激しい2日間の総合バトルの末、落ち着いたレース展開となった第16ステージは集団スプリント勝負に持ち込まれました。
ジャン=ピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)がスプリント勝負を制して、グランツール初勝利をあげました。
コースプロフィール
今日の逃げは6名
シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)
スヴェンエリク・ヴィストロム(ノルウェー、カチューシャ)
ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール)
マリオ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
ジュリアン・モリス(フランス、ディレクトエネルジー)
の6名です。
山岳ポイントも3級山岳が一つだけですし、総合勢も第14・15ステージと激戦を繰り広げたこともあり、今日のレースは非常に落ち着いた展開を見せています。
メイン集団は、集団スプリント勝負に持ち込みたいIAMサイクリングやエティックス・クイックステップがコントロールしています。
逃げ集団とのタイム差を3分程度に抑え込んでいます。
3級山岳を越えて、長いダウンヒルで逃げ集団とのタイムは徐々に縮まって来ます。
↑ティンコフ特製のボトルベストを使って、ボトルを運ぶミヒャエル・ゴーグル(ポーランド)
ダウンヒルを終えて、プロトンは海沿いの道路を走ります。
逃げ集団の吸収は、目前に迫りつつも、残ったメンバーは必死で粘ります。
残り12km地点で、逃げ集団を吸収すると集団先頭はチームスカイがコントロールします。クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)の危険回避のための行動です。
スカイがコントロールを終えると、ジャイアント・アルペシンとディメンションデータが先頭に出ます。
しばらくはスプリンターチームによるコントロールが続きますが、終盤に鋭角なコーナーを控える残り2.4kmのタイミングで、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)がアタックします!
意表をつくアタックに、集団は一時的に統制が取れなくなり、ベンナーティを逃がしてしまいます。
最大で3秒ほどのリードを築きますが、メイン集団ではエティックス・クイックステップがスピードを上げて、ベンナーティを猛然と追いかけます。
最終コーナーをベンナーティが先頭で曲がりますが、エティックス・クイックステップによってスピードの上がった集団に捉えられます。
ベンナーティを射程にとらえたところで、ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が早めにスプリント開始します。
メールスマンが先行しますが、後方からジャン=ピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)が伸びて来ます。
メールスマンのスピードが伸びきらないまま、ドラッカーが差して勝利!
またしてもグランツール初勝利のレーサーが誕生しました。
2位はリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)、3位はニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、メールスマンは4位に終わりました。
別府史之(日本、トレック・セガフレード)は、集団が中切れしてしまったため、スプリント勝負には絡めませんでしたが、2秒遅れの15位でフィニッシュしています。新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)も同じく29位でした。
この日は、総合上位勢は特に変動はありませんでした。
敢闘賞はマテマルドネスでした。恒例のポディウムガールにお花をプレゼントする紳士パフォーマンスは、何度見ても素敵でした。
休息日明けの第17ステージは超激坂へのフィニッシュ
スタート直後から2級山岳、その後も2級・3級と山をこなして、後半もカテゴリーではないアップダウンを越えて、ラストは1級山岳の頂上へとフィニッシュするステージです。
1級山岳の正体は、正真正銘の激坂です。
距離3.8km・最大斜度22%・平均勾配12.5%という、今大会でも最もパンチ力がある登りでしょう。
間違いなく総合の順位が動くことでしょう。
特に、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)は激坂を得意としているので、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)にとっては、試練の一日となるかもしれません。
チームスカイとしては、最終盤までにモビスターやオリカに対して、攻撃を仕掛けたいところです。