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戦力分析2018

ロット・スーダル戦力分析!【2018年シーズン】

2018/01/15

エーススプリンターにアンドレ・グライペルを擁するロット・スーダル。

若手のティム・ウェレンスとティシュ・ベノート、世界屈指の逃げ屋トマス・デヘント、グランツール連続完走記録保持者のアダム・ハンセンと個性の強いメンバーが揃っている。

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ロット・スーダル2018ロースター

アンドレ・グライペル(ドイツ)
トマス・デヘント(ベルギー)
ティム・ウェレンス(ベルギー)
ティシュ・ベノート (ベルギー)
アダム・ハンセン(オーストラリア)
サンデル・アルメ(ベルギー)
ラースユティング・バク(デンマーク)
ジャスパー・デブイスト(ベルギー)
イェンス・デブシェール(ベルギー)
フレデリック・フリソン(ベルギー)
モレノ・ホフラント(オランダ)
ニコラス・マース(ベルギー)
トーマス・マルチンスキー(ポーランド)
レミー・メルツ(ベルギー)
マキシム・モンフォール(ベルギー)
ジェームス・ショー(イギリス)※トレーニーから昇格
マルセル・シーベルグ(ドイツ)
トシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー)
イエール・ヴァネンデル(ベルギー)
イエール・ワライス(ベルギー)
エンゾ・ワウテルス(ベルギー)

・新加入選手
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー)←ロットNL・ユンボ
イェンス・クークレール(ベルギー)←オリカ・スコット
ローレンス・ナーセン(ベルギー)←WB・ヴェランクラシック・アクア・プロテクト(PCT、ベルギー)
ビョルグ・ランブレヒト(ベルギー)←ロット・スーダルU-23(アマチュア)
ハーム・ヴァンフック(ベルギー)←ロット・スーダルU-23※2018/07/01からトレーニー

・退団選手
ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)→BMCレーシング
ラファエル・バルス(スペイン)→モビスター
ルイス・ヴェルヴァーク(ベルギー)→チーム・サンウェブ
トニ・ガロパン(フランス)→AG2R・ラモンディアル
クリス・ボックマンス(ベルギー)→ヴィタルコンセプト(PCT、フランス)
バルト・デクレルク(ベルギー)→ワンティ・グループゴベール(PCT、ベルギー)
ショーン・デビエ(ベルギー)→ヴェランダス・ウィレムス・クレラン(PCT、ベルギー)
センネ・リーゼン(ベルギー)※トレーニー→ヴェランダス・ウィレムス・クレラン(PCT、ベルギー)
マティアス・ヴァンゴンペル(ベルギー)→スポルト・フラーンデレン・バロワーズ(PCT、ベルギー)
エミエル・プランカールト(ベルギー)※トレーニー→スポルト・フラーンデレン・バロワーズ(PCT、ベルギー)

総合系エースは不在だが、ネオプロのランブレヒトに期待

ロット・スーダルはグランツールの総合順位は全く狙っていないチームだ。

2017年はジロ・デ・イタリアでモンフォールが総合13位、ツール・ド・フランスでベノートが総合20位、ブエルタ・ア・エスパーニャでアルメが総合19位が、それぞれチーム内最高順位だった。それぞれ数十分単位で遅れており、総合上位を狙う走りは難しいと思われる。

これまでと同様に、グランツールではグライペルのスプリント勝利、パンチャー陣によるステージ優勝狙いやデヘントの逃げを中心に戦略を組み立てることだろう。

ただ、新加入のランブレヒトには大いに期待をしたい。

ツール・ド・ラヴニール(2.Ncup)では総合2位に入り、総合優勝したエガン・ベルナルに次ぐ登坂力を見せた逸材だ。しかも、U-23リエージュ~バストーニュ~リエージュで優勝し、ラヴニールのスプリントステージでは集団前方でフィニッシュするような地脚も持っている。U-23ロード世界選手権でも、集団をかき回すアタックを何度も決行したうえで、メイン集団内の15位でフィニッシュした。

