ワールドチームのスポンサーを調べるシリーズ第2弾は、オランダの名門サイクリングチームであるロットNLユンボ(Lotto NL Jumbo)を特集します。
『ロット』は、察しの通りオランダの宝くじ公社に由来しています。『NL』はネーデルラントの略、つまり『ロットNL』でオランダの宝くじを意味しています。
では、『ユンボ』は何に由来しているのでしょうか。調べてみました!
ロットNLユンボの成り立ち
前身となるチームを遡っていくと、1984年にヤン・ラースがクワンタム・デコソル・ヨーコというチームを立ち上げます。ラースは、かつてツール・ド・フランスで通算ステージ10勝をあげている名選手です。
以降、数年後とにメインスポンサーが代わりながら、1996年にラボバンクがメインスポンサーとなります。
ラボバンクはオランダの銀行で、農業組織向けの金融機関でした。(日本の農林中央金庫にあたる)
現在では、農業以外の融資や住宅ローンなどにも力を入れていて、オランダ国内で最大の貯蓄高を誇るメガバンクです。わたしは、オランダに旅行したことがあります。その際、街中至るところにラボバンクのATMが存在し、滞在中は何度もお世話になりました。
それだけの巨大銀行が、2012年にサイクリングチームへのスポンサードを打ち切ります。理由はサイクルロードレース界に蔓延していたドーピングです。
ラボバンクは『サイクルロードレースはクリーンで公平なレースをすることは不可能だ』という発言を残し、サイクルロードレース界から撤退しました。
スポンサー探しは難航し、一時はスポンサー無しのブランコサイクリングチームとしてレースを走りましたが、2013年途中にアメリカのコンピュータ周辺機器開発メーカーであるベルキンがスポンサーに名乗りを上げ、ツール・ド・フランスにはベルキン・プロサイクリングチームとして走ります。
ベルキンも2014年には撤退。継いでスポンサーとなったのが、『ロットNL』と『ユンボ』です。
ユンボ社とはどんな会社か?
『ユンボ(JUMBO)』は、オランダのスーパーマーケットです。
ユンボ社は、1979年に創業されます。ユンボ(Jumbo)の由来は、創業した地元のライバル店が『Torro(雄牛)』だったそうで、ライバル店より強い名前を付けたいと考えた末に、『ユンボ(象)』の名前を付けたそうです。
2002年には36店舗と約4億ユーロ(約450億円)の売上高を持っていました。
オランダ国内の、経営に苦しむ小さなスーパーマーケットチェーンを買収しながら、会社は成長していき、2007年には112店舗を構えるにいたり、売上高は約12.5億ユーロ(約1400億円)を誇り、オランダ国内の市場シェアの5%以上を占めていました。
更に、2009年にはスーパー・デ・ボーアを、2011年にはC1000を買収するなど、国内でもシェアを誇るスーパーマーケットチェーンを吸収しながら巨大化し、ついに国内シェア2位を獲得するまさにジャンボスーパーマーケットチェーンへと成長しました。
2016年現在、500店舗を展開しています。
ちなみに、国内シェア1位は、アルバート・ハインというスーパーです。わたしもオランダ滞在中に、ほぼ毎日訪れました。
アルバート・ハインは圧倒的な品ぞろえと、激安と言える価格設定が、外食がお高めなオランダ国内では非常にありがたいお店でした。
60gの生ハムが1ユーロ(約115円)だったり(1ユーロとは思えない美味しさ!)
500gはあろうかという巨大プリンが1.16ユーロ(約130円)
とりわけ、最高に素晴らしかったのはスムージーです!
500mlのサイズで、1.6ユーロくらい(約200円)でした。こちらはパイナップル・マンゴー・メロンのスムージーです。果汁100%で、非常に濃厚な味わいで、滞在中は毎日飲んでビタミン補給していました。
日本で同レベル・同量のスムージーを買うとなると、400〜500円は下らないクオリティです!
以上はアルバート・ハインに関する話ですが、ユンボも公式ページで見る限り、アルバート・ハインに追従する価格、いや更に安いと言える価格設定をしています。
残念ながら、オランダ旅行中はユンボがスーパーマーケットとは知らず、立ち寄ることはありませんでした。アムステルダムの中心部では、圧倒的にアルバート・ハインの天下だったということもありますが。
というように、オランダのスーパーは激安&ハイクオリティ路線で二大巨塔と言えるアルバートハインとユンボがこの10年間ほどで急成長を遂げてきました。
特にユンボは2002年は35店舗だったのが2016年には500店舗を越える14年で14倍の成長率です。
なお、アルバート・ハインは2016年現在952店舗を構えており、ユンボの約2倍となっています。
ユンボは天下最強のスーパーマーケットだったアルバート・ハインを猛追する勢いある成長企業だったのです。
ロットNLとユンボは、共に巨大なマーケットを持っていた
オランダの宝くじ公社の財政面は、心配に及ばないでしょう。
そして、ユンボも今をときめく成長企業で、当面は心配はないと思います。
ただし、どれほど一流企業であっても、「もはや宣伝効果は無い」として、唐突に撤退する可能性もあります。ユンボはオランダ人にとっても馴染み深い食糧品メーカー&販売チェーンであるので、ブランディングの面でもロットNLユンボを支援し続ける価値は大いにあるのではないかと思います。
国民の期待に応えるためにも、ロットNLユンボ所属のスター選手であるステヴェン・クライスヴァイクに、2017年飛躍していただきたいものです。