サイバナ

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戦力分析2018

チームスカイ戦力分析!【2018年シーズン】

クリス・フルームがジロへの出場を決め、ジロ・ツールのダブルツールを狙うチームスカイ。

ミケル・ランダ、ミケル・ニエベといった強力な選手を移籍で失ったものの、巨大戦力は健在だ。

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チームスカイ2018ロースター

クリス・フルーム(イギリス)
ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)
ゲラント・トーマス(イギリス)
ワウト・ポエルス(オランダ)
フィリップ・ダイグナン(アイルランド)
ジョナサン・ディベン(イギリス)
オウェイン・ドゥール(イギリス)
ケニー・エリッソンド(フランス)
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)
ミカル・ゴラス(ポーランド)
セバスチャン・エナオ(コロンビア)
セルジオルイス・エナオ(コロンビア)
ベナト・インサウスティ(スペイン)
ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ)
クリスチャン・クネース(ドイツ)
ダビ・ロペスガルシア(スペイン)
ジャンニ・モズコン(イタリア)
サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア)
ディエゴ・ローザ(イタリア)
ルーク・ロウ(イギリス)
イアン・スタナード(イギリス)
ルーカス・ウィスニオウスキ(ポーランド)

・新加入選手
ディラン・ファンバーレ(オランダ)←キャノンデール・ドラパック
ホナタン・カストロビエホ(スペイン)←モビスター
ダビ・デラクルス(スペイン)←クイックステップ・フロアーズ
イーガンアーレイ・ベルナル(コロンビア)←アンドローニ・ジョカットリ(PCT、イタリア)
クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー)←チーム・ジョーカー(CT、ノルウェー)
クリス・ローレス(イギリス)←アクシオン・ハーゲンズ・ベルマン(CT、アメリカ)
パヴェル・シヴァコフ(ロシア)←BMC・ディベロップメントチーム(アマ)

・退団選手
イアン・ボズウェル(アメリカ)→カチューシャ・アルペシン
ピーター・ケノー(イギリス)→ボーラ・ハンスグローエ
ミケル・ランダ(スペイン)→モビスター
ミケル・ニエベ(スペイン)→オリカ・スコット
ダニー・ファンポッペル(オランダ)→ロットNL・ユンボ
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)→クイックステップ・フロアーズ

ジロ・ツールのダブルツールを狙うフルーム

2017年シーズン、フルームはツール・ド・フランス3連覇となる通算4度目の総合優勝に輝いた。ジャック・アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インデュラインに並ぶツール5勝クラブ入りに王手をかけている。ランス・アームストロングの7連覇の記録が抹消された後だからこそ、ツール5勝クラブ入りの価値には、非常に重要な意味を持つ。当然、2018年もツール一本に絞ってくると思われたが、なんとジロ・デ・イタリアへの出場を決めたのだ。

ツールとブエルタ・ア・エスパーニャを同年に制すダブルツールを達成したこともあり、更にチャレンジングな目標を立てたかったのかもしれない。何にせよ、出場するからには総合優勝を狙うだろう。つまり、ジロ・ツールのダブルツールを狙うということだ。

2018年はサッカーW杯の影響で、ツールの開幕が例年より1週間遅い7月第2週となっている。つまり、ジロからの休息期間を1週間多く取れるということになる。しかし、フルームがグランツールのエースを務めるようになってからは、毎年7月開催のツールに向けて1月中旬のレースから半年近くかけて調整をしてきた。果たして5月開催のジロに調整は間に合うのだろうか?

2017年はツール・ブエルタの激闘を経て、ツール王者として世界各地でのクリテリウムへの参戦や、自転車にかぎらず様々なイベントに出席するなど、多忙な様子が伺える。激闘からの疲労は抜けきっているのか、また例年より早くトレーニング開始する必要がありそうだが、練習の時間は確保できるいるのだろうか?

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心配の種は尽きない。しかし、フルームほどの選手が、チームスカイというチームが勝算無くして、無謀な挑戦をするだろうか。筆者はそのようなことは決してないと思う。フルームがエースの座についてからの5年間で蓄積されたデータや本人の経験から、ベストコンディションでジロとツールに挑むことができる、という判断があったからこそジロへの出場を決めたに違いない。

もし、ジロとツールを勝つことができたら、グランツール4連勝となる。ブエルタが秋開催となってからは、もちろん初めての大記録である。フルームの前例なき挑戦に世界中の注目が集まるだろう。

ランダ、ニエベ移籍もまだまだ鉄壁のアシスト陣

フルームの総合優勝に大いに貢献してきたランダとニエベが、それぞれ移籍してしまった。山岳アシストを務めうる選手では、ボズウェルとケノーも移籍を決めており、著しい戦力流出となっている。

