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チームスカイ戦力分析!【2017年シーズン】

2017/01/10

ツール・ド・フランス3連覇を狙うクリス・フルーム擁するチームスカイの戦力分析です。

ニコラス・ロッシュ、レオポルド・ケーニッヒの抜けた穴をディエゴ・ローザ、ケニー・エリッソンドで埋め、巨大戦力は維持しています。

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チームスカイ2017ロースター

イアン・ボズウェル(アメリカ)
フィリップ・ダイグナン(アイルランド)
オウェイン・ドゥール(イギリス)
クリス・フルーム(イギリス)
ミカエル・ゴラス(ポーランド)
セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)
セバスチャン・エナオ(コロンビア)
ベナト・インサウスティ(スペイン)
ピーター・ケノー(イギリス)
ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)
クリスチャン・クネース(ドイツ)
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド)
ミケル・ランダ(スペイン)
ダビ・ロペスガルシア(スペイン)
ジャンニ・モスコン(イタリア)
ミケル・ニエベ(スペイン)
ワウト・ポエルス(オランダ)
ルーク・ロウ(イギリス)
イアン・スタナード(イギリス)
ゲラント・トーマス(イギリス)
ダニー・ファンポッペル(オランダ)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)

・新加入選手

ケニー・エリッソンド(フランス)←FDJ
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)←アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン
ディエゴ・ローザ(イタリア)←アスタナ
ルカ・ヴィスニオウスキー(ポーランド)←エティックス・クイックステップ
ジョナサン・ディベン(イギリス)←キャノンデール・ドラパック

・退団選手

アンドリュー・フェン(イギリス)→アクアブルースポーツ(PCT、アイルランド)
レオポルド・ケーニッヒ(チェコ)→ボーラ・ハンスグローエ
ラルスペター・ノードハウグ(ノルウェー)→アクアブルースポーツ(PCT、アイルランド)
サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア)→未定
ニコラス・ロッシュ(アイルランド)→BMCレーシング
ベン・スウィフト(イギリス)→プロジェクトTJスポーツ
シャビエル・ザンディオ(スペイン)→引退
アレックス・ピータース(イギリス)→SEGレーシングアカデミー(CT、オランダ)

クリス・フルームのツール・ド・フランス3連覇なるか

2016年のツール・ド・フランスは、フルーム自身の圧倒的な走りに加え、チームスカイの鉄壁のアシスト陣に守られて、危なげなく2連覇を果たしました。

フルーム最大の武器は何と言ってもタイムトライアルでしょう。ナイロ・キンタナ、ロメン・バルデと言った総合上位を狙う選手たちは、フルームとのタイム差をどれだけ少なく留めることが出来るかどうかが勝負になっていて、タイムトライアルでフルームからタイムを奪うという発想には至っていないのが現状です。ライバルたちは、常にTTでフルームからタイムを失う前提でステージレースを走ることを強いられます。

TTでフルームを逆転することは絶望的と言ってもいいので、通常のステージでフルームからタイムを奪わないことには、フルームより上位に行くことが出来ません。だからこそ、フルームより先に仕掛けるしかない状況となりやすいです。

ところが、フルーム得意のペース走行に加え、鉄壁のアシスト陣の高速牽引によって、そもそもライバルチームによる攻撃を許さない状況を作り出します。ライバルたちは、フルームから遅れないように守りの走りをすることになります。

すると今度はフルーム自ら、『宇宙レベル』と称されたトップチューブに座りながらのペダルを回すダウンヒルでアタックしたり、平坦ステージでマイヨヴェールのピーター・サガンと協調してアタックするなど、逆にライバルたちに攻撃を仕掛けてリードを築きました。

タイムトライアルではどうにも敵わない、通常のステージでは鉄壁のアシストに守られたフルームに全く手出し出来ない、手をこまねいていると逆にフルームに仕掛けられタイムを奪われる。という、どうしようもない状況が続いたのが、2016年のツール・ド・フランスでした。

