現代のトップスプリンターの一人であるアンドレ・グライペルを擁するロット・ソウダルの戦力分析です。
2017年もグライペルでスプリント勝利を狙います。
ロット・ソウダル2017ロースター
サンダー・アルメ(ベルギー)
ラルスティング・バク(デンマーク)
ティージ・ベヌート(ベルギー)
クリス・ボックマンス(ベルギー)
ショーン・デビエ(ベルギー)
トーマス・デヘント(ベルギー)
バルト・デクレルク(ベルギー)
ジャスパー・デブイスト(ベルギー)
イェンス・デブシェール(ベルギー)
フレデリック・フリソン(ベルギー)
トニー・ギャロパン(フランス)
アンドレ・グライペル(ドイツ)
アダム・ハンセン(オーストラリア)
トマシュ・マルチニスキー(ポーランド)
マキシム・モンフォール(ベルギー)
ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)
ジャームス・ショー(イギリス)
マルセル・シーベルグ(ドイツ)
ラファエル・バルス(スペイン)
トシュ・ヴァンデルサンデ(ベルギー)
イェーレ・ヴァネンデルト(ベルギー)
ルイ・ヴェルヴァーク(ベルギー)
イェーレ・ワライス(ベルギー)
ティム・ウェレンス(ベルギー)
・新加入選手
ニコラス・マース(ベルギー)←エティックス・クイックステップ
レミー・メルツ(ベルギー)←カラーコード・アルデンビーフ
モレーノ・ホフランド(オランダ)←ロットNLユンボ
エンツォ・ワウテルス(ベルギー)←ロット・ソウダルU-23(クラブチーム)
・退団選手
ケヴィン・デルトンベ(ベルギー)→スポルト・フラーンデレン・バロワーズ(PCT、ベルギー)
マイケル・グーラーツ(ベルギー)→ヴェランダス・ウィレムス(PCT、ベルギー)
グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド)→ユナイテッドヘルスケア(PCT、アメリカ)
ピム・リヒハルト(オランダ)→ルームポット・ネーデルランデロッテリー(PCT、オランダ)
ヘルト・ドックス(ベルギー)→引退
グランツールレーサーは不在、短いステージレースではウェレンス、デクレルクらがエースか
ロット・ソウダルはグランツールの総合上位を狙うチームではありません。
かつては、トーマス・デヘントが2012年ジロ・デ・イタリア総合3位に入ったこともありますが、現在は逃げのスペシャリストとして活躍しているので、総合を狙うことはないでしょう。
エースという訳ではありませんが、マキシム・モンフォールはグランツールで安定した成績を残している選手です。2016年ジロ総合15位、2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合16位という結果です。
短いステージレースで結果を出している選手としては、ティム・ウェレンスがいます。
2016年ツール・ド・ポローニュ総合優勝、2014・2015年エネコツアー総合優勝という結果を出しています。グランツールでは2014年ジロの総合54位が自己最高となっていて、激しい山を登る力はないですが、アルデンヌクラシック向きの脚質を持った選手と言えそうです。
バルト・デクレルクとルイ・ヴェルヴァークもクライマーと言える脚質の持ち主です。
30歳のデクレルクは、2015年ブエルタ総合14位という結果を持っています。23歳のヴェルヴァークは、2014年ツール・ド・ラブニール総合5位&ステージ1勝をあげた期待の若手です。
しかし、グランツールで総合トップ10を狙えるような選手は現時点ではいません。あるとすれば、ヴェルヴァークの成長に期待というところでしょうか。
他にはサンダー・アルメ、トマシュ・マルチニスキー、ラファエル・バルスもクライマーですが、あくまでサポート役としてのクライマーとなりそうです。
グランツールと言えば、むしろアダム・ハンセンの連続出場の方が楽しみです。
2011年ブエルタから連続出場記録が継続中で、2016年ブエルタを完走して16回連続出場中です。カメラマンを見つけてはピースサインを送ることが、もはや趣味と言えるレベルで上手です。
2015年ツールでは、落車して肩を脱臼してしまいました。しかし、ハンセンは『脱臼で良かった』と思い、怪我を抱えたまま完走し記録を継続させています。
元々はシステムエンジニアだったという異色の経歴もあって、バイクのフィッティングには独自のこだわりを持っています。
