BMCレーシング戦力分析!【2017年シーズン】

2016年のツール・ド・フランスでは総合5位だったリッチー・ポートがエースを務めるBMCレーシングの戦力分析です。

新加入のニコラス・ロッシュが鍵を握ります。

BMCレーシング2017ロースター

トム・ボーリ(スイス)
ブレント・ブックウォルター(アメリカ)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア)
ローハン・デニス(オーストラリア)
シルヴァン・ディリエル(スイス)
ジャン=ピエール・ドラッカー(ルクセンブルク)
キリアン・フランキニー(スイス)
フロイス・ヘルツ(オランダ)
ベン・ヘルマンス(ベルギー)
ステファン・キュング(スイス)
アマエル・モワナール(フランス)
ダニエル・オス(イタリア)
リッチー・ポート(オーストラリア)
マヌエル・クインツィアート(イタリア)
ジョーイ・ロスコフ(アメリカ)
サムエル・サンチェス(スペイン)
ミカエル・シェアー(スイス)
マヌエル・センニ(イタリア)
ディラン・トインズ(ベルギー)
フレフ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)
ロイック・ブリーヘン(ベルギー)
ダニーロ・ウィス(スイス)

・新加入選手

ニコラス・ロッシュ(アイルランド)←チームスカイ
マルティン・エルミガー(スイス)←IAMサイクリング
フランシスコ・ベントソ(スペイン)←モビスター
マイルズ・スコットソン(オーストラリア)←ワンティ・グループゴベール

・退団選手

ダルウィン・アタプマ(コロンビア)→プロジェクト・TJスポーツ
マルクス・ブルグハルト(ドイツ)→ボーラ・ハンスグローエ
テイラー・エイセンハート(アメリカ)→ホロウェスコ・シタデル(CT、アメリカ)
フィリップ・ジルベール(ベルギー)→クイックステップ・フロアーズ
ファビアン・リーンハルト(スイス)→未定
テイラー・フィニー(アメリカ)→キャノンデール・ドラパック
ピーター・ヴェリトス(スロバキア)→未定
リック・ツァベル(ドイツ)→カチューシャ・アルペシン

エースのポートを、新加入のロッシュと、ヴァンガーデレン、サンチェス、ヘルマンスがサポート

BMCレーシングの今オフの最もホットなニュースは、アイルランドチャンピオンのニコラス・ロッシュの加入です。2015年にチームスカイに移籍すると、絶対的エースのクリス・フルームのために走り、自分のために走る機会は多くはありませんでした。

BMCでのロッシュの役割は、基本的にはリッチー・ポートとティージェイ・ヴァンガーデレンのグランツールでのアシストです。ポートとヴァンガーデレンが出場しないグランツールではロッシュ自身がエースとして出場するようです。

ロッシュがアシストするリッチー・ポートが、BMCレーシングの真のエースです。ツール・ド・フランスでは、ポートがエースで、ヴァンガーデレンとロッシュはアシストに回ると、BMCのパフォーマンスマネジャーのアラン・パイパーは宣言しています。

2016年のツールでは、第1ステージでのパンクでの遅れが響いて総合5位でした。モン・ヴァントゥのステージでは、バウケ・モレマと共にクリス・フルームに付いていくことの出来たライダーの一人で、カメラバイクに衝突しています。チームスカイの鉄壁アシスト陣に対し、ポート自ら果敢にアタックを仕掛けるシーンも、多く見られました。山岳では、フルームの次に脚が回っていた選手の一人と言っても差し支えないでしょう。

個人的にとても好きな選手の一人で、フルームを打倒してマイヨ・ジョーヌを着ることの出来る、最有力選手であると信じています。

2016年のツールにはポートとダブルエースで出場したヴァンガーデレンは、エース剥奪の危機に瀕しています。ツール総合29位、ブエルタでは途中リタイアと、エースとしてチームに貢献することが出来ませんでした。

2017年シーズンはポートが第1エースで、ヴァンガーデレンは基本的にはポートのサポートに回ると思われます。

忘れてはならないのが、サムエル・サンチェスの存在です。

ブエルタでは総合7位につけながらも、個人TTステージで落車して鎖骨を折ってリタイアとなりました。2017年に39歳を迎える大ベテランですが、まだまだ第一線で総合上位を狙うことの出来る選手です。ロッシュ、ヴァンガーデレンと同じく、基本的にはポートのサポートに回ると思われます。

2016年のブエルタで、ヴァンガーデレンとサンチェスが途中リタイアした中で、存在感を発揮した選手はベン・ヘルマンスです。

山岳ステージでは、ナイロ・キンタナやクリス・フルームたちのいるメイン集団に最後まで残ることが出来ていて、総合14位で完走しました。

BMCのミッションはエースであるリッチー・ポートでのグランツール(ツール・ド・フランス)制覇です。ロッシュ、ヴァンガーデレン、サンチェス、ヘルマンスたちが山岳では強力に支えてくれることでしょう。

