで途中リタイアしている。
だが、それはゴールラインまで辿りつく前に仕事を終えて、バイクを下りているだけだ。
グランツールには10回出場し、全て完走している。
むしろ安定感のある選手だからこそ、重要なツールへの出場メンバーに選ばれていると言えよう。
マイヨヴェール獲得と、ステージ優勝量産がチームの目標か
マシューズを中心に、マイヨヴェール獲得とステージ優勝をたくさんあげることが目標となる。
しかし、マイヨヴェールのライバルは一筋縄ではいかないペーター・サガンが立ちはだかる。
純粋なスプリント力では、サガンには敵わないだろう。
だからこそ、マシューズの長所である登坂力の高さを活かして、戦略的にポイントを稼ぐ必要がある。
バルギル、ゲシュケ、テンダムあたりもステージ優勝を狙える力を持っている。
序盤は集団スプリントに備え、後半の難関ステージでは積極的に逃げに乗ってステージ優勝を狙っていくだろう。