サイバナ

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ツール・ド・フランス2017

ツール・ド・フランス2017コースプレビュー〜その2〜

2017/07/21

ツール・ド・フランス2017、第2週目のコースプレビューをしていく。

第1週目(第1〜9ステージ)のコースプレビューはこちら

第3週目(第16〜21ステージ)のコースプレビューはこちら

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ツール・ド・フランス2017コースプレビュー【第2週目】

7/11(火) 第10ステージ:ペリグー~ベルジュラック(178km)

休息日明けは、穏やかな平坦ステージが登場する。
4級山岳が2つあるだけで、残り40kmを切ってからは一切の上りが無いように見える。

ゴール前も真っ平らであり、ピュアスプリンターたちによる集団スプリント勝負に持ち込まれることだろう。

7/12(水) 第11ステージ:エイメ~ポー(203.5km)

続く第11ステージも、スプリンター向きの平坦ステージだ。

途中、サイクリストのためのノートルダム大聖堂がある
そして、プロトン一行は毎度おなじみのポーへと到達する。

この日も、ゴール前は真っ平らどころか若干下り基調であり、引き続き集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。

7/13(木) 第12ステージ:ポー~ペイラギュード(214.5km)

何のためにポーに来たのか?
それは、ピレネー山脈でレースをするためだ。

ツールマレー峠、オービスク峠、そして隣国アンドラ・アルカリスなどなど。
ピレネーには名だたる名峠道がいくつも存在するのだ。

第12ステージで登場するのは、モンテ峠、バレ峠、ペイルスールド峠、そしてペイラギュードである。
それぞれ、1級・超級・1級・2級と難関山岳が断続的に現れる。

1級山岳モンテ峠は、132km地点過ぎから上り始め、登坂距離は6.9km、平均勾配は8.1%となっている。
ここから、フィニッシュまでは上りと下りしかない。
最初のモンテ峠で、ライバルチームのアシスト陣をふるい落とすような集団セレクションを行うチームが出て来るだろう。

次は超級山岳バレ峠だ。
登坂距離11.7km・平均勾配7.7%となっている。
積極的なチームは、この峠道で最後まで逃げ切りを狙うようなアタックを仕掛けてくるかもしれない。

16kmほどダウンヒルをこなしたあとは、ペイルスールド峠の登場だ。
登坂距離9.7km・平均勾配7.8%ではあるが、延々と7〜8%の上りが続く道となっている。
すでにいくつものカテゴリー山岳を越えてきた選手たちに、真の苦痛をもたらす時間となるだろう。

ペイルスールドの山頂からフィニッシュ地点までは残り5kmだ。
半分下って、もう半分はペイラギュードを上る。
そのペイラギュードは空港の滑走路として活用されている場所で、登坂距離2.4km・平均勾配8.4%となっており、残り200mは16%の激坂となっている。


※http://www.n-py.com/fr/peyragudes/agenda-evenements/tour-de-france-2017#arrivee

ここは大きく総合タイムが動く可能性が高い。
ピュアクライマー、TTスペシャリスト系オールラウンダー共に攻撃を仕掛けるチャンスは多く訪れるだろう。

一方で、第12ステージあたりともなると、総合に影響のない選手たちによる大勢の逃げ集団が形成されやすくなる。
さらに前待ち作戦を行うために、総合狙いのチームはアシストを送り込むこともあり得る。
すると、どうなるか。
序盤から凄まじいアタック合戦が繰り広げられるのだ。

バレ峠でアタックしたエースを、前待ちのアシストがダウンヒルでサポートする作戦は十分に考えられるし、前待ち作戦の効果が非常に大きい。
逃げ集団に、総合狙いのチームからどんな脚質のアシストが乗っているか要チェックだ。

そして、純粋に逃げ切りステージ優勝を狙った選手たちによる争いも並行して繰り広げられるのではないかと思う。

7/14(金) 第13ステージ:サン・ジロン~フォワ(101km)

今大会、個人TTステージを除けば最も短い101kmのコースとなっている。

だからと言って、決して侮ること無かれ。
むしろ、本ステージは今大会で最も危険なステージだと言っても過言ではない。

その理由は、まず101kmと短いため、序盤からフルパワーで走ることが出来るからだ。
平均時速40kmなら2時間半で到達する距離だろう。

そして、前日の第12ステージが非常に激しいステージであり、とりわけリーダージャージを抱え、集団コントロールを強いられたチームのアシスト陣の消耗度は大きい。
ゆえに、序盤からフルパワーで走る選手たちをコントロールする力が出せないこともある。

すると、どのようなことが起きるか。
実は似たような事例がここ1年の間に立て続けに起きているので紹介しよう。

一つは、昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージでの出来事だ。
前日第14ステージで集団コントロールに力を使ったチームスカイのアシスト陣は消耗しきっており、アルベルト・コンタドールとナイロ・キンタナの奇襲攻撃をもろに食らってしまった。
エースのクリス・フルームは、この第15ステージだけで3分以上タイムを失ってしまったのだ。