非常に総合力が高い選手であり、個人的には2018年シーズンからネオプロになる選手のなかで最も期待を寄せている。

ロット・スーダルというチーム柄、総合系の選手として育成するのではなく、アルデンヌクラシックを勝てる選手として、フィリップ・ジルベールのような方向で育成する可能性が高いかもしれない。それでも、ベルギー人として久々にグランツールの総合上位を狙える逸材が現れたのでステージレーサーとして育成してほしいと願っている。

とはいえ、モンフォールが総合トップ10圏内を狙うことは可能であり、23歳のベノートも想像以上の登坂力を発揮していおり、グランツールレーサーとしての覚醒も期待できる。

エネコツアー(現ビンクバンクツアー)で2度の総合優勝、ツール・ド・ポローニュでも総合優勝の経験があるウェレンスは、1週間程度のステージレースではエースとして総合優勝を狙う走りをするだろう。

ツールで1000km以上逃げ、ブエルタでも逃げ切り勝利をあげたデヘントは、逃げ屋としてあらゆるレースで逃げを試みることだろう。

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「逃げは乗るものではない。作りだすものだ」とはデヘントの言葉。逃げのスペシャリストにしてエースという希少価値を生み出す唯一無二の選手だといえよう。

北のクラシックでも絶対的エースは不在

ベルギーのワールドチームとして、春のクラシックはぜひとも勝利が欲しいレースであるはずだが、北のクラシックとはあまり相性が良くない。

2017年はドワルス・ドール・フラーンデレンでベノートが7位、E3ハーレルベーケでベノートが14位、ヘント〜ウェヴェルヘムでデブシェールが7位、ロンド・ファン・フラーンデレンでガロパンが17位、パリ〜ルーベでグライペルが7位が、それぞれチーム内最高順位となっている。いまいちパッとしない成績だ。

激坂に対応できて、190cmの体格を活かせるベノートが最も期待できる選手になるだろう。2015年にはロンドで5位に入った経験もある。

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2017年シーズンはツールでの走りは素晴らしかったものの、北のクラシックシリーズでは不発に終わった印象がある。23歳の選手に過剰な期待をしていた節もあるが、2018年もやはりベノートには期待したくなる。

グライペルのパリ〜ルーベ7位は、地味に自身最高順位である。意外と毎年のようにパリ〜ルーベに出場しており、ゆくゆくはルーベでの勝利を考えているのかもしれない。ミラノ〜サンレモの方が相性が良さそうに見えるが、意外なことに自己最高順位は2014年の24位だ。

新加入のクークレールは、非常に大きな戦力補強となった。ヘント〜ウェヴェルヘムではグレッグ・ヴァンアーヴェルマートとの一騎討ちに敗れ2位だった。クラシックで最後の最後まで勝負に絡めたことは大きな自信になっただろう。

他にはデブシェール、ホフラント、マース、ワライス、バク、デブイスト、シーベルグ、フリソン、ショー、ワウテルスらは北のクラシック要員となるだろう。

連続グランツール出場記録が継続中のハンセンは、2018年ジロを完走すれば20回連続完走となる。記録はそこで打ち止めとし、短いステージレースやワンデーレースで勝利を狙う走りをしたいという意向を持っている。そのため、例年と違うスケジュールを組み、北のクラシックに出場する可能性もあるだろう。

新加入のローレンス・ナーセンは、AG2Rのオリバー・ナーセンの弟だ。身長190cmあり、弟と同じように北のクラシック向きの脚質であると思われる。

アルデンヌクラシックではウェレンスに期待

といいつつ、ロット・スーダルはアルデンヌクラシックでも好成績は残せていない。アムステルゴールドレースではベノートが15位、フレーシュ・ワロンヌではヴァネンデルトが17位、リエージュ~バストーニュ~リエージュでもヴァネンデルトが19位という結果だった。

