クイックステップ・フロアーズ戦力分析!【2017年シーズン】

エティックス・クイックステップからクイックステップ・フロアーズへとチーム名が変更となり、元世界王者フィリップ・ジルベールが加入しました。

総合、ワンデー、スプリントと全てで高いレベルの選手を有し、2017年もプロトンの中心で存在感を発揮することでしょう。

クイックステップ・フロアーズ2017ロースター

ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
トム・ボーネン(ベルギー)
ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア)
ローレンス・デプルス(ベルギー)
ダビ・デラクルス(スペイン)
フェルナンド・ガヴィリア(コロンビア)
ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク)
イーリョ・ケイセ(ベルギー)
マルセル・キッテル(ドイツ)
イヴ・ランパート(ベルギー)
ダニエル・マーティン(アイルランド)
ダビデ・マルティネッリ(イタリア)
マクシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)
ファビオ・サバティーニ(イタリア)
ピーター・シェリー(ベルギー)
ゼネク・スティバル(チェコ)
ニキ・テルプストラ(オランダ)
マッテオ・トレンティン(イタリア)
ペトル・ヴァコッチ(チェコ)
ジュリアン・ヴェルモト(ベルギー)
マルティン・ヴェリトス(スロバキア)

・新加入選手

ジャック・バウアー(ニュージーランド)←キャノンデール・ドラパック
エロス・カペッキ(アスタナ)←アスタナ
レミ・カヴァーニャ(フランス)←クライン・コンスタンティア(CT、ベルギー)
エンリック・マス(スペイン)←クライン・コンスタンティア(Ct、ベルギー)
ティム・デクレルク(ベルギー)←トップスポート・フラーンデレン(PCT、ベルギー)
ドリス・デヴェイナンス(ベルギー)←IAMサイクリング
フィリップ・ジルベール(ベルギー)←BMCレーシング
マクシミリアン・シャッチマン(ドイツ)←クライン・コンスタンティア(CT、ベルギー)

・退団選手

マキシム・ブエ(フランス)→フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト(PCT、フランス)
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア)→未定
エイドリアン・コスタ(アメリカ)→アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(CT、アメリカ)
イヴァン・ガルシアコルティナ(スペイン)→バーレーン・メリダ
ニコラス・マース(ベルギー)→ロット・ソウダル
トニ・マルティン(ドイツ)→カチューシャ
ジャンニ・メールスマン(ベルギー)→フォルテュネオ・ヴィタルコンセプト(PCT、フランス)
ハミッシュ・シュレール(オーストラリア)→サイクリングアカデミーチーム(CT、イスラエル)
フランティセク・シスル(チェコ)→未定
ギュローム・ヴァンケイルスバルク(ベルギー)→ワンティ・グループゴベール(PCT、ベルギー)
ステイン・ヴァンデンベルフ(ベルギー)→AG2R
ルーカス・ヴィスニオウスキー(ポーランド)→チームスカイ

総合エースはダニエル・マーティンとボブ・ユンヘルスに期待

ダニエル・マーティンは2017年中に31歳となります。今まさに全盛期を迎えようとしている選手で、2016年ツールでは総合9位に入り、2014年ブエルタ総合7位に次ぐグランツールでの好成績を残しています。

安定して高いレベルで良い総合成績を出すようになっているので、いよいよダニエル・マーティン史上最高のシーズンを送って欲しいものです。

ボブ・ユンヘルスは2017年中に25歳となる、ヤングライダーです。2016年ジロでは総合6位&マリアビアンカを獲得しています。高いTT力も持ち合わせていて、登坂力に更に磨きがかかればグランツールの頂点を狙うことも不可能ではない逸材です。

基本的には、この2人が総合エースとなり、場合によってはジャンルーカ・ブランビッラ、ジュリアン・アラフィリップ、ダビ・デラクルスらがリーダーとなる場合もあるかもしれません。

クライマーにはエロス・カペッキを補強

アスタナで、ヴィンチェンツォ・ニーバリのジロ総合優勝を支えたクライマーのエロス・カペッキが新加入しました。ドメスティークな走りが出来る山に強い選手の加入により、山岳アシストの選手層に厚みが増えました。

ブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝し、マイヨロホにも袖を通し、最終的に総合7位でフィニッシュしたダビ・デラクルスは、マーティン、ユンヘルスにとって最も強力な山岳アシストとなることでしょう。

ジロとブエルタでそれぞれステージ1勝ずつ飾り、ジロではマリアローザを着用したジャンルーカ・ブランビッラも強力な選手です。純粋な登坂力ではデラクルスの方が上でしょうが、逃げに乗るのがうまく瞬発力の高い選手です。

そして、当サイトイチオシのジュリアン・アラフィリップもクライマーとしての素質は十分にあります。ツアー・オブ・カリフォルニア総合優勝しながら、ロード欧州選手権で2位に入るスプリント力を持っている夢のある選手です。

ドリス・デヴェイナンス、ローレンス・デプルス、ジャック・バウアー、ゼネク・スティバル、ピーター・シェリー、マルティン・ヴェリトスはクライマーとは言えませんが、ある程度登坂力を持った選手で山岳ステージでの色々なアシスト任務をしっかりこなせる選手たちでしょう。

新加入したエンリック・マスは2カテゴリーのステージレースで総合上位に何度も食い込む選手で、クライマーとしての能力が高いのではないかと思われます。2017年に22歳となる若い選手なので、今後に期待です。

