62kmもの未舗装路が登場する珍しいワンデーレースである「ストラーデ・ビアンケ」に出場する有力選手をプレビューしたいと思う。
コースプレビューについては、以下の記事を参照していただきたい。
スタートリストの番号順に、気になる選手をひたすらピックアップしていく。
ストラーデ・ビアンケ2017の有力選手
ヤン・バークランツ(ベルギー、AG2R)
注目度:★☆☆☆☆
2016年は29位。
あまり特筆した成績ではないが、逃げがハマった時の独走力はピカイチ。
ダークホース的な存在として、上位を狙いたい。
ライバルたちはバークランツを中終盤に逃がしてはいけない。
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
注目度:★★☆☆☆
2013年大会以来の参戦。
前回はトップから27秒差の20位でフィニッシュしている。
完全にクライマータイプの選手なので、登りはしっかりこなせると思うがフィニッシュ前のパンチ力には物足りなさを感じる。
上位集団でフィニッシュする力は十分に持っている。
モレーノ・モゼール(イタリア、アスタナ)
注目度:★☆☆☆☆
2013年大会の優勝者。
サガン、カンチェラーラ、ヴァンアーヴェルマートらを下しての価値ある勝利だった。
登坂力もあり、スプリント力もある、万能型の選手だ。
今季はここまで、トロフェオ・ライグエイリア途中リタイア、ボルタ・アオ・アルガルベ総合43位と目立った活躍はない。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
注目度:★★☆☆☆
2016年大会でトップから2分2秒遅れの15位でフィニッシュ。
ニーバリの登坂力をもってしても、トップ集団からは遅れてしまう激しいレースであることがうかがい知れる。
だが、バーレーン・メリダはニーバリがエースと名言している。
調整目的である要素が強いと思われるが、総合力の高い選手なだけにひと波乱巻き起こせるか注目。
フレフ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
注目度:★★★★★
2011年以降、出場5回中すべてのレースで一桁順位でフィニッシュしている。
最高順位は2015年の2位。
スティバルとの一騎打ちに敗れ、2秒遅れでフィニッシュしている。
今シーズンはオムループ・ヘット・ニュースブラッドで優勝し、調子はかなり上向きと言えるようだ。
また、BMCレーシングの出場メンバーは、クラシックスペシャリストが揃っている。
ルーラーとしては、ブレント・ブックウォルター、ジャン=ピエール・ドラッカー、ステフェン・キュング、ダニエル・オス、マヌエル・クインツィアートと5名を揃えて、献身的なアシストが期待できる。
ダミアーノ・カルーゾ、ベン・ヘルマンスと登りに強い選手もいるため、全局面でヴァンアーヴェルマートのための動きが可能だ。
オムループの翌日のクールネ〜ブリュッセル〜クールネでは、このアシスト陣が揃っていても、先頭集団に追いつくことが出来なかったので、絶対に安心できるとは言えないが。
ペーター・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
注目度:★★★★★
2013・2014年と連続で2位に入ったことがある。
昨年はトップから13秒差の4位だった。
オムループ2位の翌日は、クールネで今季初勝利をあげている。
狙うは再来週に控えるミラノ〜サンレモが大本命ではある。
しかし、サガンの性格上、出場するからには最善を尽くし、優勝を狙ってくるに違いない。
サガンはレースの動きを察知して、適切なポジションに移動する力・感覚が抜群に冴えているライダーで、たとえアシストの働きが無くとも、気付けば先頭集団にいるようなタイプだ。
とはいえ、ボーラのアシスト陣もなかなか豪華だ。
マチェイ・ボドナール、マルクス・ブルグハート、そして個人的に注目しているジェイ・マッカーシーがサガンを支えてくれるだろう。
リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
注目度:★★★☆☆
エティックス・クイックステップ時代に参戦した2015年大会では、優勝した同僚のスティバルから59秒遅れの7位でフィニッシュしている。
今シーズンから総合成績を狙うことはやめて、ワンデーレースやステージ優勝に注力するスタイルに変えている。
ストラーデ・ビアンケが、今季最初のワンデーレースであり、
新たなウランの姿が見ることができるのか、とても注目である。
セプ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック)
注目度:★★★★★
2015年、トップから46秒差の4位でフィニッシュしている。
未だにワールドツアーでの勝利経験がない、無冠の帝王と化している。
どれだけ調子が良いレースでも、サガンかヴァンアーヴェルマートが立ちはだかる。
