サイバナ

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ツール・ド・フランス2017

モビスターチーム出場選手一覧&レビュー【ツール・ド・フランス2017】

2017/07/01

※選手の脚質、役割、レビューを書いています。

悲願のマイヨジョーヌ獲得を目指すナイロ・キンタナ擁するモビスターチーム。
最強すぎる37歳アレハンドロ・バルベルデ、ジロとの連戦になるアンドレイ・アマドールら強力アシスト陣がいるものの、全体的にコンディションが不安要素となっている。

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モビスターチーム、ツール出場メンバー

21,ナイロ・キンタナ(コロンビア、27歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆

モビスターは、ナイロ・キンタナをツール・ド・フランスで優勝させるためのチームだ。
ジロ・デ・イタリアでもなく、ブエルタ・ア・エスパーニャでもない。

2014年ジロ総合優勝、2016年ブエルタ総合優勝の実績を持ちながら、ツールでは2度の2位を獲得したものの、総合優勝はまだない。
悲願のマイヨジョーヌ獲得に向けて、様々なアプローチを試している。

今年は、連戦したグランツールの2戦目に好成績を出しやすいという理屈にしたがって、ジロとツールを連戦するスケジュールを選んだ。

なお、グランツールを連戦した経験は2015年と2016年だ。
2015年はツール総合2位で、ブエルタ総合4位だった。
2016年はツール総合3位で、ブエルタ総合2位だ。
連戦した2戦目に結果を出しているというデータは昨年のみだ。

とはいえ、キンタナの走りはミステリー。
爆発的な走りを見せたかと思えば、突然失速したりする。
発熱したり、謎のウイルスに感染したり、先が読めない。

とはいえ、出場したグランツール、ステージレースの大半で表彰台を獲得している圧倒的な実力は、やはり今大会でも総合優勝候補の筆頭だろう。

今シーズンは、ブエルタ・ア・バレンシアナ総合優勝、ティレーノ~アドリアティコ総合優勝を果たし、ジロではトム・デュムランと激闘の末、総合2位だった。
ジロ以来は休養にあて、レースには出場していない。
昨年もツールとブエルタの間には、レースに出場していない。

独自路線を貫くキンタナの調整は吉と出るのか、凶と出るのか。
ツールが終わった時に、その答えはわかるだろう。

22,アンドレイ・アマドール(コスタリカ、31歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★★☆☆

ジロでは、キンタナのアシストとして逃げに乗ったり、山で牽引をしたりと、八面六臂の大活躍を見せた。
もはや酷使とも言える働きぶりだったため、ツールには出場しないと思っていた。

だが、まさかのグランツール連戦となった。
アマドールにとって連戦は初めてのことである。
コンディション面の不安が大きいが、それでもアマドールを出場させたいほど、キンタナからの信頼が厚いのだろう。

体調万全なら、バルベルデと共に最強山岳アシスト陣を形成することだろう。

23,ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、37歳)

逃げ:★★★★★
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★☆

横風職人の異名を持つ、世界屈指の平坦スペシャリストである。
若い頃はスプリンターとして腕を鳴らし、多くの勝利を掴んできた。

キャリア晩年に差し掛かると、ルーラーとしての能力を磨き、グランツールでの平坦アシストとして出場する機会が多くなった。
特に横風区間での強烈な牽引力は、ライバルチームに対する破壊力抜群な武器となり、エースを守る強力な盾ともなる。

ジロ第3ステージの終盤では、横風が強く吹いていた。
クイックステップ・フロアーズ勢が選手を揃えて、見事な集団分断作戦を決めてみせた。
ベンナーティは、キンタナを守り抜き、メイン集団内でフィニッシュすることが出来た。

もし、ベンナーティがいなかったら、キンタナは1分以上タイムを失っていた可能性が高かっただろう。
こういった予期せぬ事態のために、モビスターは平坦アシストを多めに起用するようになった。
これを「モビスターあんしん平坦保険」と呼んでいる。

ツールでも、平坦アシストの重要性はもちろん高い。
ベンナーティを筆頭に、キンタナを守り抜くだろう。

24,カルロス・ベタンクール(コロンビア、28歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

これまでに色々と問題を起こしてきた選手ではあるが、今シーズンは物凄くやる気に満ち溢れているように見える。
ハンマー・スポーツゾーン・リンブルフのハンマークライムでは、ベタンクールの独壇場と言える猛烈な走りを見せた。
ツール・ド・スイスでも総合17位に入り、好調さをアピールすると晴れてツールのメンバー入りを果たす。