もう一つは、今年のジロ・デ・イタリア第19ステージだ。
距離は191kmと長かったものの、チーム・サンウェブのアシスト陣は疲労困憊状態だったことに加え、エースのトム・デュムランのバッドデーも重なってしまった。
序盤からモビスターやバーレーン・メリダが積極的に攻撃を仕掛けた結果、デュムランはキンタナたちから1分以上遅れてしまった。
他のチームの助けも借りて、一度はメイン集団に復帰することが出来たものの、追走に脚を使ってしまったことで、最後の勝負どころの上りで遅れてマリアローザを失う事態となった。

他にも似たようなケースでは、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでフルームを含めたチームスカイのメンバーが集団から30分以上遅れることも起きている。

序盤から全く油断ならないステージである理由が伝わっただろうか。

しかも、コース中には1級山岳が3つも登場する。

1つ目の1級山岳ラトラップ峠は、登坂距離5.6km・平均勾配7.3%となっている。

36km地点から始まる2つ目の1級山岳ダニエ峠は、登坂距離10km・平均勾配8.2%と超級山岳クラスの厳しい上りとなっている。
頂上を過ぎると、17kmのダウンヒルを経てから3つ目の1級山岳ペゲール峠の上りが始まる。

ペゲール峠は、登坂距離9.3km・平均勾配7.9%ながら、頂上まで残り3kmは平均勾配12%・最大勾配18%に達する厳しさMAXの激坂だ。
この、あまりにも厳しい上りのあとは、フィニッシュ地点まで27kmのダウンヒルだ。

序盤から猛攻を仕掛けて、逃げ切りも十分狙えるステージレイアウトである。
しかも、この日はフランスの革命記念日ときた。
フランス人にとって特別な日である上に、逃げ切りが狙いやすいステージ。

もはや、レースが落ち着く要素は一切ない。
選手だけでなく、視聴者も油断禁物の一日となるだろう。

7/15(土) 第14ステージ:ブラニャック~ロデーズ(181.5km)

ピレネーでの一大決戦を終えたプロトンは、休む間もなく次なる戦地である中央山塊へと進路を向ける。

序盤はほぼ平坦な道を進み、後半に3級山岳が2つ登場するだけの、多少アップダウンのある平坦ステージ。
と思うこと無かれ。

中央山塊独特のデコボコしたルートには、コースプロフィールには明記されていない隠れた上りも登場する。

まずは、残り15km地点に登場するボヌコンブの上りの存在だ。
カテゴリーは設定されていないものの、断面図を見る限りでは、平均勾配5~7%くらいはありそうに見える。

そして、フィニッシュ直前には、登坂距離570mで平均勾配9.6%のミュールが登場する。

ピュアスプリンターにはまず生き残ることは出来ないだろう。
一瞬の爆発力に長けるパンチャーに有利なステージとなっているが、総合勢も最後まで全く油断することが出来ないステージなのだ。

7/16(日) 第15ステージ:レザック・セヴェリャック・レグリーズ~レ・ピュイ・アン・ヴレ(189.5km)

いよいよ中央山塊を駆け抜けるコースの登場だ。

スタートして17km地点から1級山岳の上りが始まる。
登坂距離8.9km・平均勾配6.4%となっている。
その後に訪れる3級山岳を越えたあとは、50km以上にわたって下り基調の道が続く。
1級山岳で遅れた選手も、ここで追いつくことは十分可能だろう。

勝負どころは、終盤に訪れる1級山岳コル・ド・ペラ・タイヤードだ。

登坂距離8.3km・平均勾配7.4%・最大勾配14%となっており、十分な破壊力を有している。
だが、その後下り基調でフィニッシュ地点へと向かうことを考えると、総合勢による攻撃は余程の覚悟と準備がないと難しいだろう。

むしろ、上りが苦手なスプリンターをふるい落とすための存在かもしれない。
逃げ集団が少人数に絞り込まれ、ステージ優勝に向けた駆け引きが始まるところとなるだろう。

逃げ切りの可能性が高く、上りが得意なパンチャーに有利なステージだと言えよう。

第10〜15ステージまとめ

何と言っても第12・13ステージで激戦が繰り広げられることは必至である。
エースの力だけでなく、アシストの総合力が鍵を握るだろう。

仮に、総合タイム差がそれほど大きく動かなかったとしても、間違いなくその過程にはチームの総力を結集した攻撃の掛け合いがあるはずだ。

ピュアスプリンターにとっても、第10・11ステージで活躍の場が用意されている。
パンチャーは第14・15ステージで勝利が狙える。
様々な脚質の選手に幅広く活躍の場が訪れる、バランスの良いステージ構成だ。

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