一方で、山岳アシストになり得る選手の補強は、デラクルスとベルナルの2人に留まっており、全体で見れば大きな戦力ダウンは免れない状況だ。

しかし、これまでのチームスカイのアシスト陣の戦力層があまりにも分厚かったため、大きな問題ではないだろう。グランツールの出場人数が9人から8人に減ることもあり、今までが過剰だったくらいだ。

2018年にグランツールで山岳アシストを務めることができる選手は、トーマス、ポエルス、クウィアトコウスキー、エリッソンド、ロペスガルシア、セルジオルイス・エナオ、セバスチャン・エナオ、ローザ、ゲオゲガンハート、ダイグナン、そして新加入のデラクルスとベルナルだろうか。これだけ候補があげられる時点で、引き続き世界一の戦力だといって差し支えないだろう。

トーマスは、元々2018年ジロにエースとして出場予定だった。ところが、フルームがジロ出場を決めたことにより、春先は北のクラシックを狙うものと思われる。2014年のロンド・ファン・フラーンデレン8位、パリ〜ルーベ7位、2015年はE3・ハレルベーケで優勝しているように、石畳レースとの相性は良い。ツールでは石畳ステージが登場することから、石畳を乗りこなす身体に仕上げてくると思われる。

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2017年のポエルスは、膝の怪我に苦しむ一年となった。無理してツールに間に合わせることはせず、ツール・ド・ポローニュ1勝&総合3位という好成績をもってブエルタに挑んだ。フルームのアシストを務めながらも、総合6位という自己最高結果を残すことができた。ポエルスはアルデンヌクラシックでの勝利も期待できる選手であるため、ジロはパスしてツールとブエルタに照準を合わせるものと思われる。ブエルタでは単独エースを担うかもしれない。

2017年チームMVPに輝いたクウィアトコウスキーにはもちろん、ツールで見せたような獅子奮迅のアシストぶりが再び期待されるだろう。ゆくゆくはグランツールレーサーとして、総合争いをしたいという構想もあるが、ひとまずのところはフルームのアシストに専念するのではないかと思う。

新加入のデラクルスは、2016年ブエルタ総合7位に入ったこともあるクライマーだ。ゆえに、チームスカイでもブエルタでエースを担う可能性もあるだろう。

同じく新加入のベルナルは、2017年ツール・ド・ラヴニール総合優勝をあげ、ナイロ・キンタナを彷彿とさせる小柄なクライマーだ。19歳からプロコンチネンタルチームであるアンドローニ・ジョカットリで走っており、2クラスのレースでは総合優勝を飾り、1・HCクラスのレースでは新人賞を何度も獲得している。まだグランツールへの出場経験はないものの、即戦力級の若手と見てよいだろう。ワールドツアーでどれだけ戦えるのか注目したい。

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ネオプロのシヴァコフは、U-23版ジロ・デ・イタリア総合優勝、ツール・ド・ラヴニール1勝&山岳賞の実績を引っさげて、一気にトップカテゴリーのチームへの移籍を果たした。両親が元プロ自転車選手で、母親は世界選手権チームタイムトライアルを2連覇したこともある名選手だった。登坂力もあり、逃げ切り勝利も多く、独走力も高いまさにオールラウンダーといえる脚質を持っている。とはいえ、いきなりトップカテゴリーでグランツールに出場させることはしないはずなので、1週間程度のステージレースを中心に経験を積むものと思われる。

平坦アシスト陣は、クネース、ロウ、スタナード、キリエンカ、プッチオ、ゴラスら既存戦力に加えて、新たに2016年欧州TT王者のカストロビエホが加わった。カストロビエホは上りにも強いルーラーであるため、グランツールではキリエンカ、クネース、クウィアトコウスキーのように、山を越えてエースを護衛することが可能だ。

まだグランツール出場経験のないが、リオ五輪チームパシュート金メダリストのドゥールと、2016年トラック世界選手権ポイントレース優勝、2017年ツアー・オブ・カリフォルニアの個人TTステージで優勝したディベンも控えている。さらにモズコン、ファンバーレらクラシック系の選手もグランツールに出るとなれば、ルーラーとして起用できる選手もいる。