ハンセンはただ記録を継続させるだけでは決してなく、チームに欠かせない戦力でもあります。アンドレ・グライペルらスプリンターのための集団牽引が主な任務で、強力な牽きによってロット・ソウダルトレインはいつも集団前方を陣取ることに成功しています。
ハンセンの連続出場記録の更新も見どころです。
そして、トーマス・デヘントは逃げのスペシャリストとして、グランツールでの山岳賞を狙ってくるでしょう。
2016年ツールでは第5〜7・12〜14ステージで山岳賞ジャージを着用して、ブエルタでは第9ステージで着用しました。重要なステージで逃げに乗れていないイメージがあるのと、連日逃げて疲れたときにパフォーマンスが落ちる傾向にあった選手です。ところが、2016年は2013年以来のトップカテゴリーでの勝利をあげ、近年の不振を吹き飛ばした感があります。
2017年はさらなる進化をとげたデヘントが見れることを期待しています。
ワンデーレースではギャロパンと新星・べヌートに期待
チーム唯一のフランス人であるトニー・ギャロパンに期待が集まります。
2016年はGPワロニーで勝利して、クラシカ・サンセバスチャンでは2位でした。ステージレースでの逃げに乗る機会も多い選手ですが、大きなワンデーレースでの勝利を期待したいところです。
そして、有望株ティージ・ベヌートにも注目です!
2017年に23歳になる若手ライダーですが、2016年シーズンはオムループ・ヘット・ニュースブラッド3位、ストラーデ・ビアンケ8位、E3ハーレルベルケ7位、ヘント・ウェヴェルヘム15位、GPケベック18位、GPモントリオール13位など、有力選手の集まるワンデーレースで上位で完走している実力者です。ツール・ド・ポローニュ総合5位という成績も光ります。
登ることが出来るパンチャーと言った脚質で、フィリップ・ジルベールを彷彿とさせます。とても楽しみな選手です。
普段はグライペルのリードアウト役を務めている、ユルゲン・ルーランズ、イェンス・デブシェールもワンデーレースでは好成績を残しています。
春の石畳系クラシック向きの選手としては、ラルスティング・バク、ニコラス・マース、フレデリック・フリソン、イェーレ・ワライス、クリス・ボックマンスあたりがいます。
イェーレ・ヴァネンデルトはアルデンヌクラシック向きの選手です。
何と言ってもロット・ソウダルのエースはグライペル
ロット・ソウダルはアンドレ・グライペルのチームと言っても過言ではありません。
プロ通算100勝以上している、稀代のスプリンターのために、スプリンターを多く揃えているチームとなっています。
リードアウト役には、イェンス・デブシェール、ユルゲン・ルーランズ、マルセル・シーベルク、そして新加入のモレーノ・ホフランドらが務めます。
デブシェール、ルーランズ、シーベルクは他のチームなら十分にエーススプリンターが務めるほどの実力者たちです。
更に若手スプリンターとして、トッシュ・ヴァンデルサンデ、ショーン・デビエ、ジャスパー・デブイスト、エンツォ・ワウテルスらも控えています。
グライペルを中心とした布陣で、どれだけステージレースでスプリント勝利をあげることが出来るかがチームのミッションと言えましょう。
最大の目標はツールでのステージ優勝と、マイヨ・ヴェールでしょう。ピーター・サガンが強大なライバルとして立ちはだかりますが、圧倒的なスプリント力でマイヨ・ヴェールを獲得してほしいものです。
グライペルとアタッカーのチーム
ステージレース:★★☆☆☆
ワンデーレース:★★★☆☆
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★★★★
強力なクライマーがいないため、グランツールでの総合上位は厳しいでしょう。
例年通りのスケジュールなら、ジロの前半はグライペルのスプリント勝利を狙い、ツールはグライペルのスプリント勝利とマイヨヴェール獲得&デヘントらの逃げによる勝利と山岳賞ジャージを狙うことでしょう。
モニュメントのような大きなワンデーレースでの勝利はなかなか難しいところもありますが、新しくワールドツアーに昇格するオムループ・ヘット・ニュースブラッドやストラーデ・ビアンケで好成績を残しているべヌートには是非期待したいところです。
・他のチームの戦力分析記事はこちら
ワールドツアーチーム一覧&全チーム戦力分析【2017年シーズン版】
・こちらも合わせてどうぞ