2016年のロード世界選手権 男子個人タイムトライアルは、2016年10月12日19:30(日本時間)にレーススタートします。
オールフラットな40kmで世界最速のタイムトライアリストが決定します。
今大会のコースレイアウトと注目選手について解説します。
コースマップ
ドーハ北部の砂漠地帯をスタートし、男子エリートロードレースでの周回コースにもなっている『ザ・パール』の一部を走ってフィニッシュするレイアウトになっています。
完全にフラットと言えるコースで、サイクルロードレースではお馴染みの断面図が存在しません。代わりに、コーナーの数を多くして、減速と加速の機会を増やしています。
とはいえ、比較的道幅も広く、コーナーのRもそれほどキツくはないため、ハイスピードでのコーナリングが可能です。
純粋にタイムトライアル能力が高い選手が勝つ展開になると思われます。
先般、行われたチームタイムトライアルでは、トニ・マルティン(ドイツ)が所属するエティックス・クイックステップが優勝しました。
注目選手レビュー
個人TTでの上位入賞が期待される選手を出走順に紹介します。
29、イヴ・ランパート(ベルギー)
TTTで優勝したエティックス・クイックステップの一員です。
男子エリートロードレースには出場しないため、タイムトライアルで存在感を示したいところです。
21、プリモス・ログリッチ(スロベニア)
ジロ・デ・イタリア第9ステージの個人TTを制した選手です。ログリッチが前半に走り終えたあと、雨が降ったため後半の選手のタイムが伸びなかったことが勝利の原因とはいえ、高いタイムトライアル能力を持っていることには違いありません。
17、マヌエル・クインツィアート(イタリア)
イタリア国内ロードTTチャンピオンであり、男子エリートロードレースのイタリア代表にも選ばれています。
先に、BMCレーシングの一員としてTTTを走り、2位になっています。
今シーズンの個人成績では、国内ロードTT選手権優勝と、ツアー・オブ・カタール個人TTステージで3位という結果を出しています。
14、アレックス・ダウセット(イギリス)
ロードレースのイギリス代表にも選ばれています。
イギリス国内ロードTT選手権優勝、ツール・ド・ポローニュ個人TT優勝しています。
12、テイラー・フィニー(アメリカ)
アメリカ国内ロードTTチャンピオンです。
BMCレーシングでは、高速機関車の一員として数々のTTTで勝利を収めて来ましたが、個人TTではアメリカ国内TT選手権くらいです。
完全に平地なレイアウトはフィニーが得意とするところではあります。
10、ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)
ベルギー国内ロードTT選手権優勝、ヨーロッパ選手権個人TT2位という実績を持っています。
直近のヨーロッパ選手権で好成績を残しているので、今非常に調子の良いタイムトライアルスペシャリストと言えましょう。
8、ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク)
どちらかと言えば、オールラウンダーとしてTTが得意な印象のユンヘルスです。
ルクセンブルク国内TTチャンピオンで、ジロ・デ・イタリアでは第1ステージ7位、第9ステージ6位、第15ステージ9位と個人TTステージで結果を出しています。
7、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)
ポルトガル国内TTチャンピオンです。
ツール・ド・フランス第13ステージの個人TTではトム・ドゥムラン、クリス・フルームに次ぐステージ3位でした。
6、マチェイ・ボドナール(ポーランド)
ポーランド国内TTチャンピオンです。
所属チームのティンコフでは、ピーター・サガンのアシストが最優先任務だったので、ステージレースでの個人TTで全開に走る機会は少ないです。
解き放たれたリオ五輪の個人TTでは6位という結果でした。
5、ホナタン・カストロビエホ(スペイン)
スペイン国内ロードTT選手権2位、ツール・ド・ポローニュ第7ステージ2位、リオ五輪個人TT4位、ブエルタ・ア・エスパーニャ第19ステージ2位、ヨーロッパ選手権個人TT優勝と、軒並み個人TTで好成績を出しています。
登れるTTスペシャリストという印象ですが、平坦コースでも強さを発揮できるでしょうか。
4、トニ・マルティン(ドイツ)
ドイツ国内TTチャンピオンです。
ツアー・オブ・ブリテン第7aステージの個人TT優勝し、ロード世界選TTTではエティックス・クイックステップの優勝に大きく貢献しました。
直前のTTTで結果を残しているので、とても期待が持てる選手です。
3、ローハン・デニス(オーストラリア)
オーストラリア国内TTチャンピオンです。
ツアー・オブ・カリフォルニア第6ステージ優勝、リオ五輪個人TT5位(メカトラが無ければメダル濃厚だった)、ツアー・オブ・ブリテン第7aステージ2位、エネコツアー第2・5ステージ優勝と、個人TTで勝ちまくった1年でした。
今年は登りにも強くなったイメージがありますが、平坦路のタイムトライアルには滅法強いです。
2、トム・ドゥムラン(オランダ)
オランダ国内TTチャンピオンです。
ジロ・デ・イタリア第1ステージ優勝、ツール・ド・フランス第13ステージ優勝、リオ五輪個人TT銀メダルと、グランツールとオリンピックの印象が強く、今年最も活躍したTTスペシャリストと言えましょう。
登りも異様に速いですが、平坦も速いです。当然、優勝の最有力候補であると言えましょう。
1、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)
昨年の世界チャンピオンです。
今年はアルカンシェルの呪いなのか、個人TTでは目立った活躍がありません。
ツール・ド・フランスでは、チームスカイの鉄壁アシスト陣の一角として、主に平坦路でルーラーを、山岳の入り口付近まで牽き倒す活躍はありましたが、個人成績としては、春先のボルタ・ア・バレンシア(2.1)第1ステージ3位が最高です。
まとめ
カストロビエホ、マルティン、デニス、ドゥムランの4強がしのぎを削る展開で、大穴でカンペナールツが来るのではないかと予想しています。
栄光のアルカンシェルを獲得するのは誰か、非常に楽しみです。
10月12日19:35から、YoutubeのUCI公式チャンネルにてLIVE中継があるので、ぜひチェックしてみてください。
※Youtube:Men Elite Individual Time Trial – 2016 UCI Road World Championships / Doha (QAT)