このツールでのフルームを構成する要素が、2017年も全て健在です。やはり王者フルームに死角は無いのでしょうか。

しかし、2017年のツールは、フルームが得意のペース走行を妨げる激坂が登場すること、タイムトライアルの距離が短いことはライバルたちにとって朗報と言えましょう。

2016年のような大差にはならず、僅差の総合争いが繰り広げられることと思います。それでも、王者フルームの優位は揺るがないと、わたしは見ています。

ロッシュとケーニッヒの移籍は痛いが、鉄壁のアシストは健在

2016年ツールに出場した

クリス・フルーム
ゲラント・トーマス
ワウト・ポエルス
ミケル・ランダ
ミケル・ニエベ
セルジオルイス・エナオモントーヤ
イアン・スタナード
ルーク・ロウ
ヴァシル・キリエンカ

は、全員2017年も在籍しています。同じメンバーでフルームの総合3連覇を狙うことが可能なのです。

ゲラント・トーマスは、フルームと2008年のバルロワールド時代からずっとチームメイトです。ツール第19ステージでは、落車してバイクが壊れたフルームに、自身のバイクを即座に差し出すことが出来て、他のライバルたちに遅れることなくフィニッシュすることが出来ました。このように基本的にはフルームの側で走ることが多く、まさに側近のような存在です。

ワウト・ポエルスが、2016年のフルームのツール2連覇に最も貢献したMVPアシストと言えるクライマーです。山岳でポエルスが牽き始めると、あまりのスピードに他のチームは身動き取れない状況に追い込まれていました。リエージュ~バストーニュ~リエージュを制した単独でも非常に力のある選手で、2019年まで契約を延長していることからも、チームから最も信頼の置かれている選手だということがわかります。

ミケル・ランダは2015年ジロ総合3位に入るほどの力を持っている選手で、ミケル・ニエベはTTが遅いことを除けば安定してグランツールで総合10位前後で走ることの出来る選手です。

そして、セルジオルイス・エナオモントーヤはコロンビア人選手らしく、自分から積極的に仕掛けていくことの出来るクライマーです。山岳でチームスカイから仕掛けるときは、だいたいエナオモントーヤのアタックが皮切りになるケースが多いです。

ここで挙げた5名のアシスト選手は、他のチームに行けば第一エースとして迎え入れられても不思議ではない選手たちです。

2016年までは、この選手たちに加えてニコラス・ロッシュとレオポルド・ケーニッヒまで在籍していました。

ロッシュはジロ・デ・イタリアに、ケーニッヒはブエルタ・ア・エスパーニャに出場していました。この2人が移籍したことで、ツール以外のグランツールの戦力低下は避けられないと思っていたところで、立て続けに強力なクライマーの獲得に成功しました。

ディエゴ・ローザとケニー・エリッソンドです。

ローザは、ヴィンチェンツォ・ニーバリに次ぐアスタナの主力レーサーと言っても過言ではありませんでした。イル・ロンバルディア2位という成績が光ります。

エリッソンドは、ブエルタでわずか1pt差で山岳賞ジャージを逃しましたが、高い登坂能力を世界に示しました。

新たに二人のクライマーを加え、フルームがダブルツールを狙った際にもアシスト出来る選手はしっかり揃えて来ました。

他に移籍してきた選手では、タオ・ゲオゲガンハートはイギリス期待の若手クライマーです。2016年は国内U-23ロードチャンピオンに輝き、ステージレースを中心に好成績を収めています。若手登竜門のツール・ド・ラブニールでは総合6位でした。

2017年に22歳になる非常に将来有望な選手であり、母国の大先輩であるフルームの側で大いなる成長が期待されます。

他にもオウェイン・ドゥールも若手イギリス人クライマーとしての期待がかかり、ベナト・インサウスティはベテランの域に差し掛かりますが実績十分で2017年は復活の期待がかかります。

