2016年ツール・ド・フランス総合2位に輝いたロメン・バルデがマイヨジョーヌ獲得を狙います。
そのために、マティアス・フランク、アレクサンドル・ジェニエを補強しました。
AG2R・ラモンディアル2017ロースター
ゲディミナス・バグドナス(リトアニア)
ヤン・バークランツ(ベルギー)
ロメン・バルデ(フランス)
ジュリアン・ベラール(フランス)
フランソワ・ビダール(フランス)
ミカエル・シュレル(フランス)
ベノワ・コスネフロイ(フランス)
ニコ・デンツ(ドイツ)
アクセル・ドモン(フランス)
サミュエル・ドゥムラン(フランス)
ユベール・デュポン(フランス)
ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク)
シリル・ゴティエ(フランス)
アレクシ・グジャール(フランス)
ヒューゴ・ホール(カナダ)
クエンティン・ハウレギ(フランス)
ピエール・ラトゥール(フランス)
マッテオ・モンタグティ(イタリア)
ナンス・ピータース(フランス)
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)
クリストフ・リブロン(フランス)
アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス)
・新加入選手
ルディ・バルビエ(フランス)←ルーベリール・メトロポール
ソンドレ・ホルストエンゲル(ノルウェー)←IAMサイクリング
マティアス・フランク(スイス)←IAMサイクリング
クレメント・シェブリエ(フランス)←IAMサイクリング
オリバー・ナーセン(ベルギー)←IAMサイクリング
ステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー)←エティックス・クイックステップ
ジュリアン・デュバル(フランス)←エキップシクリスト・アーミー・ド・テッレ
アレクサンドル・ジェニエ(フランス)←FDJ
・退団選手
ギュローム・ボナフォンド(フランス)→コフィディス・ソルーションクレディ(PCT、フランス)
マキシム・ダニエル(フランス)→フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト(PCT、フランス)
エティエンヌ・ファブレ(フランス)→未定
ダミアン・ゴティン(フランス)→エキップシクリスト・アーミー・ド・テッレ(CT、フランス)
ブレル・カルディ(フランス)→未定
セバスチャン・ミナール(フランス)→未定
レミ・ロシャス(フランス)→未定
セバスチャン・テュルゴー(フランス)→未定
パトリック・グレッチュ(ドイツ)→引退
ジャン=クリストフ・ペロー(フランス)→引退
エースのバルデはグランツール制覇を目指す
AG2Rのミッションはチームの絶対的エースであるロメン・バルデのグランツール制覇、もっと言えばツール・ド・フランス制覇です。フランス人であるバルデは、ツールに全てを懸けて、ツールのためのスケジュールを組んで、ツールを走ることでしょう。
2016年ツールでは総合2位で、あと一歩のところまで来ています。ここで立ちはだかるのが、チームスカイのクリス・フルームという強大な壁です。
フルームとは歴然たるTT力の差があり、バルデ個人の努力で埋めることが難しいレベルで開きがあると思います。しかし、登坂力ではフルームと互角以上に戦える力を持っています。
TTを除けば、フルームとバルデの個の力の差は小さいでしょう。しかし、チームスカイとAG2Rというチーム単位で見ると、アシストの選手層には大きな隔たりがありました。
フランク、ジェニエの獲得で山岳アシストのデプスが大きくなった
2016年のツールでは、バルデの山岳アシストはミカエル・シュレル、ヤン・バークランツ、アレクシ・ヴィエルモーズ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォの4名が活躍していました。特にシュレルは、第19ステージにおいて、バルデのステージ優勝に繋がるダウンヒルでのアタックをサポートしていました。
うまく行ったのは、この第19ステージくらいで、他のステージではスカイのアシスト陣の猛烈な牽きによって、バルデが単騎になっているシーンが何度も見られました。
山に強い選手は多く在籍してはいますが、スカイに対抗するにはまだ心もとない、というのが2016年のAG2Rでした。
そこで、マティアス・フランクとアレクサンドル・ジェニエという2人のクライマーを獲得します。
マティアス・フランクは2016年ブエルタでステージ優勝をし、2015年ツールでは総合8位に入った強力なクライマーです。ブエルタでは、度々逃げに乗って、自らアタックを仕掛けるシーンが何度も見られ、バルデにとってこれ以上ない頼もしい援軍だと言えましょう。
アレクサンドル・ジェニエもブエルタでステージ優勝を果たし、数ステージに渡って山岳賞ジャージを着ていました。2015年ジロでは総合9位に入った登りに強い選手です。
