ファビアン・カンチェラーラが引退し、アルベルト・コンタドールが加入したトレック・セガフレードの戦力分析をしてみました。
2017年シーズンはグランツール制覇に照準を合わせた布陣となっています。
トレック・セガフレード2017年ロースター
エウジェニオ・アラファチ(イタリア)
別府史之(日本)
ジュリアン・ベルナール(フランス)
マルコ・コールダン(イタリア)
ローラン・ディディエ(ルクセンブルク)
ファビオ・フェリーネ(イタリア)
マルケル・イリサール(スペイン)
バウケ・モレマ(オランダ)
ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)
マッズ・ペダーソン(デンマーク)
グレゴリー・ラスト(スイス)
キール・レイネン(アメリカ)
ピーター・ステティナ(アメリカ)
ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー)
エドワード・トインズ(ベルギー)
ボーイ・ファンポッペル(オランダ)
アイマル・スベルディア(スペイン)
・新加入選手
アルベルト・コンタドール(スペイン)←ティンコフ
ヘスス・エルナンデス(スペイン)←ティンコフ
ミカエル・ゴグル(オーストリア)←ティンコフ
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)←ジャイアント・アルペシン
クーン・デコルト(オランダ)←ジャイアント・アルペシン
ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)←IAMサイクリング
マティアス・ブランドル(オーストリア)←IAMサイクリング
アンドレ・カルドソ(ポルトガル)←キャノンデール・ドラパック
グレゴリー・ダニエル(アメリカ)←アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(CT、アメリカ)
ルーベン・ゲレーロ(ポルトガル)←アクセオン・ハーゲンズ・ベルマン(CT、アメリカ)
・退団選手
ピート・アルレガールト(ベルギー)→スポート・フラーンデレン・バロワーズ(PCT、ベルギー)
ジュリアン・アレドンド(コロンビア)→NIPPOヴィーニファンティーニ(PCT、イタリア)
リカルド・ゾイドル(オーストリア)→チーム・フェルベルメイヤー(CT、オーストリア)
ステイン・デヴォルデル(ベルギー)→ヴェランダス・ウィレムス(PCT、ベルギー)
ジャコッポ・モスカ(イタリア)→未定
ホセルイス・ロドリゲス(チリ)→未定
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)→引退
ジャック・ボブリッジ(オーストラリア)→引退
ライダー・ヘシェダル(カナダ)→引退
ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)→引退
フランク・シュレク(ルクセンブルク)→引退
二大エース・コンタドールとモレマでグランツールの頂点を狙う
2016年シーズンのビッグニュースの一つが、アルベルト・コンタドールの現役続行宣言に続いて、トレック・セガフレードへの移籍を決めたことでしょう。
元々、総合リーダーとしてバウケ・モレマが在籍していました。他にも総合を狙える選手として、ライダー・ヘシェダル(カナダ)とフランク・シュレク(ルクセンブルク)がいましたが、共に2016年シーズン限りでの引退を決めました。
2016年シーズンのトレック・セガフレードのグランツールでの成績は、ツール・ド・フランスでのモレマの総合11位が最高順位で、ジロとブエルタでは総合成績は惨敗でした。
コンタドールの獲得は、2017年シーズンのステージレースで好成績を残すための、最もクリティカルな補強だったと言えます。
トレック・セガフレードとしては、前身のレディオシャック時代の2013年に、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝したクリス・ホーナー以来のグランツール制覇を狙ってくるに違いありません。
コンタドール獲得に伴い山岳アシストを充実させた
コンタドールと共に移籍してきたゴグルとエルナンデスは、コンタドールの忠実な山岳アシストです。特にゴグルは23歳と若く、グランツール初出場となったブエルタでも存在感のあるアシストをしていました。
2016年のツールのスーパー敢闘賞クラスの活躍をしたパンタノの獲得も大きいです。登りだけでなく、ダウンヒラーとしての実力も発揮して、まさに山岳でのアシストには期待が持てます。
22歳ながら、アメリカチャンピオンとなったグレゴリー・ダニエルにも注目です。近年、グランツールの上位ではパッタリと姿を見なくなった、アメリカ人総合ライダーとしての成長を見守りつつも、2017年シーズンにはグランツールデビューを果たして欲しいなと思います。
キャノンデールから移籍してきたカルドソも、実力あるクライマーです。過去7度出場したグランツールはいずれも総合20位前後で完走しています。
ドイツのプロコンチネンタルチームであるシュテルティング・サービスグループから移籍した、20歳のペダーソンにも注目です。2.HCクラスのツアー・オブ・ノルウェーでステージ優勝&山岳賞を獲得した伸び盛りの選手です。
更に元々所属していたステティナ、スベルディア、ディディエ、ベルナール、アラファチなども十分に山で仕事が出来る選手たちです。
総合を取るために、クライマーを補強したとしか見えないほどの、山岳アシストの充実ぶりに目を見張ります。
カンチェラーラ引退に伴う強力なルーラーの穴を埋める
解散したIAMサイクリングから獲得したブランドルは、TTスペシャリストです。オーストリア国内選手権のロードとTT両方の王者です。カンチェラーラに変わるグランツールでの機関車役が期待されます。
引き続き、別府史之、ラスト、イリサール、ストゥイヴェンらも健在です。
我らが別府史之は、グランツールでは貴重な平坦アシストとして、持ち前のスピードを活かしてくれることでしょう。
とあるグランツールの出場メンバー構成例
アルベルト・コンタドール
バウケ・モレマ
ヘスス・エルナンデス
ミカエル・ゴグル
アイマル・スベルディア
ヤルリンソン・パンタノ
別府史之
マルケル・イリサール
マティアス・ブランドル
スプリントは完全に捨てて、総合一本に絞った場合は、豊富な山岳アシストを全投入して、平坦は別府・イリサール・ブランドルの3枚で回すと予想します。
モレマはダブルエース体制ながらも、基本的にはコンタドールのアシストに回るのではないかなと思います。
もう一人のエース、デゲンコルブでワンデークラシックの勝利を狙う
コンタドールだけでなく、ジョン・デゲンコルブという稀代のクラシックレーサーの獲得にも成功しています。
2015年のミラノ〜サンレモ、パリ〜ルーベの覇者です。しかし、2016年シーズン初頭に、トレーニング中の交通事故により、選手生命が危ぶまれるほどの重傷を負いました。レース復帰後は事故以前のスピードが戻らず、苦戦を強いられていましたが、シーズンが進むに連れ持ち前の爆発力も発揮されてきました。
8月のアークティックレース・オブ・ノルウェーで復帰後初勝利をあげ、世界選手権ではベルギー人選手に水をぶっかけるほどの闘志も蘇っています笑
2017年シーズンは、デゲンコルブ本来の走りを期待して大丈夫でしょう!