潤沢な人数を揃えているわけではありませんが、クライマーと呼ばれる選手たちのレベルは非常に高くなっています。

トニ・マルティンの穴は埋めることは出来なかったが、高い平坦巡航力を持った選手は健在

平坦アシスト、特にルーラーとしてトニ・マルティンが抜けた穴は非常に大きいです。マルティン一人いれば、ルーラー3人分くらいに匹敵する仕事をこなせる強力な選手だっただけに、そもそも代わりとなる選手はチームスカイのヴァシル・キリエンカと引退したファビアン・カンチェラーラくらいなものでしょう。

2016年シーズンに引き続き、イーリョ・ケイセ、イヴ・ランパート、ニキ・テルプストラ、ジュリアン・ヴェルモトたちが集団の先頭を引き続けるシーンが度々見られることでしょう。

という風に1行で済ませたくないくらい、この4人の牽きも非常に強力なので、マルティンが抜けた穴は大きいですが、依然として高い集団コントロール力を持ったチームであることに違いありません。

新しく獲得したレミ・カヴァーニャとマクシミリアン・シャッチマンは、TTスペシャリストとして期待がかかる選手たちです。カヴァーニャはフランク国内U-23ロードTTのチャンピオンで、シャッチマンはロード世界選手権U-23ロード個人TT2位・ドイツ国内U-23ロードTT優勝という実績を持っています。それぞれ21歳・22歳と若く、将来が楽しみな選手たちです。平坦のスペシャリストたちが多く所属するクイックステップで走りに磨きがかかることでしょう。

ベルギーチームらしい目を見張るものがある粒ぞろいパンチャー、クラシックスペシャリストたち

ワンデーレースやステージレースのステージ優勝を狙う選手としては、やはりBMCレーシングから移籍のフィリップ・ジルベールが、クイックステップの中心選手となることは間違いありません。

あまりにも勝ちすぎて、手がつけられなかった2011年シーズンは地元ベルギー登録のオメガファルマ・ロットに在籍していました。そのシーズン以来6年ぶりに再びベルギーチームへ復帰しました。またあの頃の強いジルベールが見られることを願いたいです。

トム・ボーネンにとっては、2017年がラストイヤーで、パリ〜ルーベを持って引退すると表明しています。2012年はヘント・ウェヴェルヘム、ツール・デ・フランドル、パリ〜ルーベと北のクラシック3連勝を飾るなど、石畳系のレースで抜群の強さを発揮しています。現役最後のルーベで是非とも有終の美を飾って欲しいです。

ジュリアン・アラフィリップもパンチャーとして覚醒が期待される選手の一人です。ステージレースの総合上位を狙える選手でもありますが、ピーター・サガンに真っ向から勝負を挑む選手になってほしいと思います。2015年のリエージュ~バストーニュ~リエージュで2位に入ったので、春のクラシックでの好成績が期待されます。

ダニエル・マーティンもパンチャーとしての力を持った選手で、イル・ロンバルディアやリエージュ~バストーニュ~リエージュでの優勝経験があります。

ゼネク・スティバル、ニキ・テルプストラもパリ〜ルーベを得意とする選手です。ボーネンと共にトリプルエースのような形で、サバイバルレースを生き抜く作戦を取るのではないかと思います。

マッテオ・トレンティン、ペトル・ヴァコッチも優秀なアタッカーで、ワンデーレースでの勝利が期待できます。

クイックステップは絶対的エーススプリンターのキッテルのためのチームでもある

クイックステップ最大のミッションは、マルセル・キッテルでどれだけ多くの勝ちをあげることが出来るかだと思います。

マーク・カヴェンディッシュ、アンドレ・グライペル、アレクサンダー・クリストフ、ピーター・サガンと歴史に名を残すような最強スプリンターが集い、いまやスプリンター戦国時代と言える激戦の様相を呈しています。

更にもう一人世界レベルのスプリンターとして、フェルナンド・ガヴィリアがいます。弱冠22歳ながら、世界選手権の前哨戦となったパリ〜トゥールで優勝しました。

キッテルが絶対的エースで、ガヴィリアもエースを担える選手です。

マッテオ・トレンティンもスプリント力の高い選手ですが、パンチャー寄りな脚質を持っているので、逃げに乗って少人数でのスプリントで勝ちを狙う選手と言えましょう。

ファビオ・サバティーニはキッテルの頼もしい相棒で、最強の発射台です。サバティーニの猛烈な牽きによって、キッテルを好位置に引き上げてから発射するシーンは、何度も見られました。

マクシミリアーノ・リケーゼ、イヴ・ランパートらもクイックステップトレインを形成するための重要な選手たちです。

全ての分野で強力な選手を揃え、選手層の厚さは世界一か

ステージレース:★★★★☆
ワンデーレース:★★★★★
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★★★★

グランツールの総合優勝は厳しいのかもしれませんが、表彰台は十分狙える力はあります。

ワンデーレースではジルベール、アラフィリップ、ダニエル・マーティンに期待がかかります。トム・ボーネンの引退レースになるパリ〜ルーベは見逃せませんキッテルのスプリントは確実な勝ちが期待出来ます。

個人的には、ヴァコッチがステージ逃げ切り優勝を飾るようなシーンが見たいです。

トニ・マルティンが抜けたことで、ロード世界選手権チームTTで優勝したようなチームTTの力は失われたかもしれません。それでも、全てのジャンルのレースで上位成績が見込める屈指の戦力が揃った世界最強チームの一つであると言えましょう。

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