今季から加入したキャノンデールで、心機一転初ワールドツアー勝利を狙ってほしいところだ。
ティージ・ベヌート(ベルギー、ロット・ソウダル)
注目度:★★★★☆
2016年大会は、トップから41秒遅れの8位だった。
まだプロで1勝もしていないライダーだが、個人的には近い将来に間違いなくベルギーを代表するクラシックレーサーになると確信している超有望選手だ。
身長190cmの体格にも関わらず、クライマー並の登坂力と、2016年オムループ3位・2016年E3ハレルベーケ7位に入るようなクラシックスペシャリストとしての脚質を合わせ持つ、稀有な選手だ。
今シーズンは、オムループでは落車に巻き込まれ機を逸したが、翌日のクールネでは先頭集団で争い3位表彰台を獲得している。
まだ22歳なので、これからの成長にも十分期待できる、本当に楽しみな選手なのだ。
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、オリカ・スコット)
注目度:★★★☆☆
2012年6位、2013年5位、2015年11位と比較的相性の良いレースとなっている。
今季からオリカ・スコットに加入し、初戦となったアブダビツアーでは、カレブ・ユアンのために集団牽引を担うシーンも見られた。
ストラーデ・ビアンケでは、メンバー内で最も登れる選手であるため、エースが託されることが濃厚と思われる。
クロイツィゲルに期待されることは、ツール・ド・フランスでエステバン・チャベスを献身的にサポートすること。
ツールまで、まだ期間が空くこの時期だからこそ、自由に攻撃的な走りを期待したいところだ。
ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップ・フロアーズ)
注目度:★★★★★
2015年のチャンピオンにして、2016年は2位と非常に相性の良いレースだ。
過去には、3度シクロクロスの世界チャンピオンに輝くなど、悪路でのレースはスティバルの最も得意とする分野である。
今シーズンは、オムループ14位、クールネ9位と石畳とミュールのレースで比較的上位でフィニッシュしている。
脚の調子はまずまずといったところだろうか。
順当に行けば、クラシックスペシャリストの銀河系軍団であるクイックステップの後ろ盾もあるため、非常に有利にレースを進めることが可能なはずだ。
何とか春のクラシックシーズンで、クイックステップに勝利をもたらしたいところだ。
ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、クイックステップ・フロアーズ)
注目度:★★★★☆
2016年大会は、トップから4秒遅れの3位でフィニッシュし、表彰台を獲得した。
終盤で、カンチェラーラ、サガン、スティバル、ブランビッラと4名で抜け出すことに成功し、2人残すクイックステップが優位にレースを展開していた。
さらにブランビッラがアタックを仕掛け、カンチェラーラとサガンからリードを築くことに成功し、スティバルは二人の背後で力を溜める絶好の展開となった。
ブランビッラの激走ぶりは凄まじく、残り1km地点でカンチェラーラたちに10秒程度のリードを築いていた。
しかし、残り1kmを切ってからのカンチェラーラの追走は、ブランビッラの激走を遥かに上回る凄まじさだった。
世界チャンピオンのサガンが思わず千切れるほどの猛烈な加速に、スティバルもついていくのがやっとだった。
残り100m付近でブランビッラを捉えると、スティバルは為す術もなくカンチェラーラの前に敗れた。
こういう惜しいレースがクイックステップには多いのだが、2016年のブランビッラの走りは素晴らしかった。
今年もブランビッラのアタックに期待したい。
また、チームメイトのペトル・ヴァコッチは2016年5位、ボブ・ユンヘルスは17位、マッテオ・トレンティンは19位と、トップ20位内にクイックステップの選手が5人も入っていた。
今年も皆が出場予定だ。
やはり、クイックステップにはどうしても期待したくなる。
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
注目度:★★☆☆☆
実はストラーデ・ビアンケ初出場となる。
昨シーズンはさりげなく9勝をあげており、カヴェンディッシュの陰に隠れがちだが、ボアンソンハーゲンも立派な勝ち頭だ。
ストラーデ・ビアンケで度々登場する激坂への耐性は疑問符だが、生き残ることが出来ればスプリント力は出場選手の中でもトップクラスである。
個人的にも、とても好きな選手の一人で、昨年のジャパンカップクリテリウムで運良くツーショット撮影に成功したので、さらに情が移ってしまった。
ノルウェーは、今年の世界選手権の舞台となるので、10月の世界選に向けてボアッソンハーゲンを応援していきたい。
ホナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)
注目度:?????
