ロット・ソウダル出場選手一覧&レビュー【ツール・ド・フランス2017】

※選手の脚質、役割、レビューを書いています。

エーススプリンターであるアンドレ・グライペルを中心としたロット・ソウダル。
グライペルだけでなく、トーマス・デヘントらアタッカー陣にも注目だ。

ロット・ソウダル、ツール出場メンバー

131,アンドレ・グライペル(ドイツ、[get_age birth=”19820716″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★★

プロ通算140勝、ツール・ド・フランスでは通算11勝をあげているジャーマンスプリンター。
ニックネームは、ゴツい肉体とパワフルな走りから”ゴリラ”と呼ばれるようになった。
いつの間にか本人もお気に入りのニックネームとなり、先日は本人が歌い上げる『GO GORILLA』なる楽曲も発表していた。

出場したグランツールは12大会連続でステージ優勝をあげており、ツールでの目標はステージ優勝を量産することだ。

だが、世界最大のサイクルロードレース大会では、ライバルとなるスプリンターも大勢いる。
同郷のマルセル・キッテル、世界チャンピオンのペーター・サガン、アルノー・デマールやアレクサンダー・クリストフもいるし、病み上がりではあるが通算30勝のマーク・カヴェンディッシュも出場する。

この有力スプリンターの中でもグライペルは最年長である。
それでも、グライペルの勝利は大いに期待できるだろう。

昨シーズンは、ジロ・デ・イタリアでステージ3勝をあげたものの、ツール前哨戦のステルZLMツアーでは未勝利。
ツール本戦でも序盤はなかなか力強い走りが見られず、1勝もできないまま最終ステージを迎える。
相性の良いシャンゼリゼステージで見事ステージ優勝を飾り、連続ステージ優勝記録を伸ばした。

山岳コースでは、通称”グライペット”と呼ばれるグルペットを率いて、粘り強く完走を目指す。
すると不思議なことにスプリントの調子が上向くため、グライペルはツールで毎回勝利を重ねられているのだ。

13大会連続勝利を目指して、ゴー!ゴリラ!ゴーゴーゴー!

132,ラルスティング・バク(デンマーク、[get_age birth=”19800116″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★☆☆

脚質はルーラーだ。
スプリンターチームであるロット・ソウダルにとって、欠かせないトレイン構成要員である。

今シーズンは、1月のツアー・ダウンアンダーからレースに参戦しており、ジロも完走している。
ここまで8700kmもレース距離を走破した。

スタミナお化けとも言える無尽蔵な体力を活かして、グライペルのスプリント勝利に貢献する。

133,ティージ・ベヌート(ベルギー、[get_age birth=”19940311″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★★☆

底知れぬポテンシャルを持つ、将来のクラシックスペシャリストになり得る選手だ。
プロ入り後、いまだに勝利経験はないものの、ワンデークラシックでは存在感を示しており、さらにクライマー向きのステージレースでもしっかり上りをこなす姿も確認できる。

ベヌートは一体どんな選手になるのか。
見ている我々の想像のつかないところに既にいるのだ。

身長190cmの恵まれた体格が生み出すパワーが魅力の一つだ。
一方で、巨体に見合わない軽やかなヒルクライムも見せている。

今回、ツールだけでなくグランツールへの出場が初めてだ。
総合を狙うことはせず、ステージ優勝を狙う走りをすると思われる。

今度はどんな走りを見せてくれるのか。
非常に楽しみな選手だ。

134,トーマス・デヘント(ベルギー、[get_age birth=”19861106″]歳)

逃げ:★★★★★
TT力:★★★★☆
登坂力:★★★☆☆
スプリント:★★★☆☆

世界屈指の逃げのスペシャリストだ。
昨年大会では、第12ステージのモン・ヴァントゥへとフィニッシュするコースで逃げ切り勝利を飾っている。
クリス・フルームらがバイクに激突して落車してランニングした、あの日の出来事であるためか、記憶にない方も多く、不遇な人である。

今シーズンはクリテリウム・デュ・ドーフィネ第1ステージで独走逃げ切り勝利をあげた。
ステージレースの初日で逃げ切りが決まるのは、かなり珍しい結果だと言えよう。
デヘントの独走力の高さが伝わるエピソードとなった。

今大会でも狙うステージ優勝、そして昨年逃した山岳賞だろう。

135,トニー・ギャロパン(フランス、[get_age birth=”19880524″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★★☆☆