とりわけ得意にしている春のスプリンタークラシックと石畳のクラシックには、トレック・セガフレードとしても力を入れてくることでしょう。
石畳職人とも言えるラストと、同じく春のクラシックレースを得意としているストゥイヴェンやトインズの存在は大きいです。別府史之も『パリ〜ルーベは特別なレース』と語っていたこともあり、思い入れのあることでしょう。
他のワンデーレースやステージレースのステージ勝利も十分に狙えるメンバーが揃っています。
2016年のブエルタでマイヨ・プントスを獲得したフェリーネにはさらなる飛躍が期待されます。
そして、ストゥイヴェンは24歳と若く、将来はクラシックレースのエースになるポテンシャルを持っていると思います。2016年シーズン後半の世界選手権やジャパンカップでの好調な走りを見ていると、大きな期待を寄せたくなります。個人的にも大注目している選手の一人なので、動向をチェックし続けたいと思います。
スプリンターはニッツォーロがエースか
2016年シーズンに急成長を遂げ、勝利を量産したニッツォーロが、エーススプリンターを務めることでしょう。
世界選手権で5位に入る実力を示し、チームにとって貴重なスプリンターとしてスプリントレースでの活躍が期待されます。
ニッツォーロを支えるアシストとして、ジャイアント・アルペシンからデコルトを獲得しました。
もちろん、デゲンコルブもエーススプリンターとして十分な力を持った選手であります。トインズもツールではキレ味のあるスプリントを度々見せていました。ファンポッペルもスプリント力の高い選手です。
このように、スプリンターも多く揃えていて、十分勝利が狙える布陣となっています。
2017年はトレック旋風を巻き起こすことが出来るか
ステージレース:★★★★☆
ワンデーレース:★★★★★
ステージ優勝:★★★★☆
スプリント:★★★★☆
総合・ワンデーレース・スプリントと、全てにおいて高いレベルで戦力を揃えているトレック・セガフレードは2017年シーズンの台風の目となることでしょう。
カンチェラーラ、ヘシェダル、フランク・シュレクの引退を感じさせない、戦力の充実ぶりにトレックの本気度を感じます。
個人的にも好きな選手が多くいるチームなので、肩入れしたい気持ちも強いですが笑
シーズン序盤はデゲンコルブ、ストゥイヴェンらに注目し、ステージレースが始まる頃にはコンタドールの仕上がりをチェックしながら、エースたちをアシストする別府の仕事ぶりに熱視線を送っていきましょう!
・他のチームの戦力分析記事はこちら
ワールドツアーチーム一覧&全チーム戦力分析【2017年シーズン版】
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初めまして、北海道でロード生活5年目のAki と申します。
初めてのロードバイクがTREK なので、やはりTREKの応援に熱が入ります(笑)
カンチェラーラやシュレクは大好きな選手で、引退は本当に残念ですが、コンタドールとデゲンコルプの加入に来年を思いついつい口元が緩みます。
今年のツールで、雨のダウンヒルで落車を喫したモレマに肩を落とし、シングルエースの難しさに空しささえ感じました。
同じく、必勝を期して臨んだはずのコンタドールも不本意なリタイアを喫して、来年は心機一転グランツール制覇を並々ならぬ決意で迎えるでしょう。
そして、カンチェラーラの後をデゲンコルプと言う、希代のクラシックハンターがクラシックを盛り上がてくれるはず!
個人的にはパンタノとデコルトに注目してます。
勿論フミは別格です(笑)
来年のTREK期待大です。
初めてでいきなりの長文失礼しました。
これからも、blog楽しみに見させていただきます!
Akiさん
コメントありがとうございます♪
わたしも初めてのロードバイクはTREKでした!
モレマは、今年のツールは総合2位もあっただけに惜しいし悔しいですよね…。
誠実で素敵な男なだけに、是非ともグランツールの表彰台に登って欲しい選手の一人です。
コンタドールの加入は本当に楽しみですね!初めてグランツールを制した時もTREKのバイクだったはずですし、原点回帰となるでしょうか。
ステージレースだけでなく、ワンデーレースも大いなる期待が持てますし、本当に楽しみなチームです。
フミもドサクサに紛れてステージとって欲しいです!笑
今後ともよろしくお願いします♪