ブエルタでマイヨロホを着用したピーター・ケノー、コロンビア人クライマーのセバスチャン・エナオ、大ベテランのダビ・ロペスガルシアも控えています。

2チーム同時に出場することが出来るほどの、クライマーの充実ぶりは全チーム中No.1と言っていいでしょう。

チームスカイが鉄壁と言われる最大の理由は平坦スペシャリストの存在にあり

華々しいクライマーたちに比べて、ルーラーの仕事は地味で目立たないです。しかし、近年レースの高速化が著しい中で、ルーラーの戦力の差が勝敗の差を分けるほどに、極めて重要な役割を持つようになってきました。

チームスカイはイアン・スタナード、ルーク・ロウ、ヴァシル・キリエンカの3名のルーラーとしての力は、そのまま世界トップ3と言いたくなるほど強力です。世界トップ3が言い過ぎでも、トップ10には入ることでしょう。

2016年ツールでは、3週間という長丁場にもかかわらず、平坦の牽引はほとんどこの3人で回していました。

個人成績を見ても、イアン・スタナードはE3ハーレルベルケ3位・パリ〜ルーベ3位、ルーク・ロウはツール・デ・フランドル5位・パリ〜ルーベ14位、ヴァシル・キリエンカは世界選手権TT2位と、モニュメントや世界選などの重要なレースで好成績を残しています。

ブエルタでは、イアン・ボズウェル、ミカル・ゴラス、クリスチャン・クネースらがルーラーとしての役割を果たしました。

新加入のルカ・ヴィスニオウスキーは身長190cm・体重74kgの大型選手で、クラシックスペシャリストやルーラーとしての脚質を持っていると思われます。

全てはフルームのツール連覇のために、平坦スペシャリストの層も厚いです。

パンチャーでは、クヴィアトコウスキーとモスコンに期待がかかる

元世界チャンピオンのミカル・クヴィアトコウスキーには、パンチャーとして重要なクラシックレースの勝利を狙うことでしょう。2014年に世界チャンピオンになり、2015年はアムステルゴールドレースを制し、2016年からチームスカイに移籍してE3ハーレルベルケを制しました。

一説によると、フルームの宇宙ダウンヒルはクヴィアトコウスキーとのトレーニングの中で生み出されたと言われています。ダウンヒルで攻撃を仕掛けるという、最近のトレンドにマッチした選手でもあるため、グランツールでのアシストも非常に強力です。

イタリア人のジャンニ・モスコンは2017年に23歳となる若手選手です。2016年シーズンはアークティックレース・オブ・ノルウェー総合優勝、GPモントリオール6位という成績を残し、登りもこなせるパンチャー的な活躍を果たしています。一皮向けたら、ピーター・サガンのような面白い選手になるのではないかと個人的に注目しています。

リエージュ~バストーニュ~リエージュ優勝のワウト・ポエルス、イル・ロンバルディア2位のディエゴ・ローザも、クラシックレースではエース格として出場することになるでしょう。

フルーム以外の選手でもUCIポイントを稼くことが出来れば、モビスターのワールドツアー総合優勝連覇を阻むことも可能です。

エーススプリンターはヴィヴィアーニ、ファンポッペル

ベン・スウィフトが移籍してしまったため、エリア・ヴィヴィアーニがエーススプリンターという扱いになると思います。

ブエルタ・ア・ブルゴスでステージ2勝した23歳のダニー・ファンポッペルにも期待がかかります。

しかし、この2人をサポートするスプリンターはほとんどいません。あくまでステージレースでのオプションという扱いになってしまうのではないかと思います。

フルーム3連覇に向け、戦力は十分

ステージレース:★★★★★
ワンデーレース:★★★★☆
ステージ優勝:★★★★★
スプリント:★★☆☆☆

数名の重要な選手が移籍したとはいえ、巨大戦力は維持しています。やはりツール・ド・フランス総合優勝の最有力候補であることは変わらないでしょう。

もはや誰が出場し、誰が外れてしまうのか、というメンバー人選に注目が集まってしまうと思います。

ワンデーレースでも勝ちが期待出来る選手も集まっているため、年間を通してチームスカイの黒いジャージを集団の先頭で見かけることになるでしょう。

・他のチームの戦力分析記事はこちら

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