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戦力分析2018

AG2Rラモンディアール戦力分析!【2018年シーズン】

2018/01/18

絶対的エースにしてフランスの至宝、ロマン・バルデを擁するAG2Rラモンディアール。

マティアス・フランク、ピエール・ラトゥールに加えて、オリバー・ナーセンの存在がチームの鍵を握る。

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AG2Rラモンディアール2018ロースター

ロマン・バルデ(フランス)
マティアス・フランク(スイス)
ピエール・ラトゥール(フランス)
オリバー・ナーセン(ベルギー)
ゲディミナス・バグドナス(リトアニア)
ヤン・バークランツ(ベルギー)
ルディ・バルビエ(フランス)
フランソワ・ビダール(フランス)
ミカエル・シェレル(フランス)
クレメン・シェヴリエ(フランス)
ニコ・デンツ(ドイツ)
アクセル・ドモン(フランス)
サミュエル・デュムラン(フランス)
ユベール・デュポン(フランス)
ジュリアン・デュヴァル(フランス)
ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク)
シリル・ゴティエ(フランス)
アレクサンドル・ジェニエス(フランス)
アレクシー・グジャール(フランス)
カンタン・ジョレギ(フランス)
マッテーオ・モンタグーティ(イタリア)
ナンズ・ピーターズ(フランス)
スティーン・ヴァンデンベルフ(ベルギー)
アレクシー・ヴィエルモーズ(フランス)

・新加入選手
シルヴァン・ディリエ(スイス)←BMCレーシング
トニー・ガロパン(フランス)←ロット・スーダル
クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス)←コフィディス(PCT、フランス)
ブノワ・コズネフロワ(フランス)←シャンベリー・CF(アマ)※トレーニーから昇格

・退団選手
ユーゴ・ウル(カナダ)→アスタナ
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)→バーレーン・メリダ
ソンドレ・ホルストエンゲル(ノルウェー)→イスラエル・サイクリングアカデミー(PCT、イスラエル)
クレマン・ルッソ(フランス)※トレーニー→フォルテュネオ・オスカロ(PCT、フランス)
ケヴィン・ジェニエ(ルクセンブルク)※トレーニー→未定
オーレリアン・ドリート(フランス)※トレーニー→未定
ジュリアン・ベラール(フランス)→引退
クリストフ・リブロン(フランス)→引退

バルデ悲願のマイヨジョーヌに向けて新たな試み

ツール・ド・フランスでは、2015年から3年連続ステージ優勝をあげ、2016・2017年と連続して表彰台を獲得しているが、クリストファー・フルームという高い壁が立ちはだかり、未だに1ステージたりともマイヨジョーヌに袖を通したことがない。

ツール第20ステージの個人TTでは、大失速してしまいあわや表彰台転落の危機に陥っていた。バッドデーだったのは明らかだが、とはいえTT力を改善しないことには、なかなかフルームと勝負にならない点も否めない。

一方で登坂力は、フルームを凌ぐものがある。ツール第12ステージでは、フルームらライバルを置き去りにして激坂ペイラギュードを駆け上がり、ステージ優勝を飾った。

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そして、第15ステージや第18ステージでAG2Rはチームの総力をかけて猛攻を仕掛けたように、バルデ自身もレースを激しく動かす攻撃性を発揮している。

つまり、山岳ではフルームに対してタイムを奪う力を十分に持っているといえよう。だからこそ、TTでの損失をできるだけ減らしたい。

AG2Rのバイクサプライヤーを務めるファクターのロードバイクは、元イギリス国内ロード・TT王者のデヴィッド・ミラーが深く関わっている。そのよしみで、ミラーがバルデのTTを指導しているとのことだ。TT力はいきなり飛び抜けて改善されることも難しいと思われるので、2018年はさらにTT力が向上されることを期待したい。

そして、2018年のツールには、石畳や未舗装路の上りが登場する。その対策として、未舗装路を走るワンデーレースであるストラーデ・ビアンケに出場予定だ。そのため、毎年出場していたパリ〜ニースはパスして、同じストラーデ・ビアンケの後はティレーノ~アドリアティコに出場する。さすがに北のクラシックに出場するのはリスク大と見たようだ。

TT力の改善と石畳対策として未舗装路レースを走るという試みを通じて、悲願のマイヨジョーヌ獲得を狙う。

ステージレース向きのクライマー、ルーラー揃い

まず、フランクとラトゥールの登坂力が際立って高い。2人はセカンドエースも張れる力を持っており、難関山岳コースでのバルデの護衛に最適だ。

フランクは安定した走りが魅力的である一方、山岳での攻撃力は控えめだ。ツール・ド・スイス総合7位でベストスイス人ライダー賞に輝いている。

ラトゥールは24歳という若さを全面に出した攻撃的な走りが魅力だ。山岳でライバルチームのアシストを削り取るような牽引が可能で、国内TT選手権で優勝するように意外とTT力も高い。

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フランク、ラトゥール以上の実力を持っているポッツォヴィーヴォが移籍したことは戦力ダウンではあるが、バルデのアシストとしてツールを走る機会はほとんど無かったため、バルデの総合優勝についてのみ考えれば戦力ダウンにはつながっていない。ジロやブエルタで総合一桁順位で完走する力があったため、チームとしてはWTポイントの稼ぎ頭を失ったことにはなる。

移籍してきたガロパンも登坂力の高い選手だ。ルーラー寄りの脚質ではあるものの、難関山岳コースでも果敢に逃げる力を持ち合わせており、平坦に強いルーラーでは上れない山を越えてアシストすることも可能だ。