他にも山岳に強い選手がいる

ダミアーノ・カルーゾは、ツールでは最終盤までポートとヴァンガーデレンをアシストしていたクライマーです。

アマエル・モワナールは、2015年ジロ総合15位に入ったクライマーです。

ブレント・ブックウォルターは、ツアー・オブ・カリフォルニア総合3位に入っています。

マヌエル・センニは24歳と若いライダーで、2016年ジロを完走し、2017年シーズン序盤のブエルタ・ア・バレンシアナで総合3位&新人賞を獲得しています。

実力のあるクライマーが揃っていて、ツールだけでなく、ジロやブエルタでも手厚いメンバーで臨むことが出来そうです。

平坦スペシャリストの層も厚い

2014年、2015年と世界選手権チームタイムトライアルで連覇し、2016年も2位となったTTスペシャリスト集団は健在です。

チームで最もTT力の高い選手は、ローハン・デニスです。リオ五輪ではメカトラの影響もあって5位、世界選手権でもタイムが伸び悩み6位と、不完全燃焼に終わりました。それでも、世界屈指のTTスペシャリストであることに疑いはありません。

世界選手権のTTTメンバーである、マヌエル・クインツィアート、ダニエル・オス、ステファン・キュング、ジョーイ・ロスコフ、もルーラー、あるいはTTスペシャリストの脚質を持っています。

クインツィアートはグランツール出場18回の大ベテランです。

オスは29歳で身長190cm、キュングは23歳で身長193cmと2人とも大型のルーラーとして活躍が期待されます。

ロスコフは2016年のジャパンカップクリテリウムで長時間逃げた独走力の高さと、ジャパンカップ本戦で10位に入った登坂力を併せ持つライダーとして、幅広い場面でのアシスト任務が求められることでしょう。

ミカエル・シェアーもルーラーの脚質を持った選手で、身長は196cmとかなり大柄です。

新加入のマルティン・エルミガーは、オールラウンダーやクラシックスペシャリストに近い脚質を持った選手ではありますが、エースを守る力強くドメスティークなアシストが期待されます。

ワンティから世界選手権U-23個人TT3位のマイルズ・スコットソンを獲得しました。大先輩デニスの元で、TTスペシャリストとしての脚を鍛えてくれることでしょう。

非常に大柄な選手が多く揃っていることが、BMCの平坦スペシャリストたちの特徴です。

もう一人のエース、リオ五輪金メダリストのヴァンアーヴェルマート

BMCにはもう一人、世界トップレベルの力を持ったレーサーがいます。リオ五輪で金メダルを獲得したフレフ・ヴァンアーヴェルマートには、数多くの勝利が期待されます。

2016年はキャリア最高と言えるシーズンを過ごしました。ティレーノ~アドリアティコ総合優勝、ツール・ド・フランス第5ステージ優勝&マイヨ・ジョーヌ獲得、リオ五輪金メダル、GPモントリオール優勝と、ワールドツアーレベルのワンデーレースだけでなくステージレースでも結果を出しています。

2017年の目標は、モニュメント初制覇でしょう。春先のミラノ〜サンレモ、ツール・デ・フランドル、パリ〜ルーベ、そして秋のイル・ロンバルディアへ出場することが多く、これまでの最高順位は2014年のツール・デ・フランドル2位です。

他にもパンチャーやクラシックスペシャリストと言える脚質を持った選手では、ダニーロ・ウィス、ジャン=ピエール・ドラッカーにも期待がかかります。

2016年のフレーシュ・ワロンヌ6位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ4位のサムエル・サンチェスも、春のクラシックでの好成績が期待できます。

エーススプリンターはドラッカー、新加入のベントソがリードアウトを務めるか

ジャン=ピエール・ドラッカーは、2016年のブエルタでステージ優勝を果たし、名を挙げました。2015年にはプルデンシャル・ライドロンドンでプロ初勝利をあげ、2017年には31歳になる遅咲きの選手です。

2016年シーズンまでは、チーム唯一のスプリンターでしたが、モビスターからフランシスコ・ベントソを獲得しました。ここ数年はなかなか勝ちに恵まれていない選手ではありますが、ドラッカーのリードアウト役として活躍が期待されます。

悲願のグランツール制覇に向けて、ピンポイント補強で攻撃力アップ

ステージレース:★★★★☆
ワンデーレース:★★★★★
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆

フィリップ・ジルベール、ダルウィン・アタプマ、マルクス・ブルグハルト、テイラー・フィニーの抜けた穴は大きいです。しかし、リッチー・ポートでのグランツール制覇という、ただ一点のみを見つめた場合、足りなかったピースはニコラス・ロッシュなのだと思います。

クリス・フルームやナイロ・キンタナと、その鉄壁と言えるアシスト陣に対抗するためには、ロッシュのような強力なクライマーを加える必要がありました。

ポート、ロッシュ、ヴァンガーデレン、サンチェスら強力なクライマーに加え、平坦スペシャリスト揃いなチームとなり、ますますグランツール向きの構成になったと言えましょう。

そして、数年後には成長したテイラー・エイセンハートがBMCに戻ってグランツールでポートをアシストしてくれることを期待しています。

フレフ・ヴァンアーヴェルマートの活躍も見逃せません。ピーター・サガンに対抗し得る選手の一人であり、こちらも悲願のモニュメント制覇に向けて春先のレースに注目していきたいと思います。

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