ギャロパンも魅せる走りが特徴的な、アタッカーだ。
2014年ツール第11ステージでは、劇的な逃げ切り勝利をあげている。

今シーズンエトワール・ド・ベセージュ総合2位、ボルタ・アオ・アルガルベ総合3位、パリ〜ニース総合10位とステージレースで結果を出している。
だからといって、グランツールでは総合成績は狙わない。
山をしっかり上れていることから、調子が良いと判断するのが妥当だ。
3年ぶりのツールのステージ優勝が最大の目標となる。

136,アダム・ハンセン(オーストラリア、[get_age birth=”19810311″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★★☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★☆

グランツールとは、全21日間にわたって連日レースを走り、トータルで3500kmにのぼる長距離を駆け抜ける過酷なステージレースである。
途中、休息日は2日程度だ。
ほとんど毎日レースをしていれば、体調が悪くなる日もあるし、落車などで怪我を負うこともある。
したがって、完走すること自体に価値があり、プロサイクリストとして信頼の証にもなる。

また、身体の消耗は激しく、年間に1大会走ることだけでも大きな負担である。
ましては年に2大会出場するような選手たちは、非常にタフであり、どんなチームからも重宝されるだろう。

そんななか、アダム・ハンセンは2011年のブエルタ・ア・エスパーニャから、17大会連続してグランツールに出場し、全て完走するという不滅の大記録を打ち立てている。
2012年から今に至るまで、毎年3つのグランツール全てに出場し続けているのだ。

本人は『年に3回しかレースに出なくていいから、かえって楽だし、家族との時間もたくさん取れていいね』なんて言っているが、もちろんグランツール以外のレースにも出場しているし、年間のレース走行距離は14000km以上に達する。
身体の頑強さだけでなく、風邪や胃腸のトラブルを避ける体調管理術、重大なクラッシュに巻き込まれないよう安全にロードバイクを操る技術を合わせ持つことが素晴らしい。

そして何よりもハンセンのスピードは、スプリンターチームであるロット・ソウダルにとって欠かせない要素である。
単に連続出場・完走記録を作るためだけに出場しているのではない。
エーススプリンターのためのトレインを形成する一角として、極めて重要な役割を担っているのだ。

今大会ももちろん、グライペルのために走る。
そして、また結果として18大会連続グランツール完走記録を樹立することだろう。

137,ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、[get_age birth=”19850702″]歳)

逃げ:★★★★☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★★☆☆☆
スプリント:★★★★☆

昨年はミラノ〜サンレモ3位、かつてはロンド・ファン・フラーンデレンで3位にも入ったことのあるクラシックスペシャリストだ。
ステージレースでは、グライペルの最終発射台を務めることが多い。

自身の勝利は2013年以来遠ざかっているが、グライペルのために献身的なリードアウトをしてくれるだろう。
グライペル勝利量産のためには、ルーランズの調子が大きく左右する。

138,マルセル・シーベルク(ドイツ、[get_age birth=”19820430″]歳)

逃げ:★★★☆☆
TT力:★☆☆☆☆
登坂力:★☆☆☆☆
スプリント:★★★★☆

同郷で同じ1982年生まれのグライペルとは2008年以来ずっとチームメイトだ。
そして、ずっとグライペルのためにリードアウトを担ってきた。

グライペルにとっては、世界中で最も信頼できる相棒だろう。
盟友のために、今年も全力でアシストする。

139,ティム・ウェレンス(ベルギー、[get_age birth=”19910510″]歳)

逃げ:★★★★★
TT力:★★★☆☆
登坂力:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

昨シーズンはジロで1勝、ツール・ド・ポローニュ総合優勝と飛躍の一年を過ごした。

今シーズンは、シーズン序盤のチャレンジ・マジョルカシリーズで2勝、ブエルタ・ア・アンダルシアでステージ1勝、ストラーデ・ビアンケで3位と好調な走りを見せていた。
ところが、期待されたアルデンヌクラシックでは不発に終わり、ツール・ド・スイスでも目立った活躍が出来ないままツール本戦を迎える。

脚質はクライマー系のパンチャーで、レース終盤に見せるキレ味鋭いアタックが売りの選手だ。
ツールでは、逃げに乗ったり、難関山岳ステージでの勝利を狙って走ってくることだろう。

エースのグライペルを中心に、粒揃いなアタッカー陣が勢揃い

チームの中心はグライペルだ。
平坦スプリントステージでは、チーム一丸となってグライペルの勝利をサポートするだろう。

一方で、ベヌート、ギャロパン、ウェレンス、デヘントと4名ものアタッカーもメンバーに入れてきた。
グライペルのリードアウトを担っていたイェンス・デブシェールを外してまで、アタッカー陣を増やしてきたからには、グライペル以外のステージ優勝も狙いたいという強い意思の現れではないだろうか。

うまくハマれば勝利を量産できるメンバーとなっている。

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