ヴィエルモーズも同様に、ルーラー寄りの脚質ながら上りに強い選手だ。ツールではナイロ・キンタナに次ぐ総合13位で完走し、ツール・ド・リムザン(2.HC)総合優勝、イル・ロンバルディア4位と好成績を残している。

シェレル、デュポン、ガスタウアー、ゴティエ、ジェニエス、ビダール、シェヴリエも山岳アシストが可能な選手たちで、新加入のディリエもパンチャー寄りの脚質ながら上りでのアシストも可能な選手だ。

平坦アシストの筆頭はバグドナスだろう。身長185cmの恵まれた体格から長時間に渡って集団牽引を担うことができる。2013年にチーム加入して以来1勝もあげていないが、チームが契約し続けていることがルーラーとしての実力の証だろう。

グジャール、ジョレギ、デンツ、ピーターズも平坦系の選手だ。

そしてこのチームで最も重要なアシストはナーセンだ。2016年ブルターニュクラシック・ウエストフランスを制し、2017年にはベルギーチャンピオンとなった北のクラシックを得意とするスプリンター系の選手ではある。一方で上りにも非常に強く、ツールでは超級山岳を越えて、バルデのアシストをする場面も見られた。そのアシストの内容は、超級山岳を越えた後のダウンヒルでのペースアップであった。

ナーセンにとって、ダウンヒルは得意とする分野の一つだ。集団破壊力は抜群で、チームスカイの選手たちすら置き去りにするスピードを見せていた。(しかし、ミカル・クウィアトコウスキーの献身的な働きにより、フルームに対して致命的なリードを奪うには至らなかった。)

ダウンヒルはバルデ自身も得意とすることから、ナーセンの牽きによるダウンヒルでの攻撃はAG2Rの最大の武器となるだろう。

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新加入したヴァントゥリーニは、ナーセンと同じようなタイプの選手だ。過去にブライアン・コカールやアルノー・デマールなどスプリンターやパンチャーが制しているダンケルク4日間レース(2.HC)で総合優勝し、ツアー・オブ・オーストリア(2.1)第6ステージでは集団スプリントを制して勝利している。

平坦アシスト、山岳アシストの中間的な立場として、逃げを得意とするドモン、ガスタウアーを使った戦術も考えられるところだ。

北クラはナーセンに期待、バークランツはまず復帰が目標か

北のクラシックでエースを担うのはナーセンだ。E3ハーレルベーケで3位に入るなど、好成績を連発していた。ところが、パリ〜ルーベでは落車やメカトラが相次ぎ勝負に絡めず悔しい思いをした。ツールでの登坂力を見ていると、ロンドにも高い適性があるように見えるし、パリ〜ルーベでも優勝を狙える選手ではないかと思う。

アシストには、ヴァンデンベルフ、ジョレギ、ピーターズが適任で、新加入のディリエも北のクラシック適性がある。

さらに新加入のガロパンも、例年はアルデンヌクラシックを中心に走っていたが2017年は北のクラシックに出場し、ドワーズ・ドール・フラーンデレン11位、ロンド・ファン・フラーンデレン17位と比較的上位でフィニッシュしている。

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アルデンヌクラシックは、バークランツがエース格であったが、イル・ロンバルディアで崖下に転落し、背骨と肋骨を複数箇所折る重傷を負った。年明けからトレーニングを再開できる見込みではあるが、シーズン序盤の欠場は避けられない状況だ。アルデンヌクラシックに間に合わせる、というよりは再びプロ選手としてレースを走れるようになることを祈るばかりである。

トレーニーから昇格したコズネフロワは注目しておきたい選手だ。なぜなら、U-23世界選手権で優勝したフランス期待の星だからだ。

世界選では、ワールドチームで走っているチーム・サンウェブのレナード・ケムナと共に集団から飛び出す展開となり、TTに強いケムナに負けず劣らずの走りを見せ、スプリントで下して勝利したのだ。

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フランスU-23代表はタレント揃いのなかで、コズネフロワはここ一番でアタックを決めて勝ち切る勝負強さを持っている。将来的にどんな選手になるか、楽しみだ。

スプリントチームではないが、パンチ力のあるメンバーがいる

スプリントでも、ナーセンがエースを務める機会が多くなるだろう。ただし、集団スプリントで勝てるようなタイプではないのでワンデーレースや逃げからの混戦に持ち込んでのスプリントならば、ナーセンが得意とする展開だといえる。

他にはパリ〜ブルージュを制したバルビエ、ベテランで身長159cmと小柄なデュムランもスプリンターだ。

新加入のヴァントゥリーニもスプリントに強い選手であり、ワールドツアーは厳しくとも、HC以下のレースでは勝利を期待できる選手だ。

バルデ頼みの総合、キーマンはナーセン

グランツール:★★★★☆
北のクラシック系:★★★★☆
アルデンヌクラシック系:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

フランスのワールドチームとして、何が何でもツール・ド・フランスで結果を残すことが絶対目標である。つまり2年続けて表彰台を獲得しているバルデにとって、総合優勝を果たせないことには成功とは呼べないシーズンが続いてしまう。

ネームバリューは無くともチームスカイに負けずとも劣らない精鋭を揃えて、グランツール出場メンバーを組むことができる選手層はある。あとは、バルデ次第だ。特に個人TTの改善は必要不可欠である。そして唯一無二の武器であるナーセンのダウンヒルを活かした戦術を立てたいところだ。

そのナーセンは北のクラシックやスプリント勝負でもチーム内で勝利に最も近い男だ。もはやこのチームのキーマンはナーセンではないかと思う。ナーセンの出来次第で、チーム成績が大きく上下しそうである。

北のクラシックでの勝利、悲願のツール・ド・フランス優勝。どちらも簡単なことではないが、この戦力で狙うしかない。

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