中間計測タイム2ヶ所ともトップタイムを記録したトニ・マルティン(ドイツ)が、2位に45秒差をつけて優勝。3年ぶり4度目の世界チャンピオンに輝きました。
2位は前年度チャンピオンのヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)、3位にはヨーロッパチャンピオンのホナタン・カストロビエホ(スペイン)が入りました。
前半のトップタイムは22歳のマレン
8人目走者のライアン・マレン(アイルランド)が、46分4秒の好タイムをマークします。
以降の走者は、マレンのタイムを目標に走ることになるのですが、このタイムがなかなか抜かれません。それどころか、マレンに匹敵するタイムを記録する選手すら現れません。
惜しかったのは、ヨス・ファンエムデン(オランダ)。
第1中間計測でほぼ同タイム、第2中間計測でマレンを2秒上回りますが、後半失速してしまい、最終的にマレンから24秒遅れでフィニッシュしました。
そのファンエムデンをわずかながら上回るタイムを記録したのがイヴ・ランパート(ベルギー)でした。
マレン、ランパート、ファンエムデンのトップ3目指して、本命のスペシャリストたちが走ります。
本命選手たちの走りやいかに
ゼッケンNo.10を背負うヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)は、出だしから遅れてしまいます。
第1中間計測でマレンから30秒遅れを喫し、最終的に26位に沈みました。
ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク)は、TTTで優勝したエティックス・クイックステップのメンバーです。
TTスペシャリストと言うよりは、クライマーとしての素質も高いオールラウンダーですが、素晴らしいパフォーマンスを見せ、最終的に10位に入りました。
優勝候補の一人であるトム・ドゥムラン(オランダ)は序盤からスピードに乗ることが出来ません。第1中間計測を9位で通過すると、そのまま順位を上げることが出来ず、11位でフィニッシュ。なんと、トップ10にすら入ることが出来ないという結果に終わりました。
マチェイ・ボドナール(ポーランド)は順当に、第2中間計測で6位で、マレンから11秒遅れていました。
後半の『ザ・パール』でのライン取り、コーナリングからの加速が勝ったのか、一気にタイムを縮めて、マレンを5秒上回り暫定1位に躍り出ました!
しかし、その数分後には後ろを走っていたヨナタン・カストロビエホ(スペイン)が猛烈に追い上げきて、ボドナールをさらに6秒上回り暫定1位に。
と思いきや、カストロビエホのすぐ後方からトニ・マルティン(ドイツ)が圧倒的なスピードでフィニッシュラインに飛び込んで来ました。
カストロビエホを1分10秒も上回る圧巻の走りです。マルティンは第1・2中間計測ともにトップタイムを記録していて、序盤から異次元の走りでした。
優勝が期待されていたローハン・デニス(オーストラリア)は、第1中間計測ではマレンから3秒、マルティンから10秒遅れの5位、第2中間計測ではマレンを1秒上回り、マルティンから35秒遅れの4位で、最終的にはマレンから5秒、マルティンから1分27秒遅れの6位でした。
マレンがデニスに勝つという、素晴らしい番狂わせが生じました。
前年度チャンピオンのヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)は、第1中間計測でマルティンから2秒遅れの2位、第2中間計測では22秒遅れの2位と好タイムを記録しながら、最終的にマルティンから45秒遅れの2位で、銀メダルを獲得しました。
3位にはカストロビエホが入り、マルティンが4度目のマイヨ・アルカンシェルを獲得することになりました。
まとめ
エティックス・クイックステップ勢としては、1位のマルティン、7位のランパート、10位のユンヘルスと3名を送り込み、TTT優勝の実力を発揮した結果となりました。
とりわけマルティンの走りはずば抜けていて、他のライバルたちがコンディショニングに苦しむなか、最高のパフォーマンスを見せていました。
デニスとドゥムランが失速してしまったのは、ドーハの暑すぎる気候に身体を合わせることが出来なかったからなのでしょうか。
トニ・マルティンはこれで4度目の世界チャンピオンです。
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)も同じく4回チャンピオンになっています。21世紀を代表する2大TTスペシャリストが揃って4度ずつ優勝していることも感慨深いです。そして、マルティンは前人未到の5回目のチャンピオンになることが出来るのでしょうか。
来シーズンからマルティンはカチューシャに移籍します。マイヨ・アルカンシェルをお披露目するのは春先のドバイツアーかツアー・ダウンアンダーになるでしょうか。心待ちにしましょう。