謎のコロンビア人もストラーデ・ビアンケ初登場だ。
脚質はスプリンターのはずなのだが、時折見せる登坂力の高さには驚かされる。
ツアー・ダウンアンダーでは第5ステージのウィランガヒルでクライマーたちに混じって13位でフィニッシュし総合10位を獲得。
カデル・エヴァンス・グレートオーシャンロードレースではスプリンターに混じって4位。
かと思えば、アブダビツアーではスプリントでもヒルクライムでも上位に絡めず、ステージ最高順位が100位という結果に終わる。
一体何が得意なのか底が見えない選手だ。
まだ22歳と非常に若く、どんなレーサーに成長していくのか、しっかりと見守りたいと思う。
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
注目度:★★★★★
2014年大会で終盤に独走に持ち込み、2位に19秒差をつけて優勝している。
同年、ロード世界選でも優勝しているキャリアでも最高クラスの抜群のパフォーマンスを発揮した一年だった。
昨シーズンはE3・ハレルベーケの1勝のみに終わり、やや物足りない印象を受ける。
だが、今シーズンは直近のボルタ・アオ・アルガルベで総合2位を獲得している。
2014年は同レースで総合優勝しているので、シーズン序盤から良く走れているクヴィアトコウスキーには期待が持てる。
特にクイーンステージとなったアオガルベ第2ステージでは、3位でフィニッシュしている。
この登坂力はストラーデ・ビアンケでは強力な武器となるだろう。
独走力、スプリント力も高く、本来の総合力の高いレーサーとして会心の勝利をぜひ見たい。
トム・ドゥムラン(オランダ、チーム・サンウェブ)
注目度:★★★★☆
2012年17位、2014年12位というリザルトが残っている。
しかし、ドゥムランが覚醒を遂げたのは2015年のことだ。
ブエルタ・ア・エスパーニャでの衝撃的な走りは、いまだにグランツールレーサーとしての待望論が収まらないことから、周囲の期待がわかる。
今シーズンもアブダビツアー第3ステージのクイーンステージでは、グランツールで総合上位に入ってくるような超エース級を押しのけて、さらりとステージ3位に入っている。
TTスペシャリストらしく、ペース走行でのクライミングを得意としているため、最大勾配が10%を大きく越える激坂で攻撃を受けた時に凌ぐことができるかどうかがポイントとなる。
ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
注目度:★★★★☆
2015年、トップから1分2秒差の8位というリザルトを持っている。
今シーズンはトロフェオ・ライグエイリア優勝、オムループ4位と好スタートを切っている。
昨シーズンは0勝だが、ブエルタでポイント賞を獲得し、知名度はかなり高まったように思える。
純粋なスプリント力では、ピュアスプリンターには敵わずとも、登坂力も含めた総合力で勝負する選手だ。
石畳への適性の高さも感じ、悪天候でもハイパフォーマンスを発揮できる選手なので、ストラーデ・ビアンケのような消耗戦は得意分野に入るはずだ。
チームメイトのジャスパー・ストゥイヴェンも今シーズンは好調をキープしており楽しみだ。
トレック・セガフレードのアシスト陣はカンチェラーラに鍛えられたクラシックレースの精鋭たち揃いである点も心強い。
大物選手たちの間に割って入って、ジャイアントキリングを見せることができるだろうか。
有力選手が多すぎて、番狂わせも十分あり得る
ワールドツアー化の影響を受け、出場する選手があまりにも豪華になっている。
中盤から終盤にかけて、凄まじい攻防が見られることは間違いないだろう。