更に新加入選手では、オリバー・ナーセンにも注目です。2016年はブルターニュクラシック・ウエストフランスで逃げ切り勝利を飾りました。ワールドツアーのスプリンター向きのワンデーレースで逃げ切るタフな独走力が最大の武器です。
クライマーというよりは、パンチャーやルーラーとしての脚質を持っていますが、ある程度の登りもこなせますし、限界まで集団を牽引する力を備えています。グランツールの長丁場では様々な場面で活躍が出来る万能選手となることでしょう。
この移籍組と、シュレル、バークランツ、ヴィエルモーズ、ポッツォヴィーヴォたちに加えて、2016年ブエルタで一躍ヒーローとなったピエール・ラトゥールの存在も見逃せません。弱冠23歳ながら、ブエルタ第20ステージ優勝を果たしました。このラトゥールの成長も楽しみの一つです。
他にもブエルタで何度も逃げに乗っていたアクセル・ドモン、同じくブエルタで初のグランツール出場&完走を果たしたクエンティン・ハウレギ、ツールでバルでのアシストに徹したシリル・ゴティエ、2016年ジロ総合11位のユベール・デュポン、ベテランのクリストフ・リブロンも登坂力のある選手たちです。
元々層の厚かったクライマー陣に、フランクとジェニエの強力な2枚のカードを加え、更に厚みを増すこととなりました。
平坦はナーセンの加入があるも、全体的なデプスは変わらず
何でも出来るオリバー・ナーセンがルーラーとしてアシストする可能性は十分あります。世界選手権では、終盤の周回コースでベルギーチームのために先頭固定で牽き続けるシーンもありました。
他にはゲディミナス・バグドナス、ベン・ガスタウアー、アレクシ・グジャール、ヒューゴ・ホール、マッテオ・モンタグティなどが平坦では集団牽引を担うことでしょう。
新加入のステイン・ヴァンデンベルフも平坦に強い選手ではありますが、ここ最近はワンデーレース中心に参戦しているのでグランツールへの参加の可能性は低そうです。もし、グランツールを走ることになれば、身長199cmの巨躯を活かして、風除けの任務を担うことでしょう。
ツール2017の出場メンバー予想
ロメン・バルデ
マティアス・フランク
アレクサンドル・ジェニエ
オリバー・ナーセン
ミカエル・シュレル
ヤン・バークランツ
アレクシ・ヴィエルモーズ
ゲディミナス・バグドナス
マッテオ・モンタグティ
2016年のメンバーを踏襲しつつ、フランクとジェニエで山岳での備えは万全に。
ずば抜けたパンチャーは不在、ワンデーレースやステージ優勝するためには逃げ切りを狙う
チームで最も勝利数が多いのはサミュエル・ドゥムランです。しかし、勝利のほとんどがフランス国内の1カテゴリーのレースばかりです。ワールドツアーのワンデーレースではなかなか勝てていません。ですがチーム随一のパンチャーとして、2017年も勝利が期待されます。
次いで勝利数が多いのはクライマーであるドメニコ・ポッツォヴィーヴォです。ポッツォヴィーヴォの勝利経験は全てステージレースでのステージ優勝のみです。バルデやラトゥールの出場しないステージレースではエースを担うこともあるでしょう。
ワールドツアークラスのワンデーレースで勝利経験があるのは、新加入のオリバー・ナーセンのみです。ワンデーレースでもナーセンには大きな期待がかかります。
このようにワンデーレースで勝利を量産することは難しそうです。ステージレースでは、逃げに乗るのが得意なアタッカーが多いので、とにかく逃げまくってどうにか勝利を重ねていきたいものです。
新たにスプリンターとしてホルストエンゲルを獲得
22歳の若手スプリンターであるソンドレ・ホルストエンゲルを獲得しました。
サミュエル・ドゥムランもスプリンターに近い脚質を持っています。23歳のニコ・デンツも実績は少ないですが、スプリンターとしての期待がかかります。
多くのスプリンターが在籍していないため、トレインを組んでのスプリントは難しそうですが、ワンデーレース・ステージレース共にチャンスがあれば狙っていくというスタイルになると思います。
ホルストエンゲルの成長に期待しましょう。
狙うはツール・ド・フランスの総合優勝のみ!
ステージレース:★★★★★
ワンデーレース:★★☆☆☆
ステージ優勝:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆
まさにバルデのためのチームと言える布陣です。
フランス人悲願のツール制覇に向けて、バルデから目を離すことは出来ません。
ワンデーレースやステージレースでは、オリバー・ナーセンのアタッカーとしての活躍にも注目したいです。
個人的には色んな意味でピエール・ラトゥールにも注目しています。
・他のチームの戦力分析記事はこちら
ワールドツアーチーム一覧&全チーム戦力分析【2017年シーズン版】
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