2014年パリ〜ニースで総合優勝したように、元々高い実力を持つ選手だ。
直近のパフォーマンスをツールでもいかんなく発揮できれば、キンタナにとって心強く頼もしい山岳アシストになるだろう。

25,ホナタン・カストロビエホ(スペイン、30歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★★★
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆

直近のスペインTT選手権で3度目の優勝を果たしたTTスペシャリストである。
昨年の欧州選手権個人TTでも優勝しているため、TTではスペインチャンピオンジャージではなく、欧州チャンピオンジャージを着用するものと思われる。
プロ通算8勝の全てが、個人TTまたはプロローグステージでの勝利だ。

さらに、独走力が高いだけでなく、クライマーに匹敵する登坂能力も持ち合わせている。
山岳モビスタートレインの先頭車両を務めることが出来る重要な役割を持つ選手だ。

平坦・山岳の牽引役として活躍が期待される。

26,イマノル・エルヴィーティ(スペイン、34歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★☆☆☆

グランツール出場19回目となるベテラン選手だ。
2010年以降、毎年ツールとブエルタ両レースに出場を続けている。

脚質はルーラーで、平坦路でエースたちの護衛を任される。

27,ヘスス・エラダ(スペイン、27歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆

直近のスペイン選手権で優勝し、2013年以来となるスペインチャンピオンジャージを獲得した。
同TT選手権でも3位と、総合力の高さをアピールしている。

クライマーのイメージが強いが、どちらかというと逃げを得意とするルーラーの脚質の方が近いかもしれない。
とはいえ、山岳でアタックを決めることも出来る。

全局面に対応できる万能アシストとして活躍が期待される。

28,ジャシャ・ズッターリン(ドイツ、25歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★☆☆☆

チーム唯一のドイツ人選手。
直近のドイツTT選手権では、トニ・マルティンにわずか15秒差の2位という結果を出し、TTスペシャリストとしての高いポテンシャルを持っていることをアピールした。

今シーズンは、ブエルタ・シクリスタ・コミュニダッド・デ・マドリッド第3ステージでプロ初勝利を飾っている。
平坦アシストとして起用される見込みだ。

29,アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、37歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★★★☆

とても歳とは思えない、凄まじさ絶好調ぶりを見せていた2017年シーズン。
ブエルタ・ア・ムルシアでは70kmを独走して逃げ切り勝利をあげ、ブエルタ・ア・アンダルシア、ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャでは総合優勝している。
さらにフレーシュ・ワロンヌを4連覇、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでも2年ぶりの優勝と、もう誰にも止められない鬼のような強さを発揮していた。

クリテリウム・デュ・ドーフィネでは、勝負どころの難関ステージの山岳で遅れを喫するシーンが目立った。
さすがのバルベルデも人の子だったか、普通の調子に戻ったのかもしれない。

ツールの後はブエルタにも出場予定だ。
そして、ツールではキンタナのアシストに徹する"予定"なので、ピークをツールの期間中に持ってくるように調整しているのだと推測する。

実際のところはどうだろうか。
さすがにキンタナを喰ってかかるような真似はしないと思うが、キンタナが不調と見るやいなやバルベルデ総合上位を狙ってくる可能性も無きにしもあらず。

最強の山岳アシストになるか、もしくは最強のチャレンジャーとなるのか。
こちらもツールが開幕してみないと読めない選手だ。

キンタナの地力はずば抜けている、あとはコンディション次第か

ジロとの連戦になるキンタナのコンディション次第というのが、正直な結論だ。

山岳アシストはバルベルデ、ベタンクール、アマドール、エラダ。
平坦アシストはズッターリン、エルヴィーティ、カストロビエホ、ベンナーティ。
と、過去のモビスターでは考えられないほど平坦アシストを多く揃えてきた。

この布陣で間違いはないだろう。
やはり、シーズン序盤から飛ばしているバルベルデ、そしてジロとの連戦になるアマドールのコンディション面にも不安があるものの、それぞれが本来の実力を発揮すれば、文句なしに最強チームだろう。
とはいえ、仮にコンディションが悪くとも、総合優勝争いを十分に出来るようなメンツである。

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-ツール・ド・フランス2017