オムループやクールネのように、超精鋭集団が出来上がるとアシストをフルで残しても前を追うことが難しくなる。
それほどハードなレースでは、一つのアタックで勝負が決まってもおかしくない張り詰めた展開になるだろう。
激坂の存在のため、ピュアスプリンター寄りの選手には厳しいレースとなるが、クラシックスペシャリストやクライマーなど幅広い選手に勝機のあるレースとも言えよう。
さて、個人的に優勝予想をしたいと思う。
1位、ミカル・クヴィアトコウスキー
2位、ファビオ・フェリーネ
3位、ティージ・べヌート
あえて、サガン・ヴァンアーヴェルマート・ヴァンマルクのビッグ3を外して予想してみた。
クヴィアトコウスキーの仕上がりの良さには本当に期待したくなる。
フェリーネも同様に好調さを考えて2位で、ベヌートは期待を込めた3位と予想。
ストラーデ・ビアンケは、日本時間3月4日21:45からダゾーンで放送予定となっている。
こんにちは
今回のストラダーレ・ビアンケも豪華な顔ぶれで嬉しくなってしまいますね(笑)
これだけビッグネームが揃うと、目移りしてしまうところですが、やはりサガンあたりが堅いのだろうか等々、希薄な知識を動員してみたものの未舗装路の距離が気になるところ‥
もしも、雨など降ろうものならば単独又は、集団落車でビッグネームが一気に消えるような展開も無いとは言えませんよね。
そんな中、今大会は自分としてはスティバルを優勝候補として見ています。
スティバル個人の相性もさることながら、不確定要素の多いワンデイレースにおいて、やはりクイックステップの経験値と組織力は、他チームから見て到底侮れないでしょうね。
レースが荒れるような事があれば、尚更その経験値が生きてくるのではないでしょうか?
エースを予定どうりゴールラインへ送り込む力が図抜けているように思います。
勿論、今シーズン出足好調のフェリーネには本当に頑張ってもらいたいし、期待したいです。
次世代のクラシックハンターが生まれてほしいものです。
ステージレースの成績に重きが置かれる昨今のロードレース、でもワンデイレースも魅力では決して劣るものではありませんし、春のクラシックも本当に楽しみです。
Akiさん
> もしも、雨など降ろうものならば単独又は、集団落車でビッグネームが一気に消えるような展開も無いとは言えませんよね。
まさに、仰るとおりの展開になりましたね。
オムループに引き続き、落車で半分くらいレースが終わってしまうのは、残念ですね。
> そんな中、今大会は自分としてはスティバルを優勝候補として見ています。
> スティバル個人の相性もさることながら、不確定要素の多いワンデイレースにおいて、やはりクイックステップの経験値と組織力は、他チームから見て到底侮れないでしょうね。
クイックステップは良いところまではやるんですけど、最後のひと押しがいつも決まらないんですよね汗
スティバル自身は好調そうに見えたので、今後の北のクラシックでは優勝候補の一角を担うことでしょう!
見事な予想でした!
私はヴァンアーヴェルマートかスティバルだと思っていましたが、クヴィアトコウスキーお得意の隙を見ての独走でしたね!
雨が降って白い泥を被りながらの熱戦でしたが、映像は後ほどYouTubeで観ます(笑)
過酷なクラシック系のレースはローラーを回すときの良い刺激になるんです(^^)
アディさん
> 見事な予想でした!
> 私はヴァンアーヴェルマートかスティバルだと思っていましたが、クヴィアトコウスキーお得意の隙を見ての独走でしたね!
予想が当たったことが一番うれしいかもしれません笑
今までほとんど当たったことなかったものでして…
ただ、ウェレンスをピックアップしてなかったことが、個人的にはダメダメでした。
精進します。