※選手の脚質、役割、レビューを書いています。
フランス希望の星、ロマン・バルデをエースに据えて、総合優勝を狙うAG2R・ラモンディアル。
オリバー・ナーセンら、アタッカー陣も強力メンバーが揃っている。
AG2R、ツール出場メンバー
11,ロマン・バルデ(フランス、[get_age birth=”19901109″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆
昨年大会は総合2位と大躍進。
とはいえ、1位のクリス・フルームとのタイム差4分05秒は実力差をそのまま反映している。
上りでの爆発力は凄まじく、ライバルたちから圧倒的なリードを稼ぎ出すことも出来る。
だが、弱点のTTでそれ以上にタイムを失ってしまうことが致命的なのだ。
今シーズンに向けて、バルデはTT改善のためのトレーニングを強化したとのことだ。
今のところ、強化が結果にはつながっていない。
だが、もしツールでTTが改善されていたとしたら、大穴で総合優勝が狙えることだろう。
2015・2016年と連続でステージ優勝をあげている。
今やフランス人にとってバルデは唯一の希望だ。
待望の山岳アシスト陣も充実し、2年連続で表彰台&3年連続ステージ優勝を狙う。
12,ヤン・バークランツ(ベルギー、[get_age birth=”19860214″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆
若手登竜門レースであるツール・ド・ラヴニールを2008年に総合優勝。
期待の超新人としてプロデビューしたものの、なかなか勝てない日々が続いた。
ようやく栄光の瞬間が訪れたのは、2013年ツール・ド・フランス第2ステージだった。
終盤に単独アタックを決めて、スプリント勝利を狙う大集団をわずか1秒差で振り切っての勝利。
人生最大のビッグチャンスを物にして、さらにマイヨジョーヌまで獲得した。
レース後のインタビューでは、「人生最初で最後のマイヨ・ジョーヌかもしれないよ」言っていた。
それから4年が経ったが、今のところバークランツの言葉通りとなっている。
確かにマイヨジョーヌをもう一度着ることは非常に難しいことかもしれない。
初日に設定されやすいTTステージや、序盤のスプリントで勝てるような脚質ではないし、山岳ステージを勝ち抜く脚質でもない。
だが、あの勇気ある逃げ切り勝利を再現することは出来るはずだ。
過去を思い出のままにせず、越えていく走りをもう一度。
13,アクセル・ドモン(フランス、[get_age birth=”19900807″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆
パリ〜ニースでは山岳賞ランキング2位、クリテリウム・デュ・ドーフィネ第1ステージではメイン集団から逃げ切ってのステージ2位と、エスケープ能力が開花しつつある選手だ。
あと一歩のところを乗り越え、勝利を掴むために必要なことは力ではない。
逃げに乗り続けるガッツだけだ。
100回逃げれば1回は勝てるかもしれない。
その1回は唐突に訪れるかもしれない。
逃げとはギャンブルではなく、筋書きのないドラマなのだ。
14,マティアス・フランク(スイス、[get_age birth=”19861209″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆
解散したIAMサイクリングから移籍してきたクライマーだ。
これまでのキャリアでは、自身がエースとして出場する機会が多かった。
しかし、結果が伴ったとは言い難い成績だった。
昨年のブエルタ第17ステージでは、念願のグランツール&ワールドツアー初勝利をあげた。
だが、フランクは100%バルデのアシストに徹する覚悟を決めて移籍してきた。
今シーズン、ツール・ド・スイス総合7位でベストスイス人ライダー賞を獲得した。
突出した成績は残していないが、山岳アシストとしては十分に合格点と言える安定感のある走りを見せている。
昨年まで、バルデの山岳アシストはいないに等しかったが、今大会にはラトゥールとフランクの2枚体制で挑むことが出来る。
15,ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、[get_age birth=”19871114″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆
オールラウンドに活躍できる、タイプ的にはルーラーに近い選手だ。
もしも、バルデがマイヨジョーヌを着用する機会があれば、身長190cmのガスタウアーのような機関車役となる選手は必要不可欠だ。
というように、平坦アシストを務め、バルデの護衛が主たる任務になるだろう。
16,シリル・ゴティエ(フランス、[get_age birth=”19870926″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆
ゴティエも逃げ屋だ。
プロ通算4勝をあげているが、すべて1クラスでの勝利となっている。
ツールでの勝利は夢のまた夢なのかもしれない。
それでも、わずかな可能性にかけて逃げに乗る。
17,ピエール・ラトゥール(フランス、[get_age birth=”19931012″]歳)
逃げ:★★★☆☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆
昨シーズン、本人のあずかり知らぬところで、爆発的な知名度を獲得したフランス期待の若手オールラウンダーだ。
というのも、とあるプロ観戦者を自称するプロ解説者が、ブエルタの総合優勝予想にラトゥールの名を上げたからだ。
当然、ラトゥールは総合優勝は出来なかった。
しかし、第20ステージで勝利したのだ。
今シーズンはツール・ド・ロマンディで新人賞を獲得し、フランスTT選手権では番狂わせの優勝を果たした。
グランツールへの出場は2回目だが、バルデの貴重な山岳アシストとして活躍が大いに期待される。
18,オリバー・ナーセン(ベルギー、[get_age birth=”19900926″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★☆
新進気鋭のクラシックスペシャリスト。
昨年はブルターニュクラシック・ウエストフランスで優勝し、今シーズンはベルギーチャンピオンのタイトルを手に入れた。
春のクラシックでは、ドワルス・ドール・フラーンデレン6位、E3・ハレルベーケ3位と好成績を残している。
ロンドやパリ〜ルーベでは奮わなかったが、落車やメカトラの影響が大きかった。
さらにドーフィネのクイーンステージと謳われた第6ステージでは、逃げのリードを活かして比較的上位で山頂を通過。
総合勢と一緒にフィニッシュして、スプリンターとは思えないステージ8位だった。
まだまだ底が知れない選手だと言えよう。
このように脚質のタイプとしては、ペーター・サガンやマイケル・マシューズに近いものがある。
純粋なスプリント力では敵わなくとも、超級山岳を乗り越える脚力はナーセンだけが持っている。
難関山岳ステージでナーセンが逃げたならば、本気の逃げなのでぜひとも注目して見て欲しい。
19,アレクシス・ヴィエルモ(フランス、[get_age birth=”19880601″]歳)
逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★☆☆☆
2014年ジロ総合11位と、オールラウンダーとしてのポテンシャルを持つアタッカーだ。
2015年ツール第8ステージでは、終盤に単独アタックを決めて逃げ切り勝利を決めている。
同じように、今大会でもステージ優勝を狙ってくるだろう。
逃げに乗れずとも、バルデのアシストを務めることが出来る登坂力は持ち合わせている。
エースのバルデだけでなく、豊富なアタッカー陣にも注目
フランス国民の期待を一身に背負って、それに応える力を持つバルデの総合争いに注目だ。
本物であることを証明するために、表彰台がぜひとも狙いたいところだ。
そして、バルデを山でサポートするラトゥールとフランクの二人の働きぶりも要チェックだ。
バークランツ、ドモン、ナーセン、ヴィエルモらアタッカー陣もステージ優勝を狙ってくるに違いない。
特にブレイク中のナーセンには注目して欲しいところだ。