平坦アシスト陣も、ワールドチーム随一の選手層を依然として確保しているのだ。

グランツールだけでなくクラシックも十分狙える

北のクラシックを狙える脚質の選手としては、スタナード、ロウ、トーマス、クウィアトコウスキー、モズコン、そして新加入のファンバーレがあげられる。

スタナードは、2017年の春のクラシックあたりから体調不良のためかコンディションが上がらないままシーズンを終えた印象がある。ロウは、急流でのラフティングを楽しんでいた最中に脛骨と腓骨を折る重傷を負ってしまった。一時は2018年シーズンの春のクラシックを欠場するのでは、といわれるほどの大怪我であったが、今はバイクに乗ってのトレーニングを再開している。とはいえ、トップコンディションに戻るかどうかの保証はない状況だ。

トーマスはツールの石畳ステージに向けて、特にロンドでの勝利を狙うだろう。クウィアトコウスキーは2016年にE3・ハレルベーケを制したこともあり、石畳系のクラシックでも結果を残せる。さらにアルデンヌクラシックも狙えるうえに、ミラノ〜サンレモの連覇も狙うという、真のオールラウンダーといえる脚質の持ち主だ。

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モズコンは、人種差別発言による出場停止、相手チーム選手を落車骨折させた疑い、世界選手権での魔法の絨毯使用による失格、シーズン終了後に手首を骨折と、話題に事欠かないお騒がせボーイだ。ただし、実力は素晴らしい。パリ〜ルーベ5位、イタリア国内TT王者、ブエルタ第13ステージの集団スプリントで2位、イル・ロンバルディア3位とクウィアトコウスキーのようにオールラウンダー的な走りを見せている。まだ23歳と若く、さらに力をつけたら一体どんな選手になるのか非常に楽しみな存在である。北のクラシックでの勝利を狙い、ツールでは石畳対策としてフルームのアシストを務める予定だ。

新加入のファンバーレは、ドワルス・ドール・フラーンデレン8位、E3・ハレルベーケ9位、ロンド4位と好成績を残した。これはエースとして走った結果ではなく、セプ・ヴァンマルクの不調により、結果としてファンバーレで勝負しにいった結果である。チームスカイでは強力なアシストとして活躍が期待される。

アルデンヌクラシックを狙える選手としては、クウィアトコウスキー、ポエルス、ローザ、セルジオルイス・エナオがあげられる。

クウィアトコウスキーは、過去にアムステルゴールドレースを制したことがあり、2017年はクラシカ・サンセバスチャンも勝っている。ポエルスは2016年リエージュ~バストーニュ~リエージュの覇者だ。

この2人を軸に、2016年イル・ロンバルディア2位のローザや、2017年アムステルゴールドレース6位、フレーシュ・ワロンヌ4位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ13位のセルジオルイス・エナオがサブエースとして控えている。

ウィスニオウスキは、北のクラシックもアルデンヌクラシックも含めて、チームスカイのワンデーレース専用アシストのような存在となっている。

2人のスプリンターを失うも、元U-23世界王者を獲得

ヴィヴィアーニとファンポッペルが移籍したことで、スプリント勝利を狙うことは難しくなった。代わりに獲得したのは、ハルヴォルセンとローレスという2人のネオプロだ。

ハルヴォルセンは2016年にカタール・ドーハで行われた世界選手権のU-23王者である。さらに2017年ツール・ド・ラヴニールでステージ1勝&ポイント賞を獲得している。将来、世界を代表するスプリンターになり得る逸材である。ローレスもツール・ド・ラヴニールでステージ1勝をあげており、スプリンターとして活躍が期待されている。

グランツールでは、完全に総合にシフトしたチームになることが予想されるため、2人はステージレースや下位カテゴリーのレースで経験を積む機会が増えるだろう。

相変わらずの巨大戦力を維持したメンバー構成

グランツール:★★★★★
北のクラシック系:★★★★★
アルデンヌクラシック系:★★★★☆
スプリント:★★☆☆☆

退団選手6人全員がワールドチームへの移籍を決めた一方で、新加入選手は7人中4人が22歳以下の若手選手という育成寄りの補強をしたため、全体のチーム力は間違いなく低下しているはずである。

しかし、グランツールに関しては、1軍・2軍・3軍まで組めそうなほどの充実した豊富な戦力は未だ健在であり、あとはフルームのジロ・ツールのダブル狙いが果たしてどうなるのか次第だといえよう。

ヴィヴィアーニとファンポッペルの移籍により、スプリント勝利の見込みが薄くなったものの、数年後にはハルヴォルセンとローレスがスプリント勝利を増産できる選手に育っているかもしれない。

ベルナル、シヴァコフ、そしてゲオゲガンハート、ドゥール、ディベンといった若手選手たちの成長を見届けるという、新たな楽しみもできた。

2018年もやはりこのチームが、ワールドツアーの中心に居続けることは間違いないだろう。

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