アルデンヌクラシックではエースとして期待されていたウェレンスが奮わなかったことが原因だ。とはいえ、ウェレンスはアルデンヌクラシックと体調を崩していたツール以外では良い走りを見せており、チーム最多となる7勝をあげている。

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ペーター・サガンの1歳年下の世代の選手であり、まだまだ成長して強くなる余地はあるだろう。

ブエルタで2勝をあげたマルチンスキーには、アシストとしてだけでなく、セカンドエースとして終盤に独走に持ち込むような走りを見せてほしい。

ヴァネンデルはしぶとく終盤まで集団前方でレース展開する力はあるが、勝利は難しいかもしれない。アシストとして、エースを好位置まで引き上げる動きに期待だ。

ヴァンデルサンド、メルツもアルデンヌクラシック要員であり、例年ではデヘントも出場している。

グライペルは進退をかけたシーズンとなる可能性も

2011年にロット・スーダル(当時はオメガファルマ・ロット)に移籍してきて以来、87勝をあげているグライペル。2017年シーズンは移籍後最小の5勝しかあげることができなかった。

マーク・カヴェンディッシュやマルセル・キッテルだけでなく、ディラン・フルーネヴェーヘン、フェルナンド・ガビリア、カレイブ・ユアンなど若手スプリンターの台頭が著しく、グライペル自身2018年には36歳を迎えることもあって、これまでのように勝利増産は難しくなっている側面は確かにあるだろう。

さらに、最愛の母がALS(筋萎縮性側索硬化症)に罹患し、看病などで心労が重なっていることも原因の一つかもしれない。

それでも、グライペルのレース走行距離は15000kmを越えており、例年と変わらぬペースで走っている。シーズン終盤、秋のベルギークラシックではオムループ・ユーロメトロプールで優勝を飾った。

まだまだ戦える。だが、母のそばにいたい気持ちもグライペルのなかで大きくなっているのではないだろうか。ロット・スーダルとの契約は2018年までとなっていることもあり、2018年限りでの引退の可能性もゼロではないと思う。

ゆえに、一ついえることは、とにかくグライペルには一つでも多くの勝利を飾ってほしいということだ。

グライペルを支えるアシスト陣には、欧州TT王者に輝いたカンペナールツが加わった。トレインの先頭車両として、抜群の牽引を見せてくれることだろう。

他にはバク、マース、ハンセン、デブイストもルーラーとしてトレインに加わるだろうし、リードアウトにはデブシェール、シーベルグ、ホフラントと新加入のクークレールが担当するものと思われる。

ハンセンは、グランツール連続完走記録にこだわらないということで、これまで以上に積極的にトレインを牽く姿を見られるだろう。

シーベルグは、グライペルにとって2008年以来ずっとチームメイトであり、同い年であり、同郷のよしみだ。

ホフラントは、ハンマースプリントでポイント量産する活躍を見せており、ステージ2位に大いに貢献した選手だ。まだ26歳と若く、今後はチームのリードアウト陣の主軸を担うことになるだろう。

ベノート、ウェレンスの若手と大ベテランのグライペル

グランツール:★★☆☆☆
北のクラシック系:★★★★☆
アルデンヌクラシック系:★★★★☆
スプリント:★★★★☆

グランツールでの総合成績は期待できない。一方で、デヘントを中心とした逃げ切り狙いや各種ポイント狙い、チームの主力であるパンチャー陣によるステージ優勝狙い、そしてグライペルによるスプリント勝利がチーム戦略の主軸となるだろう。

ブエルタではチームとして4勝をあげることができ、大成功を収めた。同じことをツールでも再現したいところだ。

北のクラシックでは、やはりベノートがチームの中心となって、勝利を狙うだろう。未完の大器が華開くか注目だ。

アルデンヌクラシックでは、ウェレンスが楽しみだ。上りでの爆発力に加えて、好調時の独走力は凄まじい。全盛期のフィリップ・ジルベールを彷彿とさせる走りを期待したい。

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